ながの東急百貨店、改装で子供服売場にファミリー流入
今秋冬に改装を実施した、ながの東急百貨店が好調だ。本館6階から同3階に移設したベビー・キッズ売場は、売上げや客数が前売場より1割増で推移。ファミリー層の流入も目立つ。新ブランド導入やリニューアルを行った本館4階の紳士ファッション売場も、男女コンバイン型の売場が伸びている。
長野県新ブランドが登場、設備も充実
改装の第1弾は10月に行った。目玉となるのが本館3階に誕生したベビー・キッズ売場で、「みんなのうれしいを育てる」をコンセプトに、品揃えとサービス機能を充実させた。新ブランドは「マーキーズ」「アナスイ ミニ」「エックスガール・エクストララージ」「センスオブワンダー」「バイラビット」を導入。うち2ブランドは、長野県初登場だ。
サービス機能としては、ベビー休憩室を新設した。授乳ゾーンとおむつ替えゾーンが分離されていたり、赤ちゃんから目を離さないような配置になっていたり、ベビー製品メーカーがおすすめ認定する項目をすべて満たしているという。
他のフロアは、本館1階に「ジョー マローン ロンドン」や複数の香水を揃えたフレグランスコーナーを導入。本館4階の紳士服売場は、性別にとらわれないユニセックスなフロアを目指し、男女コンバイン型の「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ」がオープンした。本館5階の家庭用品売場は、リラクシングウエアやフレグランスを扱う「ファビュラススタイル」を開いた。
12月には第2弾として、別館6階にマシンピラティススタジオ「リントスル」がオープンした。子供服が抜けた本館6階には「ダイソー」「スタンダードプロダクツ」のコンバインショップが開業した。スタンダードプロダクツはダイソーと同じく大創産業が手掛けるブランドで、300円を中心価格帯としている。
下層階への移設で「ついで買い・衝動買い」増加
改装後、特に好調なのがベビー・キッズで、6階の前売場と比べて10~11月の売上げは17.1%増、客数は18.5%増。高気温が続きアパレル全体が苦戦する中でも前年を大きく上回った。担当者は「6階まで上がる方は目的買いがほとんどだったが、3階に移設したことで衝動買い、ついで買いの需要も増加している」と話す。
新規導入ブランドの影響もあり、ファミリーでの来店も増加。売上げの中で25~44歳のシェアが伸びている。充実したベビー休憩室や、ゆとりのある通路幅などの設備面も好評を博している。
本館4階のブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジも売れ行きが良く、10~11月は予算に対して24.5%増で推移。メンズフロアでのコンバイン出店だが、想定以上に女性客の来店・購買が多く、売上構成比はメンズ(ブラック)が56%、レディース(ブルー)が43%。
「長野への出店を待っていた」という声が多く、メンズでは主力のスーツやコート・ブルゾンなどのアウター、レディースはジャケット・ワンピースを中心に動いている。
同店はここ数年の改装で、百貨店の売場とテナントをミックスする「ハイブリッド化リモデル」や、百貨店らしい上質なブランドの導入に取り組み、成果を上げてきた。今回の改装を弾みに、さらなる再成長に期待ができそうだ。
(都築いづみ)