2025年 メーカー首脳 年頭所感
<掲載企業>
資生堂 社長CEO 藤原 憲太郎
昨年、日本では大きな自然災害から1年が始まりました。そして地球の共通課題である気候変動はますます進み、世界中で自然環境や人々の暮らしに大きな影響を与えています。美を通じてより良い世界の実現を目指す企業として、資生堂は今年も「私達は世界に対して何ができるか」を考え続けます。私達の存在意義をあらためて見つめ直し、専門としてきた、肌、身体、心に触れ、人を幸せにするビジネスがどうあるべきかを考え、具体的に実行していきます。
昨年11月29日、「SHIFT 2025 and Beyond アクションプラン 2025-2026」と題して、これから2年間の経営についての方針を発信しました。本質的な課題を解決し、持続的な成長を実現するために緊急に取り組むべきアクションを策定したプランです。このプランを通して、グローバル社会における予測の付かない市場変化の中にあっても、決してぶれることなく、人と社会に貢献する価値創造の基盤を構築します。
具体的には、私達の大切なブランドとお客様とのつながりがより深くなるようブランドの選択と集中を行い、その強化に取り組むこと、事業構造を見直して高収益構造を確立すること、それを実現するために事業マネジメントを強化することを、2年間で着実に実行します。
資生堂が目指す「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」となるために、マザーマーケットである日本事業は、「ミライシフト NIPPON 2025」を掲げ、お客様に圧倒的に愛されるブランドを確立しながら、“持続的な成長”、“稼げる基盤構築”、”人財変革”に取り組み、完遂に向けまい進します。
得意先とは、共に持続的な成長を遂げるために、これまで以上に強固なパートナーシップを築きます。生活者の価値観や購買行動を的確に捉え、店頭をかけがえのない体験ができるタッチポイントへと進化させ、お客様のエンゲージメント向上に取り組みます。また、社員一人一人が自己革新し、プロフェッショナルとして、得意先と一体となり、より多くのお客様に私達のサービスや商品を通して美と健やかな生活を提供します。
資生堂は世界中の人々に新しく美しい価値を問い、分かち合う会社であり続けるようになります。それは私達が掲げているミッション「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」にある「よりよい世界」を実現するための自己革新です。
私は、どのような時代にも、美の力が心を豊かにし、人を幸せにすると信じています。そこに私達の本業があります。その思いを共にする仲間と共に、資生堂を前に前に、進めていきます。
コーセー 社長 小林 一俊
昨年は能登半島地震をはじめ台風、豪雨、猛暑など予見できない災害が多数発生し、期せずして被災された皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、1日でも早い復旧復興をお祈り申し上げます。
さて、コーセーはこれまで3G、グローバル、ジェンダー、ジェネレーションをキーワードに、従来とは異なる発想でお客様づくりを進めてまいりました。おかげさまで多くの賛同と協力を得ることができ、すでに成果を上げつつあり、特に国内事業は順調に推移しております。
しかし昨今の経営環境の変化を踏まえた上で、その先にある将来像を見据え、この度、新たな中長期ビジョンを発表させていただきました。私達が目指すのは「Your Lifelong Beauty Partner」。今後の「ありたい姿」として描くのは、全ての人々の生活に潤いと彩りをお届けし、心を満たし、個性を美しく輝かせ、生涯に亘って寄り添い、明るい世の中をつくることです。
この想いを企業活動の目的とし、様々な取り組みを行ってまいりますが、私がいつも大事に考える「良い商品を 良いお店で きちんと売る」という原点を忘れず、お客様に向き合うことを何よりも大切にしていきたいと思っています。
