2025年 百貨店首脳 年頭所感・弐
<掲載企業>
高島屋 社長 村田 善郎
昨年は6月に実質賃金が27カ月ぶりにプラスになるなど、長らく続いたデフレから物価と賃金が上昇する好循環への兆しがみられました。一方、株価や為替は年間を通じて大幅に変動するなど、経済動向は依然不安定な状況が続いております。加えて海外の政治体制の変化や地政学的なリスク、金融政策などが、今後国内の経済にどのような影響を及ぼすかは引き続き注視が必要な状況にあると捉えております。
当社グループでは、こうした状況下においても持続的に成長し続けていくための方向性を示した「グランドデザイン」を策定しました。このグランドデザインでは、創業200周年となる2031年に当社が目指す姿を「すべてのステークホルダーの『こころ豊かな生活を実現する身近なプラットフォーム』」と定めました。これには当社グループがあらゆるステークホルダーの生活の土台として、人が出会い、つながる結節点となる場所でありたい、という想いを込めております。
本年はグランドデザインの実現に向け、グルーブ総合戦略「まちづくり」の下、「幅広い顧客層」「店舗の立地性」「優良なグループ会社」という当社グループの強みを進化させ、お客様の心に響く買い物体験を独自の提供価値としていく取り組みを推進します。グループ全体での共創により、百貨店と専門店、国内と海外、リアルとネットといったさまざまな垣根を乗り越え、シームレスに当社グループの全ての商品やサービスを提供できる体制を構築し、お客様への提供価値の最大化を目指してまいります。
同時に、取引先や業務委託先を含めた全ての従業員が安心して働くことができる環境を整備し、お客様への価値提供の主体である人材の意欲と能力を最大限に引き出す取り組みを進めてまいります。
当社は創業以来「進取の精神」の下、失敗を恐れず、常にチャレンジすることで時代のニーズに応えてまいりました。今後も、これまで培ってきたこの風土を大切にしながら、目まぐるしく変化する外部環境に適応できる企業文化を創造し、あらゆるステークホルダーの期待に応えられるよう、まい進してまいります。
小田急百貨店 社長 中島 良和
2024年の日本経済は、多くの業界で業績の改善がみられながらも、物価上昇による実質賃金の低下が中間層の消費マインドを悪化させる懸念が高まりました。百貨店業界においても高額消費とインバウンド需要がけん引し、コロナ禍前の業績を上回る勢いがみられた一方、国内売上げの先行きには懸念も見込まれます。
当社においては、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴い駅周辺のお客様動線が複雑化するなど、主力となる新宿店を取り巻く事業環境が依然として厳しい中、各店舗にてリアル・デジタル双方における顧客接点の強化や売場構成の一部見直し、訪日客の取り込み強化などを進め、全社売上高は前年を上回りました。
新宿店においては、限られた営業面積を有効活用すべく、来店動機の創出に積極的に取り組むほか、インターナショナルブティック、化粧品を中心とした訪日前客の需要取り込み強化など、高効率な営業を目指し、引き続き施策を推進してまいります。
郊外の町田店においては、9月に上層階の改装を実施し、ファミリー層のさらなる獲得に加え、これまで百貨店との接点の薄かった若年層の取り込みを図ったほか、ゴールデンウイークや夏休み期間の「地域共生」を軸としたイベント、自治体との連携などを通じて、26年の開店50周年に向け、さらに地域や地域生活者とのつながりを強めていきたいと考えております。
また、継続して注力するお得意様外商部門は、開発工事による売場減少がある中で営業体制の整備・強化を進め、デジタルツールを活用したお客様とのコミュニケーションの深耕、取引先主催の外販催事や提携ブティックへのアテンドの実施など、関係性の強化に一層努めております。
加えて、昨年は顧客の高齢化という全社課題に対して、新規顧客層の取り込みや顧客接点の強化を目的に、NTTドコモと提携し「ⅾポイント」を全店に導入したほか、店舗以外の新たな収益の創造に向け、ECでの「ふるさと納税サイト」の新設や全国の介護施設向けのショッピングサービス「SATIMER(サチメル)」の開始など、当社経営資源を活用した事業領域の拡大に注力すべく、新たな取り組みも開始しました。
