ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアム、油の健康効果を解説
2024/12/06 1:49 pm
ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアムは11月27日、メディア勉強会を開催した。「この冬知りたい!ヘルシーオイルの可能性」と題して、今注目されているMCT、アマニ油、エゴマ油にフォーカス。体に影響するメカニズムや、冬に取るべき理由について説明した。
ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアムとは、「MCT分科会」と「オメガ3分科会」を持つ機関で、専門家の知見や最新研究などを交えながら、脂質栄養全般、MCT、オメガ3の健康価値を広く発信している。
MCTの摂取で、日常生活の脂肪燃焼を効率良く
まず第一部は、「身体活動の強さを示す指標『METs(メッツ)』から見たMCTの新たな価値とは」をテーマに、虎ノ門中村クリニックの中村康宏院長が登壇した。MCTとは「中鎖脂肪酸(Medium Chain Triglyceride)」のことで、一般的な油(LCT)より分子の長さが短く、水になじみやすい。分解の効率も良く、約4倍速くエネルギーになる。
また、METsとは身体活動の強度を示す指標で、安静時(静かに座っている状態)を1とした時と比較して、何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示す。例えば普通歩行は3、風呂掃除や車の荷物の積み下ろしは3.5、階段を上るのは8.8となる。
METsによって日々の生活の中に脂肪燃焼のチャンスがあることが分かるが、その効果を高めるのがMCTだ。MCTを食事に取り入れることで、LCTを摂取した時よりも多くの体脂肪をエネルギーに変えられることが、最新の研究で判明している。
さらに、冬は体温維持のためにエネルギーを多くつくろうとするため、代謝も上がりやすくなる。そのため「冬は脂肪燃焼の好機であり、MCTを摂取することでそれを促進できる」と中村院長は語る。MCTが入っている商品はオイルが代表的だが、チョコレート、ヨーグルトなどもあり、手軽に継続的に取り入れることが可能だ。
MCTが脂肪燃焼を高めるエビデンスを紹介
次にゲスト講演として、日清オイリオグループ基礎研究所第1課の渡邉愼二氏が、「MCTの歴史と『BMIが高めの方の日常活動時の脂肪燃焼を高める』エビデンス紹介」と称して講演した。
現代の先進国における肥満の大きな要因は、NEAT(非運動性熱産生)の低下にある。NEATは身体活動のうち運動以外の活動のことで、具体的には料理や掃除、家事、通勤、散歩などが挙げられる。海外の調査報告によると、肥満者と普通体型の人ではその差が顕著で、1日当たり350Kcal異なるという。
肥満者がいきなり運動を始めるのは難しく、NEATを増やす方が継続しやすい。そこで同社は「食生活にMCTを取り入れれば、生活習慣を大きく変えなくても脂肪燃焼や肥満解消を促進できるのではないか」と考え、検証の研究を行った。
実験では、MCTを2週間摂取した人達が軽い運動をし、その際の糖質や脂質の代謝を解析。一般的なサラダ油であるキャラノーラ油を摂取した人達のグループと比較した。結果、2週間でも脂肪の燃焼を高めることが確認された。こうしたMCTの有用性について語った後、渡邉氏は「当社は今後もこうした植物の力を最大限に引き出しながら、多くの皆様の健康に貢献できるよう、研究開発を進めていきたい」と述べ、講演を終えた。
アマニ油・エゴマ油が体の巡りを良くする
第2部は、工藤内科の工藤孝文院長が「今年の冬こそオメガ3! からだの『めぐり』を整えて冬の健康課題を解決」について説明した。オメガ3は体内でつくることのできない必須脂肪酸で、アマニ油、エゴマ油などに含まれる「α-リノレン酸」と、サンマやサバなどに含まれる「EPA・DHA」の2グループに大別できる。
人の体を構成する細胞の膜(細胞膜)は、細胞の形を保ち、栄養や老廃物を通す役割を持つ。細胞膜が硬いと栄養や老廃物の移動がうまく行かず、細胞は本来の働きができない。そこで必要となるのがオメガ3で、オメガ3の折れ曲がった分子構造が細胞膜の柔軟性を上げる効果がある。血液中を流れる赤血球も細胞であるため、同様に柔軟性が上がり、血流が良くなる。
このように体の巡りを良くする効果があるため、冬のシーズンに摂取することが推奨される。今年の夏は猛暑が続き、秋も寒暖差が激しいため、特に血流が悪くなる可能性がある。オメガ3は血流改善に加え、冷え性の改善、アレルギー症状の緩和など様々な健康効果が期待できる。
アマニ油やエゴマ油は小さじ1杯で1日分のオメガ3を摂取でき、完成した料理にかけるだけで良いので手間もかからない。工藤院長は「これからの時期は脳梗塞や心筋梗塞が増える恐れがあるので、それを避けるためにもぜひ取ってほしい」と力強く語った。
(都築いづみ)