取り組みの1つ目は「3G活動」です。広く世界中の人々に、性別にこだわらず、全ての年代に、という視点でお客様を広げる努力をしてまいります。連日に亘って大リーグで大活躍を見せてくれている大谷選手の起用により男性のお客様が大幅に増え、この活動を後押ししてくれています。
2つ目はお客様を分け隔てせず魅力ある化粧品をお届けすること。多様な嗜好、様々な人種、民族、宗教、信条の違いを超えて「あらゆる期待に応える」ために、現地起点のマーケティングやモノづくりを実現させていきます。
3つ目はお客様に寄り添い続ける活動です。お客様のライフステージの全て、つまり生涯に亘って寄り添い、その時々のお客様の期待に応え、期待を超える提案をし続けたい。その姿勢を真摯に追求し続けていくことが、持続的な信頼関係につながるものと考えます。
そして、引き続きコーセーは関わりのある全ての皆様との関係を「KOSÉ Beauty Partnership」として重視していく考えに変わりはありません。お客様、販売店、サプライヤーをはじめとして、あらゆる関係者は全て大切なパートナーです。単独では難しいことも、異なる強みを持つ者同士がパートナーシップを組むことによって、大きな成果につなげることができます。今後ともコーセーは皆様との関係を何よりも重視し、皆様の期待に応え、期待を超える化粧品メーカーを目指してまいります。
アルビオン 社長 小林 章一
2025年度はアルビオンらしさのさらなる進化のために、新たな中長期経営計画をスタートします。我々の強みをより強固にし、持続的に真価が発揮できるよう、様々な挑戦をしながら変革を進めてまいります。
この挑戦は、創業以来一貫してきた唯一無二のものづくりや独自の教育・リアルな接客をはじめ、流通およびマーケティングにおけるデジタル展開、顧客管理の新システム構想など多岐に渡ります。「Meet New !! Project」と掲げ、新しい体験・機会を創出し、新しい仕組みを考え、新しいアルビオンを目指していく、「新しい」に出会うための挑戦です。私達が大切にしてきた全てのつながりをもっと深く、もっと強く、もっと広げていくために、全社一丸となって取り組んでまいります。
そして、その目的はただ1つ…時代や取り巻く環境がいかに変化しようとも、これまで通り変わらずに、専門店の皆様と共に歩み、共に発展していくための進化、変革、挑戦です。“店頭の優位性”を第1に考えながら、私達らしいデジタル推進を進めてまいります。
ものづくりにおいては、さらなる独自性、独創性を追求していきたいと思います。お客様の肌も心も一瞬にしてつかみ、熱狂させてしまうほどの“突き抜けた商品”をお届けしたい…そんな想いと情熱をもって、アルビオンにしかできない、アルビオンだからできるものづくりを深めてまいります。
店頭での接客、美容活動についても、さらに注力してまいります。現場、支店、本社、それぞれの密な連携を図り、お客様や店により一層きめ細かな対応が出来る体制づくりに取り組みます。リアルな接客を通してお客様との絆を育み、一店一店におけるお客様づくりの中身にこだわりながら、最大化に繋げてまいります。
また私達らしいSDGsの在り方を目指す“アルビオンらしさの推進”も、課題クリアに向けて引き続き挑んでまいります。美容部員の制度改定、容器回収と再資源化、環境に配慮した店頭コーナーの提案など、より具体的に進めていきたいと思います。人として、企業として、正しくあることを常に意識し忘れずに、しっかりと社会に貢献できるよう努力してまいります。
今年は、挑戦の年。新しいアルビオンらしさを築き上げるために、覚悟を持って臨みます。見る方に触れる方に、圧倒的な感動を与えられる商品を、サービスをご提供すること…この使命を果たすべく、全力で進めてまいります。アルビオンのどの側面を見ても“高級化粧品会社”としてふさわしい姿であれるよう、ひた向きに努めてまいる所存です。
オンワードHD 社長 保元 道宣
昨年は、世界各地で紛争や自然災害が相次ぎ、多くの方々が困難に直面した1年となりました。平和の大切さや助け合いの精神が改めて重要であることを強く実感した年でもありました。そのような中で、私たちはお客様のニーズに真摯に向き合い、ブランドの成長やOMOの推進を通じて、着実な進歩を遂げることができました。