25年を展望しますと、引き続き賃上げや景気の伸長、インバウンドの需要は期待しつつも、為替の変動や中国の景況感の先行き、世界各国での政治的な不安定感に加え、国内でも異常気象を起因とする災害の発生など、消費に与える心理的なマイナス要素も予想に加味しなくてはならないと考えます。
当社は「強みに特化した領域で、魅力ある接点(場)を共創するプラットフォーマー」を目指す姿に掲げ、お客様、取引先にとって魅力的な場を提供し、商品・サービスの橋渡し役を担う企業となることを目指しております。25年も「強みの磨き上げ」「顧客接点の強化」「新たな収益の創造」を取り組みの軸とし、積極的に新規施策を推進しながら、目指す姿の実現に向け、取り組んでまいります。
京王百貨店 社長 南佳孝
昨年は基幹店である新宿店の開店60周年という節目の年となりました。長きに亘りこの場所で商売を続けてこられたこと、大変感慨深いものがあります。お客様、取引先、従業員、そして関係する多くの方々あっての60年と、あらためて感謝の思いを強くしました。
60周年に合わせ、昨年は様々な周年施策や新たな企画・イベントを実施したほか、取引先や学校とのコラボレーションなど、にぎやかに節目の年を盛り上げました。なじみのお客様にも喜んでいただけたと思いますし、新しいお客様やこれまでの中心顧客より若い世代のお客様に来店いただく良い機会にもなりました。そして何より、京王ファンを増やす良い機会になったと思います。「集客・リピート・組織顧客化」を合言葉に取り組みを進めてきましたが、まさにそれを実践する1年になりました。
インバウンドや物価の動向、世界各国の新たな変化、気候変動による影響など、取り巻く環境は厳しいものや不透明な要素もありますが、百貨店の魅力である「夢」や「楽しさ」、「行けば何かあるというわくわく感」に対するお客様の期待が薄れることはありません。コロナ禍を経た働き方や行動の変化で常態化した、鉄道やバスの利用者減の中で、京王グループの流通業の要として、沿線の人流を創出する重要なコンテンツとしての役割も増しています。
一方で、百貨店の事業モデルについては、店舗運営や販売・販促体制、お客様とのタッチポイントの取り方、後方部門の体制など、あらゆる面で現状や将来に即した形に変えていかなくてはなりません。特に人の面では、昨今の労働市場も踏まえ、より限られた要員で、全体としてさらに高いパフォーマンスを出さなくてはなりません。仕事のやり方を変革し、人がやるべき仕事をしっかりと人がやる、そういう仕組みをつくることが求められます。
創業61年目となる2025年は、次の目標に向けて新たな一歩を踏み出す大切な年になります。4月の新年度からは新たな中期計画がスタートします。さらなる飛躍に向け、達成可能な目標ではなく、成し遂げたいと思う前向きで意欲的な目標を掲げ、そのためにやるべきこと、やってみたいことをリストアップし、一つ一つ実行に移してまいります。
京王SCクリエイションとの将来的な統合や新宿再開発の進展に伴う事業環境の変化をしっかりと見据え、強みを増やし、さらに磨きをかけるとともに、足腰の強い経営基盤づくりに向けて稼ぐ力の強化と損益分岐点の引き下げなどチャレンジを続け、PDCA(計画・実行・評価・改善)を回しながら「進化・深化」を繰り返し、まさに京王百貨店の「真価」に磨きをかけてまいります。
東急百貨店 社長 大石 次則
2024年は、能登半島地震などの自然災害や気候変動に伴う酷暑、風水害に見舞われるなど様々な環境に翻弄される1年でした。相次ぐ物価の上昇や人手不足、それに伴う33年ぶりとなる賃上げ率など経済面においても不安定な状況が続いています。そのような中、遅れていた中国人観光客の回復も相まってインバウンド需要は引き続き活況を呈し、国内では徐々に明るい兆しもみえてきました。
