2024年12月05日

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循環型社会の発着地を目指す玉川高島屋、ごみ分別施設を刷新し衣料回収BOXも設置

「リサイクルステーション」入り口。半透明の仕切り壁は、コロナ対策で使った「飛散防止アクリル板」512kgを再利用

東急田園都市線・二子玉川駅前にある「玉川高島屋ショッピングセンター」(以下、玉川高島屋S・C)が、西館地下のごみ分別施設を刷新して分別強化に取り組む。施設見学も受け付ける。また、顧客の不要衣料品の回収BOXを西館3階に設け、リサイクルやリユースなども推進していく。

資源再生の始発点を目指す、リサイクルステーション

1969年開業の玉川高島屋S・Cは、74年にごみ分別所「リサイクルファクトリー」を設置し、ごみの分別回収やリサイクルに取り組んできた。昨年度の、可燃ごみを除くごみのリサイクル率は80%と高成績。だが、廃棄物の削減とリサイクル率をさらに向上させるため、50年ぶりに施設をリニューアルした。

整然と並んだ、分別用ワゴン

ワゴンの前面に、指定色でイラスト描かれている

「ごみの終着点から、資源の始発点に」のコンセプトのもと、各店舗からのごみを6種類20品目に分別する。「これまでは、分別所の係員が最終分別していたが、これからは各店の従業員が責任を持って、ワゴンに分載する。資源再生の出発点なので、施設名も『リサイクルステーション』に改めた」と、SC事業本部玉川事業部管理グループマネージャーの廣瀬陽一氏。

ワゴン位置のマップ。色分けされていて、分かりやすい

ワゴンの位置が分かるように、色分け表示したマップを出入り口の壁に掲示。汚れによる悪臭を防ぐため、洗い場も設けてある。ビンや缶をはじめ、台車の汚れなども洗浄できる。また、発泡スチロールは専用の機械で溶かし固め、15kgくらいの四角柱にしてからリサイクル加工に出す。関わる全ての人がスムーズに行動できるように、随所に工夫が施されている。

目的に応じて投函できる、不要衣料の回収BOX

顧客の不要衣料の回収BOX「Depart de Loop Port(デパート デ ループ ポート)」も設置した。場所は駐車場のある西館3階。マイカー客の利便性を考慮して、売場への通路入り口の脇にある。

「循環型社会へのターミナルとして使っていただけるよう、衣料へのリサイクル、衣料以外へのリサイクル、リユースなど、目的別に4つのBOXを設置した」と、同事業部第2営業グループ第2営業担当次長の島康宏氏。

回収BOX

壁面には説明ボードも。各BOXの目的が書かれている

例えば、衣料へのリサイクルは「BRING(ブリング)」BOXへ。ポリエステル100%の素材は、ケミカルリサイクル技術で何度でも再生できる。野菜や花などを植えられる培地をつくりたい人は「PLUS∞GREEN PROJECT(プラスグリーン プロジェクト)」BOX、土壌改良剤や肥料をつくりたい人は「CIRCULAR FARM(サーキュラーファーム)」BOXへ。そして、リユース希望者は「PASSTO(パスト)」へ投函。難しく考えず、自身の希望に沿って投函していいとのこと。

従業員と顧客、双方が、無理なくリサイクルに参加でき、循環型社会への意識が自然に高まるように考えられたこれらのプロジェクトには、近隣住民や学生らを対象にした視察や環境教育セミナーなども予定されている。来年3月には、春休みに合わせた教育プログラムが行われる予定だ。

(原納暢子)