2025年、私達は「世界に、愛を着せる。」というメッセージを掲げ、さらなる挑戦に取り組んでまいります。このメッセージには、ファッションは世界の人々の心をつなぎ、世の中に愛と笑顔を広げる可能性を持っている、という信念が込められています。
本年は「乙巳(きのとみ)」の年にあたり、「新しい変化が芽吹き、成長と進化を遂げる年」とされています。オンワードグループは、ファッションを通じてお客様や様々なパートナーと共に、新しい価値を創造してまいります。
西川 社長 菅野 達志
西川は寝具・睡眠業界のリーディングカンパニーとして、睡眠科学とテクノロジーで社会課題の解決に貢献する「睡眠ソルーション」企業への変革を推進しています。「寝具の西川」から「世界中のみなさまへ睡眠ソルーションを提供できるnishikawa」に進化していこうとしています。
昨年、その大きな一歩を踏み出しました。10月に睡眠アプリ「goomo(グーモ)」をローンチし、同時にこのアプリと連携した高精度センシングマットレス「〔エアーコネクテッド〕SXマットレス」を発売しました。睡眠アプリ「グーモ」は、「よい睡眠」と「新しい1日」をつなぐスマホアプリで、私共の研究機関である日本睡眠科学研究所の長年の知見から導き出した睡眠スコアやアドバイスを提供します。
〔エアーコネクテッド〕SXマットレスは、非接触型センサーによる寝心地を妨げないセンシングを搭載しているため、いつものように寝るだけで、就寝前や目覚め後の自律神経のバランスや無呼吸リスクの程度など、高精度の睡眠データが測定できます。
このグーモとマットレスの連携によって、一人一人に睡眠を取り巻く日常生活をサポートできるようになりました。私共の睡眠データと百貨店のお客様の購買データを共有することができれば、データに基づき、その日のお客様の体調や気分に応じて高揚するような最適な商品やサービスを提案できると思います。睡眠を通じて、健康で豊かな生活に彩りを提供できるようになるのです。
ただ今のグーモは、第一段階です。今後も魅力的なサービスを加え、機能も充実させていかなければなりません。睡眠と仕事のパフォーマンスの関係性や企業の健康経営への関心が高まっている中、アーリーアダプターの方々に先行してご利用いただいていますが、今年はさらに多くのお客様にご利用いただけるように認知度を広げていかなければなりません。
また、当社は生活者との接点を有する企業と、最先端の睡眠研究を行うアカデミアが連携するコンソーシアム「SIP(スリープ・イノベーション・プラットフォーム)」に参画していますが、参加企業間での連携を強めて、パートナーシップを組み、睡眠の質、データから新たな価値創出の具体的な事例をつくり上げていきたいと考えています。
企業理念である「よく眠り、よく生きる。」に基づき、最先端の「スリープテック」を取り入れ、睡眠を通じて人々の健康で豊かな生活に彩りを提供できる取り組みをさらに推進していきます。
キリンビール 社長 堀口 英樹
昨年当社は、お客様の嗜好や価値観の多様化に対応すべく、「全員でお客様価値の創造にチャレンジ」との想いの下、「強固なブランドポートフォリオの確立」と「新たな価値を提供する事業・ブランドの着実な成長」という2つの戦略を軸とした活動を一貫して展開してきました。
まず、「強固なブランドポートフォリオの確立」では、「おいしい好きのすべての人の”今日のよろこび”になる」というブランドパーパスを持つフラッグシップ「キリン一番搾り生ビール」において、「おいしさ」「高品質」というコア価値を伝え続けることでお客様の共感をいただき、「今 選びたい・飲みたい」ブランドとしてその基盤を強固にすることができました。
また、「キリン一番搾り糖質ゼロ」につきましては、「おいしさ」と「糖質」は無関係としたコミュニケーションを通して、糖質ゼロカテゴリーに対するお客様のポジティブなイメージを創り出しました。その他、毎年ご好評をいただいている「キリン一番搾りとれたてホップ」などバラエティ豊かな提案を行い、一番搾りブランドトータルでも成長を図ることができました。