昨年、当社は創業90周年を迎えました。次の節目である100周年に向けたビジョン「いつでも、どこでも。一人ひとりの上質な暮らしのパートナー。」の実現に向けて、業界でも類を見ない旗艦店不在の現況下で、渋谷、そして各店舗の周辺地域それぞれの特徴に合わせた取り組みを進めております。
拠点とする渋谷では当社が強みとするフードとビューティーにおいて、「渋谷フードディスカバリー」宣言、および「SHIBUYA BEAUTY JAM」宣言の下、新たな顧客価値創造を目指した取り組みを強化してきました。吉祥寺店、たまプラーザ店、札幌店においては、構造改革リモデルの実施から1年以上経過し、顧客の意見に寄り添った見直しに着手しております。
25年は、渋谷ヒカリエ ShinQs、渋谷スクランブルスクエアに出店している+Q (プラスク)と東急フードショーエッジなど、渋谷から新たな顧客価値の創造を目指します。中でもフードとビューティーのさらなる強化を図り、各宣言の下、分散している店舗を連携させたプロモーションのブラッシュアップを進めてまいります。
そしてその経験を生かし、吉祥寺店やたまプラーザ店、札幌店などの各店舗においては、それぞれの地域と顧客特性に合わせた魅力ある店舗づくりにつなげてまいります。
さらに、00年に渋谷の地に誕生した「東急フードショー」が25周年を迎えます。渋谷 東急フードショーを軸とし、二子玉川 東急フードショーをはじめとする各店舗の「東急フードショー」を連動した企画を展開し、食の未来におけるお客様のあらゆるニーズにお応えいたします。
社内においては、コミュニケーションの活発化を目指して、23年から実施している座談会をこれまで40回以上開催しました。中堅・若手社員と経営側が直接意見交換する場として、一人一人の思いを知ることができる機会であり、それを具体化することを積み重ね、次の節目である100周年につなげてまいります。
東急百貨店が持つ強みを発揮し、拠点である渋谷から新たな顧客価値を創造し、各店舗の周辺地域の生活者にとってより上質な暮らしを提案できるよう、一人一人が主役となり、全社一丸となって臨みます。
ながの東急百貨店 社長 中村宏
当社では、2024年は新中期経営計画の初年度として、事業ビジョンである「共に暮らしを育む」の実現に向け、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の向上、ローカリスト(地域の顔)としての存在感の発揮、サステナブル(持続可能)な事業モデルの構築に向け、7つの重点施策に取り組んでまいりました。
前中期経営計画では、新型コロナウイルス禍において業務改革、経費削減など、収益安定化に向けた構造改革、いわゆる「守り」の基盤固めを徹底的に推し進めてまいりましたが、昨年からいよいよ「攻め」に転じ、当社としては20年ぶりとなる複数フロアにまたがる大規模リモデルにも着手しました。
このリモデルは、従来から当社をご利用いただいている顧客に対する店舗価値向上、並びに魅力度アップと、新たに次世代顧客への対応を目途としており、新しい商品カテゴリーの提案、長野県初出店などの新規ブランドの導入、一昨年から順次進めてきたクリニックエリアやビューティー関連テナントの導入による駅前生活者における利便性の拡充など、長野駅周辺にお越しになる方々へ新たな提供価値を創出してまいりました。
結果、長期間に亘るリモデル工事区画の閉鎖影響もありながら、前年実績を上回り順調に推移しましたが、都心店と比較しますと、高額消費やインバウンドの恩恵を預かるには乏しく、継続的な物価高の上昇などもあり、本格的な回復感を実感するまでには至りませんでした。
さて、中期経営計画の2年目となる今年は、非常に残念ながら同県内において松本駅前の井上、松本パルコ、加えて当社子会社である北長野ショッピングセンターが運営する「ながの東急ライフ」が、それぞれ2月末~3月末で営業を終了します。
ながの東急ライフの営業終了については、当社にとって苦渋の決断となりましたが、当社グループの資金と人的リソースをながの東急百貨店に集中させ、継続的な店舗価値向上に向けた改装や外商事業、さらには新規事業を強化し、長野エリアを超えた事業拡大にも取り組んでまいります。
