資生堂、研究開発拠点をリニューアル 最先端の美のテクノロジーを体験

資生堂は22日、研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター」の1～2階を「Shiseido Beauty Park」としてリニューアルオープンした。5つのラボで構成されており、一般客が資生堂の最先端の技術を体験できる。肌や体、心の状態を測定する「美の検診」、薬膳の観点から監修した食事メニュー、見るだけで美しくなれる映像などを提供する。

同施設は、2019年に開業。1～2階はこれまでも一般客が利用できる施設となっていた。リニューアルの理由について、ブランド価値開発研究所Shiseido Beauty Park 価値共創室の横尾美星室長は「5年の間に世の中の生活は変化し、資生堂のサイエンスも進化した。ここを起点に生活者との共創をさらに強化し、新たな価値創出に向けて進化したい」と語る。

「Shiseido Beauty Diagnosis Lab」では研究員が普段研究で用いるような精度の高い機器で測定する

味覚や嗅覚も測定し、心の状態を測る

1つ目のラボ「Shiseido Beauty Diagnosis Lab」は、「美の検診」を受けられる。測定は肌だけでなく鼻の骨格や歩き姿、心の状態など全13種の測定を行い、現在の肌・身体・心のつながりの状態を明らかにする。3年後の顔、将来の顔も予測できる。結果に対し、アドバイザーと研究員が科学的根拠に基づいた美容習慣や生活習慣のアドバイスを行う。

その後、自分の状態に応じた顔やデコルテのトリートメント、体の中から美をつくるスイーツ、見るだけで美しくなれる映像の視聴という3種の体験ができる。料金は3万円で、所要時間は約3時間。予約は22日に受付を開始し、利用は3月1日からスタートする。

食事やスイーツ、ドリンクを提供する「Shiseido Kitchen Lab」

 季節の悩みに合わせたメニューが提供される

2つ目のラボ「Shiseido Kitchen Lab」は、肌・体・心の美と健康をつくる食体験を提供する。薬膳研究を専門とする研究員がメニューを監修した。年間を通した定番メニューと、季節ごとの美容悩みにアプローチする季節限定メニューの2種類がある。

通年メニューは、体を温めるオリジナルブレンドスパイスを使用した「薬膳カレー」（1540円）、高麗人参やショウガなど薬膳食材をふんだんに使用した「生姜香る参鶏湯」（1430円）など。1～2月の冬季メニューは、ハリの低下やシワの悩みに着目した「BEAUTY YAKUZEN プレート」（1870円）や季節のパフェ「BEAUTY YAKUZEN パフェ」（2530円）などを揃えた。

世界最大級の16k大画面で映像を上映する

3つ目のラボ「Shiseido Art & Science Lab」は、映像体験「ビューティー・リトリート・シアター」と体験型ミュージアムで構成される。ビューティー・リトリート・シアターでは、資生堂の感性科学研究を応用した、「AWE（畏敬の念）」を引き起こすことで心身に良い影響を与える映像を上映する。

AWE（オウ）とは日本語で「畏敬の念」を意味し、理解を超える偉大な存在や、果てしない壮大な風景を前に自分の存在の小ささを知る体験のことを指す。これによって日々の不安やストレスが軽減し、心血管系や免疫系が整うことが分かっている。上映される映像はアートの要素も取り入れた独自のもので、季節に合わせて変えていく。

ミュージアムは2階にあり、資生堂の100年を超える研究の歴史をベースにした展示が行われている。4つのゾーンで構成され、研究所ならではの体験コンテンツなどを用意する。

「fibona Lab」では、肌と一体化する「スキンアクセサリー」など先進的なアイテムを展示、販売する

4つ目の「fibona Lab」は、資生堂研究所のオープンイノベーションプログラム「fibona」の実験基地。スタートアップ企業の革新的なテクノロジーや生活者のユニークなアイデアを融合した商品開発を行っており、実際に開発した商品を試したり購入したりできる。

第1弾は、昨年9月に応援購入サイト「マクアケ」で販売した、アクセサリーパーツと肌が一体化する「スキンアクセサリー」を再販売。パウダー状の香りのアイテム「香肌晶（かはだしょう）」も新発売した。また、美のインスピレーションが湧き共創する場として様々なアート企画を予定しており、3カ月ごとにテーマを変えてアートピースを展示する。

5つ目の「Shiseido People Lab」は研究員の進化を目的としたラボで、社内でのサポートプログラムの提供や各ラボと生活者との共創を推進する。

（都築いづみ）