そして、通年販売のスタンダードビールとしては17年ぶりの新商品として4月に発売した「キリンビール 晴れ風」は、「ビールのうまさ」と「飲みやすさ」という味わいの両立を実現して今を生きるお客様の嗜好を捉えたことや、過去からビールとの関わりの深いお花見や花火など「日本の風物詩」を応援する「晴れ風ACTION」という新たな取り組みへのチャレンジがお客様の共感に繋がったことで大変なご好評をいただきました。今後、キリンビールの新定番として、一番搾りに次ぐ柱に育てていきたいと思っています。
次に、「新たな価値を提供する事業・ブランドの着実な成長」においては、将来に向けたサステナブルな事業の確立を目指して、多様化したお客様の価値観に対応した魅力ある商品提案を推進しました。
当社が「ビール市場の魅力化」を目指して注力するクラフトビールについては、春から夏にかけて、主力の「スプリングバレー」ブランドのリニューアル、さらに代官山にある直営の店舗「スプリングバレーブルワリー東京」をお客様が気軽にクラフトビールを体験していただけるように大幅にリニューアルしました。
ただ、お客様のクラフトビール飲用機会の拡大はまだまだこれからの課題であると考えています。この課題に取り組むべく、10月にはクラフトビール事業部を新設し、「みんなと共に、日本のビールの新たな100年を!」というビジョンの下、新しいビール文化の創造を目指しています。
本年も、経済・社会、そしてライフスタイルなどあらゆる分野にわたる、多種多様な環境変化が想定されます。企業としては、そのような変化を見つめ、迅速に適応し、持続的に事業を発展させていくことが極めて重要な課題となってきています。
その中、当社は引き続き、お客様の変化を見定め、全員で求められるお客様価値の創造にチャレンジし、既存事業やブランドの強化、そして新たなる価値の提案に積極的に取り組んでいきたいと考えています。特に、「人と人、人と社会がつながる喜び」を通して、お酒の持つポジティブな価値を創造していくことを大事にしていきたいと思います。
三陽商会 社長 大江 伸治
2025年2月期は22年4月に公表しました中期経営計画最終年度であり、同計画の完遂に向け最後の仕上げをするべき重要な年度に当たっています。
その今期も2か月を残すのみとなっていますが、今期は昨年12月27日に開示した第3四半期決算結果が示す通り、一昨年のコロナ禍終息後のリベンジ消費の反動や記録的な高気温が続いたことによる秋冬商戦の初動遅れの影響を受け、第3四半期までは前年をやや下回る推移でしたが、第4四半期に入って以降は気温の低下もあり秋冬物販売がようやく本格化し、一転して前年を上回る進捗となっています。残り2カ月引き続き万全の態勢で臨み、所期の目標の必達を期す所存です。
一方、本年3月にスタートする来期を初年度とする次期中期経営計画につきましては、現在鋭意策定作業中であり、4月の今期決算発表時にその詳細を公表する予定です。次期中期経営計画の目標は、現中期経営計画で得られた成果に基づき、売上げ・収益双方を伸長させ、会社の成長軌道を確保することです。そのため既存事業のさらなる拡大に加え、新規事業や新ブランド開発、新商権の取得にも積極的に取り組み、投資も拡大したいと考えています。
新しい年を迎え、この1年引き続き気を引き締め、経営陣以下全社の総力を結集して目標達成に取り組む覚悟を新たにしております。
川辺 社長 岡野 将之
2025年は昭和年号で100年、戦後80年の年であります。戦後の日本は多くの技術やカルチャーを築き、高度経済成長を遂げ、奇跡の復興を果たしました。その時代にあった昭和は、豊かな日本の礎であり、長い日本の歴史の中でも、象徴的な時代だったと言えます。
1923年(大正12年)創業の当社も、大きな成長や発展を遂げたのは昭和でした。2023年に創業100年を迎え、新たな歴史を歩み始めましたが、昭和100年となる今年はあらためて過去を見直し、将来を創造しながら、未来づくりのために今何を行わないといけないのかを考えるに値する節目の年と思っております。
今年はアメリカ新大統領の就任後、政治、経済などが大きく揺れ動くことが予想され、我々の業界にもその影響が大きく、プラスとマイナスの影響が出るものと思われます。
