2024年11月 全国百貨店売上高
2カ月ぶりにプラス転換、地方でもインバウンドが拡大
日本百貨店協会が調査した全国百貨店(70社・178店)の11月売上高は5167億円余で、前年比(店舗調整後)は3.4%増、入店客数は0.8%増と、共に2カ月ぶりにプラスに転じた。気温が低下し、冬物重衣料を中心に防寒商材が活発に動いた。各社が企画した会員向け企画や上顧客向け催事、物産展などの食品催事も売上げと集客に寄与した。
顧客別では、インバウンドは30.4%増の514億円(32カ月連続プラス)、購買客数が51.8万人(35.3%増)だった。いずれも先月に続き同月対比で過去最高を記録している。売上高累計は24年1~11月で5861億円(94.6%増)で、23年1~12月の年間売上高(3484億円)との対比でも68.2%増となった。購買客数累計も24年1月~11月で543.8万人(79.8%増)を記録し、過去最高だった18年1~12月の年間購買客数(524.1万人)を超えている。国内市場(1.1%増)は、2カ月ぶりにプラス転換し、前月より4.9ポイントアップ。増勢が続く高付加価値商材と、冬物商材や防寒アイテムが売上げをけん引した。
地区別では、大都市は4.6%増で38カ月連続プラスだった。インバウンド需要と高付加価値商材などが好調で、9地区でプラスとなった。名古屋(9.8%増)地区では、イベントや改装効果などもあり高い伸びを示した。神戸(8.6%増)、福岡(6.0%増)も伸び率が高かった。地方は前年実績にわずかに届かなかったが、前月より4.3ポイント改善し、インバウンドも拡大している。
商品別では主要5品目のうち、雑貨(8.0%増)、身の回り品(6.4%増)、衣料品(5.3%増)が前年実績をクリアした。雑貨は化粧品(11.5%増)と美術・宝飾・貴金属(10.9%増)の伸び率が高かった。化粧品はスキンケアやフレグランスのほか、クリスマスコフレも活発に動いた。身の回り品は、ラグジュアリーブランドを中心にバッグや財布など革小物が好調だった。主力の衣料品は、婦人服・洋品(6.7%増)、紳士服・洋品(4.0%増)が2カ月ぶりにプラスに転じた。天候要因からコートやセーターなどの重衣料、防寒アイテムが伸長した。食料品(1.0%減)は、前年実績に届かなかったものの、前月より1.0ポイント改善。菓子(0.4%増)がインバウンドとギフト需要ともに堅調だった。本格的なシーズンを迎えた年末商戦では、おせちが好調に推移した。