2024年12月12日

パスワード

32カ月ぶりのマイナスを記録、インバウンドは好調

日本百貨店協会が調査した全国百貨店(70社・178店)の10月売上高は4447億円余で、前年比(店舗調整後)は0.7%減、入店客数は0.6%減で、共に前年実績にわずかに届かなかった。夏日が続く記録的な高温が響き、秋冬物商材が苦戦した。日曜日が対前年で1日減だったことも、マイナス要因となった。増勢が続くインバウンドと、ラグジュアリーブランドなどの身の回り品や化粧品は伸長した。

顧客別では、インバウンドは32.3%増の508億円(31カ月連続プラス)、購買客数は51.8万人(41.3%増)だった。いずれも先月に続き同月対比で過去最高を記録している。24年1~10月の売上高累計は5347億円(104.3%増)となり、14年10月に調査を開始して以来、初めて売上高累計が5000億円を突破。23年1~12月の年間売上高(3484億円)との対比でも53.5%増となった。国内市場(3.8%減)は、秋冬アイテムの動きが鈍かったほか、食料品も苦戦。3カ月ぶりにマイナスに転じた。

地区別では、大都市は0.5%増で37カ月連続プラスだった。インバウンド需要と高付加価値商材などがけん引し、福岡(4.4%増)、大阪(4.2%増)など5地区で前年をクリアした。地方は全地区で前年割れとなり、2カ月ぶりにマイナスに転じた。都市と地方の差は、前月より4.5ポイント拡大している。

商品別では主要5品目のうち、身の回り品(2.7%増)と雑貨(1.8%増)が前年実績を上回った。ラグジュアリーブンドのバッグなど革小物は、引き続き伸長した。化粧品(7.9%増)は、国内外共に好調で、依然として増勢が続いている。スキンケアやメイクアイテムのほか、限定品への関心も高かった。主力の衣料品(4.3%減)は、天候要因からコートなどの重衣料の動きが鈍く苦戦。食料品(2.0%減)は、価格高騰などの影響からマイナスだったものの、菓子(0.1%減)がインバウンド需要で健闘した。物産展などの食品催事は好調に推移し、毎年趣向を凝らし展開しているおせちやクリスマスケーキの予約も堅調な滑り出しとなった。