このような中、当社は「中期3カ年経営計画2023」の最終年度を迎えます。予定通りでない部分はありますが、おおむね計画通りに進んでおり、今後も企業価値向上に努めていきたい所存です。ただこの2年間でも、外部環境は当社が想定していた以上に変化しました。為替変動、インバウンド、賃金アップ、人手不足など、今後も中長期的に対応していかなければならない課題が山積しています。課題は経営にも大きく影響するものから、すぐに取り組んでまいります。
特に大きいのは賃金アップ、人手不足です。昭和の時代では考えられなかった問題です。今後人口減が進む中、安定した人員確保と利益確保の両立を、いかにして達成していくかは極めて重要です。今だけでなく遠い将来を見据えると、その解決策として、デジタル化を推進させ、ロボットやシステム導入で業務効率を高め、省人化に進む必要があるかと考えます。当社のような業界では必要ないと考えていたことを、今から行わないと間に合わない時代が来たと認識しております。
一方で企画面・営業面では、自社のブランディングとそのPRに力を注いでいく方針です。創業100年を超える会社であるにも関わらず、自社のブランディングが遅れていると感じてきました。100周年を期に、ブランディングとPRを一対で行うことに目標を定めました。
PR戦略は、ブランディング戦略の基にならなくてはならないものです。一時的なユニークなPRで、短期的な売上げを伸ばせても、ブランディングにそぐわないPRは、もともとのブランドに共感しているファンが離れる可能性があります。PRとブランディングは、常に一対のものとして未来を見ていかなければならないと捉えています。
ブランディングも時代を築くことも同じことと考えています。どちらが正解で正しいかは分かりませんが、できることから始めるフォアキャスティング思考よりもバックキャスティング思考で、10年後を見据えた2025年でありたいと思います。
カネボウ化粧品 社長 内山 智子
1月1日付にて、花王化粧品事業部門長並びにカネボウ化粧品社長に就任いたしました、内山智子と申します。私は花王に入社以来、約20年、様々な原料や商品の研究開発に携わってまいりました。2023年からはヘアケア第1事業部長として、ヘアケアのブランドフォーメーションを再編。新たなハイプレミアムブランドの投入など、事業の変革に取り組み、数年以上苦戦していた状況からの反転攻勢に貢献しました。
化粧品は人々の感情・尊厳に直結し、生活に彩りを添える大きなパワーを持つ存在で、化粧品市場は最も成長余力のある事業であると言えます。このような夢と無限のポテンシャルを持つ化粧品事業に携わる機会をいただいたことは大変光栄であり、これまでの幅広い経験を生かし、花王の化粧品事業をグローバルで存在感のある力強い個性派集団にしていきたいと考えます。そのためにブランドの個性と一貫性にこだわり、各カテゴリーでナンバーワンのブランド群にしていくことを目指します。
24年を振り返りますと、国内市場は新型コロナウイルス禍以前と同等の規模まで回復しており、特にベースメイクやポイントメイクが堅調に推移しています。海外に目を向けると、中国市場は鈍化傾向が続いていますが、その他のアジアエリアは市場が活発化。欧米ではダーマケアや高価格フレグランスが牽引し、市場は安定しています。
そのような中、花王は「グローバル・シャープトップ」戦略を掲げ、“強いブランドづくり”を推進するとともに、パーパスドリブンなブランド戦略でグローバルな事業拡大・強化を進めてまいりました。
特に、ファーストランナーとして位置付けた「SENSAI」「MOLTON BROWN」「Curél」、戦略投資ブランド「KANEBO」「KATE」で、一定の成果が上げられたと考えています。中でもKANEBOとKATEは、ブランドパーパスを軸にしたぶれない活動が奏功し、順調に“強いブランドづくり”を進められています。
KANEBOは、“黒KANEBO”の愛称でも親しまれ、新商品を発売するたび、SNSを中心に話題となりました。KATEは独自の世界観を貫きながら、間断のない新商品発売プロモーションの投入により、セルフメイク市場で断トツのシェアナンバーワンを継続しています。昨年はKATEの世界観を体現する旗艦店を渋谷にオープンし、TOKYO発のパーパスドリブンなUXの提供により、アジア圏を代表するブランドへと育成を図っています。