本年秋には、須坂市に大型ショッピングモールが開業を予定しております。10km弱の足元商圏での開業のため、地域間競争は厳しくなると想定されますが、今まで以上に広域からのお客様が長野商圏に足を運ばれることは、当社にとっても新しいお客様を獲得するビジネスチャンスと捉えており、長野駅前商業地区のさらなる魅力向上を図りたいと考えております。
ただ、当社だけで長野市の魅力を語ることはできませんので、市全体の魅力度をアップさせるためにも、官民一丸となって取り組む必要性があると考えております。長野駅周辺は、世界的な観光リゾートへの玄関口となっており、拡大するインバウンドへの対応は長野市にとっても当社にとっても伸び代であり、国内外を問わず訪れたい街にしていきたいと思います。
長野県をもっと知っていただくために、長野県の地域産品を通じ魅力を発信する「しなのづくり」プロジェクトのさらなる拡大、グループメリットを最大限に活用した長野特産品のアピールなど、地域の皆様の生活に寄り添い、「長野」の発展に少しでも貢献できる企業としての取り組みを進めてまいります。
東武百貨店 社長 國津 則彦
2024年は個人消費の回復やインバウンド消費の拡大など、消費環境が大きく好転した1年でした。一方、世界情勢はますます混迷を極め、私達の生活にも大きな影響を及ぼしています。地政学的リスクや国際的な原材料価格の上昇、海外からの輸入コストの増加などの影響を受けた物価の高騰といった不安材料からなる生活防衛意識の高まりなど、企業は様々な努力を強いられていることも事実です。
その中で、当社はリアル店舗の強みを生かし、多くのお客様に来店いただくための取り組みを推進しました。
池袋本店はアパレルや子供服を中心としたMDの強化を図りました。新たなお客様に来店いただくため、「ハローキティ50周年おめでとうフェア」「立教学院創立150周年おめでとうフェア」などを企画。さらに一昨年から強化している豊島区との取り組みなど、地域との連携を図っています。
船橋店は「地域性」「独自性」「限定性」をキーワードとした取り組みを推進しました。特にふなっしーコラボFOODSの展開や和洋女子大学とのコラボメニューの復活など、地域独自の施策は大きな反響を呼びました。他にもシニア団体との連携など、地域に根差した店づくりを進めています。
池袋駅西口地区再開発計画については昨年2月に都市計画手続きが提案され、11月に都市計画が決定しました。当社としては、事業主体である東武鉄道と密に連携し、将来の駅中核を担う商業施設として、枠にとらわれず時代にあった百貨店のあり方を模索しています。
選択肢が多様化した今、お客様はリアル店舗である百貨店に「楽しさ」「ワクワク感」「新鮮さ」を求めているのではないでしょうか。モノを販売するだけでなく、店内で過ごすコト自体を楽しんでいただけるよう、様々な付加価値を提案し続けることが大切だと考えております。
当社は今後も各店舗それぞれの地域性や、お客様のニーズをしっかりと捉え、工夫を凝らし、常に楽しく話題になる百貨店を目指します。そして、来店いただいたお客様を大切に、百貨店らしい上質な接客をすることで、東武ファンを着実に増やしてまいります。
東武宇都宮百貨店 社長 星 佳成
宇都宮の中心部に地域密着型の商業施設を――という宇都宮市民からの要望を受け、1959年に開店してから、宇都宮本店は昨年11月で65周年を迎えました。現在の当店を取り巻く環境は、少子高齢化や地域格差、消費の多様化など依然として厳しく、このような経済社会状況の中でも百貨店は世の中の変化に対応する“変化対応業”であり、市場の変化やお客様の変化を敏感に感じ取りながら存在価値を高めなければならず、百貨店の在り方も変革の時を迎えていると考えております。
そこで、当店の節目となるこの1年が「東武宇都宮百貨店の新たなスタートの年」となるよう「地域顧客に支持されるマイストアとしての地位確立」をビジョンに掲げ、地域の皆様に新たな魅力を提供し、存在意義を高めることに注力し取り組んでまいりました。
その上で、百貨店の存在価値を今一度見直す必要があると考え、“願いをカタチに”をテーマに、約1500件のアンケートを行ったほか、店頭に設置する「お客様の声ボックス」や従業員に寄せられた声からも当店に対するお客様の要望を収集しました。
