三陽商会、25年SSは軽衣料や高機能セットアップを強化
2024/11/21 1:22 pm
三陽商会は来春夏シーズン、軽衣料やショート丈コート、高機能なセットアップを充実させる。近年の気候変動を受け、春アウターはショート丈の型数、生産数を拡大。中軽衣料はトレンドの素材やデザイン性を取り入れて魅力を高める。春にニーズが高まるオケージョンやビジネスウエアは、機能性や着心地の良さを追求した。
同社は2024年から季節区分を四季ではなく「五季」と捉え、3~4月を春、5~7月を初夏・盛夏、8~9月を猛暑と定義し、それに準じたMDカレンダーで進めている。来年の生産数は2~4月が105%、5月~7月が110%、全体で107%。春物と夏物(5~7月)の割合は今年が65対35だが、来年は60対40を予定する。
こうした方針は猛暑の長期化などが影響しており、3~5月の春~初夏アイテムもこれを踏まえてMDを構成した。ポイントは「春コート・アウターの進化」「NEWビジネス・オケージョンスタイルの提案」「中計衣料の強化」の3つとなる。ショート丈のコート・アウターは型数が前年比120%、生産数が同140%を計画する。
各ブランドを見ていくと、「ポール・スチュアート」ウィメンズは、オケージョンやビジネスアイテムを強化する。17年から展開している、エグゼクティブキャリア向けセットアップ「ファースト」シリーズをリニューアルした。シルク混の上品な光沢の素材を使用し、上質な印象を与えるが、ストレッチが利いていて着心地が良い。
多様化したビジネスニーズに対しては、軽量な「フロータブル」シリーズを展開する。昨年にジャケットを発売したところ売れ行きは好調で、今シーズンは同素材のパンツも用意し、セットアップでも訴求する。
「ポール・スチュアート」メンズは、オフィスからデイリーシーンまで、昨年以上にセットアップの幅を広げていく。目玉アイテムは「リネンバスケットジャージーライトジャケット」で、定番化している「ラミーバスケットジャージー」の夏版として開発した。尾州のオリジナル素材を採用し、ジャージーのストレッチ性と表面感が特長の生地に仕上げた。生地の目付を軽くし、袖裏もなくして夏に軽く羽織れるようにした。
ほかにもフロータブルシリーズ、オリジナルのレノクロス(絡み織)素材のセットアップなどを揃え、月ごとに提案スタイルを変えていく。春アウターとしては、軽くてしなやかな「パーテックス」素材を使ったコートやブルゾン、フロータブルシリーズの表地を使った、軽くて撥水性のあるジャケットなどを展開する。
「マッキントッシュ ロンドン」メンズは、今年好調だったビジネスウエアをさらに強化し、気温に左右されない商品展開を目指す。人気の「フレックスジャージー」「ブリージー」シリーズの素材やシルエットをブラッシュアップし、オールシーズン物から春物、薄手春物、盛夏物と順次投入していく。
コート・アウターは、定番のステンカラーコート「ダンフォード」に加えてパーカー、ハリントンジャケット、フィールドコートなどを用意し、バリエーションを広げる。ただしアウターだけに偏重せず、カットソーも素材やデザインのバリエーションを増やして、初夏から盛夏の売上げを確保していく。
(都築いづみ)