25年も、引き続き“強いブランドづくり”を中心に「グローバル・シャープトップ」戦略を推し進めてまいります。SENSAI、MOLTON BROWN、KANEBO、「SOFINA」、Curél、KATEの6ブランドを「グローバル成長ブランド」として位置付け、戦略的に強化していきます。
新たに注力ブランドに据えたSOFINAは、SOFINAを基幹ブランドとして、「SOFINA iP」「ALBLANC」「Primavista」などをサブブランドとして位置付けます。すでに、昨年秋からはSOFINA iPを花王ならではの先端皮膚科学に立脚した総合皮膚科学スキンケアブランドとしてリブランディングしていますが、25年はそれぞれを最先端の皮膚科学をベースに進化させ、新生SOFINAとして再出発いたします。
もちろん、「TWANY」や「LISSAGE」をはじめ、グローバル成長6ブランド以外も、それぞれのスターアイテム育成を中心とした施策で、ロイヤルユーザーの拡大を図ってまいります。
EC市場が拡大する一方で、やはり店頭でのリアルの接点を多くのお客様が求めています。販売店はブランドとお客様をつないでくれる出会いの場であるとともに、ブランドパーパスを浸透させ、コアなファンを育成してくれる、とても大切な場であると考えています。販売店に力添えをいただき、共に取り組んでいきたいと願っております。
ちふれホールディングス 社長 片岡 方和
昨年は能登半島地震や羽田空港での事故などが起き、不安を拭えぬ年明けとなりました。資源価格の高騰や物流コストの上昇などに起因するインフレも続く中、インバウンド客数は過去最多規模となり、国内の人流は活発で、化粧品業界各社においては環境の変化に応じて商品の開発・製造・販売に努めていたように思います。
当社グループにおいては、ちふれ化粧品によるジャパン・オーガニックの吸収合併を行い、ちふれ化粧品をあらためて基幹事業会社に位置付け、構造改革に挑んでいます。ちふれホールディングスは研究・開発関連の特許を取得。本社・川越工場および飯能工場、アイメイトの八潮工場は化粧品製造に関する品質・安全性の国際規格「ISO22716(化粧品GMP)」の認証を取得しました。
お客様からの問い合わせ窓口と「ちふれ」のブランドサイトは、HDI格付けベンチマークの3つ星を再び獲得し、1月には化粧品販売に関する知識および技能の標準化・向上などを目的に実施している「ちふれビューティーアドバイザー社内検定」が厚生労働省より社内検定制度の認定を受けました。3月にはグループ内の全商品を取り揃えた公式オンラインショップ「My CHIFURE Online」もオープンし、様々な面でお客様志向の取り組みの維持、向上に励んでおります。
サステナブルな取り組みとしては、2022年度分のカーボンフットプリント自主算定値や一部の商品に採用しているアップサイクル原料について公表したり、多様性と個性の尊重、身体的負担の軽減の促進を目指してちふれビューティーアドバイザーの身だしなみルールを緩和したりしました。グループの従業員および家族、取引先などの関係者の健康を守るため、段階的に禁煙推進計画を実施。12月には「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定し、公開しました。
11年から応援しているちふれASエルフェン埼玉は、練習や試合だけでなく、地域の子供達や女性を対象にしたイベントも実施しています。当社が協賛する高知県のよさこいチーム「とらっくよさこい by ちふれ」も「第71回よさこい祭り」で「よさこい大賞」を受賞し、栄えある3連覇を達成しました。
本年も、経営理念に掲げる「正義感と誇りをもって、うそのない事業活動を行い、心ゆたかに生きられる社会・文化の創造」に向け、本年の干支であり、復活と再生を意味するとされる「巳」のように、役員・従業員が力を合わせて課題に挑み、粘り強く努力を積み重ね、成長してまいります。