キリンビール、25年度は「晴れ風」強化 業務用展開を開始
2025/01/21 12:03 pm
キリンビールは、2025年度(1~12月)の事業方針を発表した。ビールカテゴリーは「晴れ風」の業務用展開を開始し、「一番搾り」で「ホワイトビール」を発売。クラフトビールブランド「スプリングバレー」はリブランディングを行う。26年10月に行われる酒税の改正に向け、ビールカテゴリーを強化する構えだ。
昨今、国内の酒類市場は縮小しており、酒類のネガティブな側面への注目も集まりやすい。そこで同社は昨年度に続き、「全員でお客様価値の創造にチャレンジ」をテーマに設定。酒類事業を営む企業としてアルコールの有害摂取根絶に向けて取り組むとともに、各ブランドの施策を通じて酒類のポジティブな面も訴求し、両面のアクションを起こす。
ブランド育成に向けては、26年の酒税の改正も見逃せない。ビール類の税額が一本化することで情勢が大きく変わると見込み、「我々が持っている確かな価値を生み出す技術量、それからお客様主語のマーケティング力、この2つを最大限に生かして新たなイノベーションを起こしていく必要がある」と堀口英樹社長は述べる。
販売目標は、ビール類が前年並み、RTDが6%増、ノンアルコール飲料が12%増、洋酒が6%増(いずれも金額ベース)に設定。ブランドごとでは一番搾りが2%増(販売数量3010万ケース)、晴れ風が17%増(670万ケース)、「淡麗グリーンラベル」が8%減(1000万ケース)、「本麒麟」が7%減(1260万ケース)、「氷結」が3%減(3480万ケース)、「キリンウイスキー 陸」が11%増とした。
昨年発売した晴れ風は好調で、年初目標を約1.3倍に上方修正した550万ケースを年内に達成した。今年はさらに17%の670万ケースを目指し、中ビン(500mL)、ビールサーバー「タッピー」の3Lペットボトルを4月15日に発売。業務用の展開も開始する。飲食店の取り扱いは、今年度に全国で1万5000店を目指す。
晴れ風では、桜や花火といった日本の風物詩を守る活動に寄付する「晴れ風ACTION」を展開しており、24年度は94の自治体に約1億円の寄付を実現した。執行役員マーケティング部長の今村恵三氏は「『晴れ風を飲むことでちょっと良いことに参加できる』ということが、好調の要因と考える」と指摘する。今年度は約2倍となる188の自治体へ、約2億円の寄付を予定する。
一番搾りは新客の獲得のため、通年商品としてホワイトビールを4月15日に発売する。ビールを飲まない人の理由として「苦く、重たい感じがして味が苦手」「自分向けではない」という回答が多いことから、小麦のうまみを引き出した軽やかなおいしさの商品を開発。ビールに対するイメージの刷新を図る。
スプリングバレーは、ブランドスタート以降初めての大規模なリブランディングを実施する。名称を「SPRING VALLEY BREWERY(スプリングバレー・ブルワリー)」に変更し、コンセプトやロゴ、パッケージを刷新。3月4日に全国で発売する。コンセプトは「泉の谷のようにビールカルチャーが湧き上がるブルワリー」で、ロゴはブランド名の由来「泉の谷」をモチーフにした。
26年の酒税改正をブレイクスルーポイントとみなし、今年度は「クラフトビールカテゴリーの好意形成に注力する」(クラフトビール事業部長大谷哲司氏)。直営店「スプリングバレーブルワリー東京/京都」や各地域のクラフトビールブルワリー、ビール原料生産者などと連動した施策を講じ、市場全体やコミュニティの活性化を目指す。