声の多かったものから改善に取り組み、1年間で約30項目の要望を実現いたしました。これまでの考えだけにとらわれず「私達の提案する商品、サービス、環境がお客様の求めるものと合っているのか」、今後もお客様の声に耳を傾け、地域特性に応じた個性的で競争力のある店づくりを段階的に進めていく必要があると再認識いたしました。
さらに、新規ブランドのグランドオープン、既存ブランドのリニューアルを積極的に行い、日用品・雑貨の新規ブランドを導入し、品揃えを拡充しました。近隣商店街で百貨店の人気イベントを初開催し、若年層の開拓を含めた顧客層の拡大にも挑戦しました。
今後も、来店したお客様に多くのフロアや売場に立ち寄っていただけるよう、多様化するニーズを捉え、当店が持つ商品調達力とネットワークを駆使し、高品質で新鮮な「商品」、居心地の良い空間を提供する「環境」、お客様の要望に応える「接客・サービス」、店内設備などの「安心・安全」という4本の軸の強化を実行してまいります。
百貨店は労働集約型産業だからこそ、人材力、サービスレベルの向上が不可欠です。変化に対応できるチャレンジングな人材育成と人材戦略を重視し、モチベーションの向上を図ってまいります。
百貨店は変化し続けることができる業態です。これまで支えていただいた地元企業や自治体などとの連携をいっそう深め、地域に密着し、お客様の豊かで安心・安全な生活に貢献する百貨店を目指し新しい価値の創造に挑み続けてまいります。
名鉄百貨店 社長 石川 仁志
当社は昨年12月1日に開店70周年の節目を迎えました。地域との架け橋となる虹のような存在であり続けたいという願いを込め、当社のマスコットである「ナナちゃん人形」と「70周年」にちなんだ、7色の虹をかたどった記念ロゴの下、各種企画やイベントに取り組んでまいりました。多くの皆様からお祝いの言葉をいただき、あらためて地域のお客様や取引先との結び付きに感謝した年でありました。
特に、各地の物産展や「全国逸品うまいものまつり」などの食品催事では、70周年を冠した特別企画品が好評を得たほか、開催回数を重ねるごとに認知度が向上したことで、売上げが好調に推移いたしました。
さらに、話題性のある新規催事として、ゴールデンウィークの「サンエックス90周年記念 うちのコたちの大展覧会」、夏休みの「めいてつアイスイーツパーティー」、「文具女子博」などの開催が、新たなにぎわい創出に寄与いたしました。
また昨年は、国内外の旅行客が増加したことにより、レストランの利用や化粧品の売上げが伸びたほか、美術品などの高額品の売上げが好調に推移しました。
従業員の働く環境としましては、制服の選択制を取り入れるなど、新たな制服基準を策定し、多様性の尊重、働きやすい服装への取り組みを推進しました。社会問題への対応として、2023年12月に「名鉄百貨店カスタマーハラスメント対応指針」を策定し、当社としての姿勢を社内外に発信し、従業員の人権を守るとともに安心して働くことができる環境づくりに努めました。
本年は、日々のマインドを上げ、ウェルビーイングを維持するために必要不可欠な「幸福感」をもたらすモノ・コトを提案してまいります。中でも、好きなコトに没頭・没入する「推し活」や、「周りの人との絆」を築く第一歩である「相手への感謝」をキーワードとした取り組みを行ってまいります。
百貨店の魅力は、1つは開かれた自由・平等な場であって、憧れであること。2つは出会い・贈り物など、人の結び付きの場であること。3つは、にぎやかな人の集まりの中で、今の自分の幸せの位置を図る、幸せを感じる場所であることだと考えております。デジタル化が進み、AIが浸透する社会になっても、百貨店の魅力や価値は揺るがず、幸せの窓口としての役割は続いていくと信じます。
今後も、百貨店ならではのわくわくするイベント企画や季節感あふれる商品提案に努め、お客様が幸せを感じる手伝いをしてまいりたいと思います。電車やバスが行き交う名駅地区におきまして、より多くの方々に安心して気持ちよく買い物を楽しんでいただける店舗づくりを目指してまいります。