2025年02月21日

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次世代型エキナカ「エキュート秋葉原」、4月に開業へ

「エキュート秋葉原」のイメージ

JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニーは4月、JR秋葉原駅改札内に次世代型エキナカ商業施設「エキュート秋葉原」をオープンする。今年開業20周年を迎えるエキュートは、エキュート秋葉原を新しいステージをスタートさせるエキナカとして、オールキャッシュレス化、集中レジとセルフレジの導入、接客・案内キャストとなるロボットの採用に加え、環境に優しいアクションを始動させる。店舗面積は約900㎡、想定店舗数は約20店舗。

エキュート秋葉原はJR東日本グループが掲げる「Beyond Stations構想」の具現化に取り組む。大きな社会問題になっている人手不足解消に向けてオールキャッシュレス化やセルフレジ・集中レジを導入し、よりスピーディーな買い物を可能にする。一部の売場には、複数ショップで自由に商品を選んだ後にまとめて会計できるエキュート初の集中レジを設ける。また、従来のスタッフを介した買い物だけでなく、カウンターを挟まない売場レイアウトやセルフレジの導入によって自身で商品を手に取り、自身で会計もできるなど、様々なシチュエーションに合わせた買い物スタイルを提供。オールキャッシュレス化に伴い、主なキャッシュレス決済サービスへの現金チャージに対応する端末も設置する。

将来に亘る商業施設のスマートオペレーションの実現に向けてロボットも活用する。地元・秋葉原に本社を構え、警備業界への導入でNo.1のシェアを有するugoのロボット「ugo Pro」を、商業施設で初めて接客・案内キャストとして採用する。Ugo Proに生成AIと呼ばれる大規模言語モデル(LLM)を活用した「案内ロボットソリューション」を搭載し、顧客への案内業務、簡単な接客業務、緊急時の一時対応への活用が期待できるという。

 

また、エキュート秋葉原をスマートフォンやパソコンで体験できるバーチャル空間「Parallel ecute -Akihabara -」を展開。バーチャル空間では、これがデビューとなるオリジナルキャラクター「エキュートのリス」がAIコンシェルジュとして案内する。訪日外国人が多い立地特性を踏まえ、AIコンシェルジュは多言語対応。商品についての質問や会話、困り事の相談などをサポートする。

そのほか、エキュート秋葉原では駅の忘れ物の傘をアップサイクルした買い物カゴや、地域の廃材を使ったアートにもなる施設什器を開発。前者は年間8000万本が消費され、その多くが半年以内で廃棄されており、駅の忘れ物でも多い「ビニール傘」をoctangleとコラボレーションして、集中レジでの買い物時に使える「買い物カゴ」にアップサイクルする。廃棄されたビニール傘を回収・選別・分解・洗浄し、専用のプレス機でビニールを何層にも圧着すると“Recycled material -再生素材”の生地となる。半透明で、でこぼこしたその素材は光に反射すると独特な質感でキラキラとしたテクスチャーになる。

後者は、杉山純氏と宮澤謙一氏によるアーティストユニット「magma」と共に、秋葉原地域で見つけたジャンク品などの廃材を一部使用。様々な素材を組み合わせ、独自の世界観でアップサイクルアートとして、エキュート秋葉原の什器(ベルトパーテーション、荷物まとめ台)や、セルフレジの案内サインなどの作品に仕上げる。

JR東日本グループが推進するサーキュラーエコノミーにも取り組む。CO2排出量の少ない電力を使用するとともに、J-クレジットによるカーボン・オフセットを行い、電力使用に伴うCO2排出量を実質ゼロにする。排出される食品廃棄物の100%リサイクルも行う。

(塚井明彦)