ダークファンタジー、平成レトロ、大正浪漫 “好きに没入”するメリーのバレンタイン
2025/01/17 12:00 am
メリーチョコレートカムパニーは今年のバレンタインで、「特別な世界観に没入できる」チョコレートを発売する。今回の新ブランドは、光と闇のアドベンチャーファンタジーを表現する「ナハトラビュリント」、大正浪漫を描いた「キャラメル浪漫」、平成時代の青春を想起させる「チョコレートデイズ」。いずれもコンセプトが明確で、“刺さる人には刺さる”ものとなっている。こうした商品を通じて好みの多様化に対応し、顧客とのタッチポイントを広げていく。
バレンタインの自分買いは、年々増えている。同社の調査によると、2025年のバレンタインでチョコレートを買うのは「自分のため」と回答した人が女性で6割、男性で3割を占めた。また、趣味嗜好の多様化も進んでいる。そのため同社はここ数年、特定の客層に刺さるチョコレートの展開を強化。猫をモチーフにした「ねこみゃみれ」や異国情緒あふれる「ジャミーラ」などを発売し、好評を博してきた。
最近は「没入(イマーシブ)」「高揚」といったキーワードも注目されていることから、今年のバレンタインは「わたしがきゅんっ♥する!偏愛没入バレンタイン」をテーマに設定。開発スタッフらが細部までこだわった3ブランドをリリースした。
魔法の世界を巡る冒険を描いた「ナハトラビュリント」
「ナハトラビュリント」は、光と影のアドベンチャーファンタジーを表現したブランド。映画やゲームを通じて親しまれているファンタジーな世界観に、ダークな要素を備えたオリジナルストーリーを創作し、商品に落とし込んだ。一人の少女「リザ」が魔導書を開いたことから始まる、不思議な世界を巡る物語で、魔法、薬草、占星術などがデザインのモチーフになっている。
商品は全6種類で、中心となるのが魔導書を模した缶のチョコレート詰め合わせ(3種)だ。一つ一つに設定があり、「ドゥンケルマギー~闇の魔法~」(12個入り、2700円)は、曾祖父が残した屋敷の書庫で見つけた、不思議な力を秘めた闇の魔導書。「ブルーメ~花~」は(92g、2160円)は旅の途中、黒い森に咲く見たこともない物憂げな花に心奪われつつ、旅の疲れを癒すために開いた調合書だ。「クラインオート~宝石~」(6個入り、1404円)は、黒魔導士達に狙われたリザが、魔力を高めるために開いた錬金術書となる。
昨年12月に同社のECサイトで先行発売したところ、即日で完売。細部まで練り込んだ世界観やストーリーは好みが分かれそうだが、好きな人にはたまらない商品であることが証明されている。
大正レトロがテーマの「キャラメル浪漫」
「キャラメル浪漫」は、懐かしさを感じさせるレトロスタイルにフォーカスした。近年は昭和レトロブームが続き、レトロ喫茶をイメージした同社の「はじけるキャンディチョコレート。」も人気を博しているが、和洋折衷の「大正浪漫」の人気も根強い。そこで、「お父さんが巴里で買ってくれたキャラメルに魅了された令嬢の『撫子』が、アールヌーヴォー調の洋館をキャラメル一色に染めてしまう」というコンセプトを考案した。
中身はキャラメルに特化し、フルーツキャラメル入りのチョコレートを詰め合わせた「キャラメルチョコレイト(果実)」(4個、810円)、ナッツやフィアンティーヌと組み合わせたキャラメルチョコの「キャラメルチョコレイト」(6個、1080円)、カカオキャラメルクリームを挟んだ「キャラメルミルフィーユ」(3個、540円)などを用意。パッケージは令嬢の撫子や洋館の調度品、お父さんが巴里から送ってくれた手紙や小包をデザインした。
平成の青春を思い出す「チョコレートデイズ」
レトロブームの中でも「平成レトロ」に着目したのが「チョコレートデイズ」。平成時代に青春を過ごした世代のスタッフが集まり、その頃の思い出や流行を表現した。全6種類で、パッケージのイラストに「授業中に回した手紙」「CDにこっそり忍ばせたメアド」などが描かれている。
商品は、レモンの酸味が効いた「恋しちゃったんだ初恋のレモン」、甘いピーチが香る「保護した初メールときめきのピーチフロマージュ」、ほろ苦くも甘いクリームブリュレの「想い焦がれるクリームブリュレ」、サクサクのクレープ生地を加えた「恋バナしながら並んだチョコバナナクレープ」など。いずれも6個入りで432円。
こうした新ブランドは社内のプレゼンテーションを経て商品化が決まるが、中には「ブランドの世界観に合わせた衣装でプレゼンするスタッフもいる」(担当者)という。コアな層はそれだけ見る目も肥えているが、スタッフが本気で取り組むことで“愛”が伝われば、新たなヒットにつながりそうだ。
(都築いづみ)