高島屋、今年の歳暮は“試食”で訴求
高島屋は今年の歳暮商戦で、この時期限定の商品やお取り寄せグルメを揃え、前年超えを目指す。商品の魅力を伝えるための試みとして、6日には抽選で選んだ一般客向けの試食イベントを開催した。同日朝に開催したメディア向け説明会でも、多数の試食用メニューを振る舞った。
同社はこれまで「高島屋のお歳暮」と題していたが、儀礼ギフトが縮小傾向にあることから、2023年に名称を「冬の贈りもの ~高島屋のお歳暮~」に変更。代わりに市場が伸長しているカジュアルギフトや、自分へのご褒美ニーズもターゲットとした。
店頭では約2000SKU、ECサイトでは最大で4200SKUを揃える。高島屋オリジナルの商品を多く用意し、被災した能登半島の復興応援のため、石川県のブランドや素材を使った商品も企画した。売上げは「店頭は前年維持で、ECサイトを伸ばし、トータルで前年超えを目指す」と企画宣伝部企画宣伝担当次長の手島将隆氏は語る。
「モンサンクレール」の「和栗と加賀棒茶のガトーショコラ」(5400円)はオリジナル商品で、辻口博啓シェフが故郷である石川県への想いをスイーツに込めている。石川県でつくられるほうじ茶「加賀棒茶」を生かし、ブランド栗の「利平栗」とほのかな塩味が調和する味に仕上げた。塩は能登半島・珠洲市などで受け継がれる「揚げ浜式製塩」で生産されている。
同じくオリジナルの、「東京・日本橋 アサヒナガストロノーム」の「牛タンと牛ホホ肉の特製ビーフシチュー」(6480円)は芳醇な味わいの牛タンと、とろけるような牛ホホ肉をオリジナルソースで煮込んだ。赤ワインとビーツのソースも付き、好みの味わいにアレンジできる。
こうした限定商品は販売期間や販路が限られ、なおかつ贈答向けのため、購入する客が味を知る機会がないという課題があった。そのため、6日午後には抽選で招待した客に試食してもらうイベントを実施した。今夏の中元に始めた取り組みで、「カタログやホームページで紹介するだけでなく、バイヤーの声、考えをダイレクトにお客様にお伝えしたかった」(手島氏)。夏の試食会には30人弱の枠に1000人以上の申し込みがあり、手応えがあったため、冬も続いて開催することになった。
同日朝に開いたメディア向け説明会でも、試食を提供しながら説明を行った。手島氏は「やはり実際に召し上がっていただくのが一番なので、こうした機会は増やしていきたい」と述べた。
(都築いづみ)