西川の「SLEEP INDEX」 快眠に誘う最適な掛けふとんをデジタル診断
西川は、季節に応じて一人一人に合った掛けふとんを提案できるデジタル診断システム「SLEEP INDEX(スリープ・インデックス)」を8月30日より全国の百貨店、直営店、専門店(一部)でローンチした。快適な睡眠を得る最も大切な条件の1つである「寝床内環境」を実現するために最適な数値を1分程度の簡単な診断によって導き出すサービスで、数値に基づき、季節に応じた快適な掛けふとんを提案できる。同社では一人一人に最適なマットレスとオーダーまくらを判定する独自の非接触型寝具測定システム「PI+MA PITTA(ピマピッタ)」を21年4月より展開しており、ここに掛けふとんが加わり、デジタル活用と数値化に基づく快眠寝具をトータルで提案できるようになった。
快適な寝床内環境「3350」を実現へ
同じ寝室でも、隣は熟睡しているのに、片や暑すぎたり、あるいは寒すぎたりして、眠りが浅い夜がある。こういう経験をお持ちの方々は多いであろう。その原因の1つは、一人一人の基礎代謝量に基づく寝床内環境の違いである。寝床内環境とは、眠る時の人と掛けふとんやマットレスなどの寝具との間にできる空間の温度と湿度のこと。これらが高すぎたり、低すぎたりするとスムーズな入眠ができなかったり、眠りが浅くなったりするという。
寝床内環境は睡眠の質を上げるためには欠かせない条件の1つ。この寝床内環境の2大要素である温度と湿度の理想的な数値を明らかにして提唱したのが、西川の社内研究所である日本睡眠科学研究所で、数々の実験を重ねて、ぐっすり眠るために快適な「温度33℃(±1℃)」と「湿度50%(±5%)」を導き出した。今では、寝具業界の定説と化している。
寝床内環境は、寝室環境に左右され、一人一人異なる。「3350」(寝床内環境の快適な温度・湿度)実現のためには、言うまでもなく掛けふとんの役割は大きく、最適な掛けふとんは季節ごとに異なる。アンケート調査でも、「それぞれの季節で、どのような掛けふとんを使ったら良いのかわからない」という声が多かったという。
季節ごとの眠りの快適指数、わずか1分で
スリープ・インデックスは、こうしたソリューションに応え、一人一人の快適な寝床内環境を叶える条件を数値化して、最適な掛けふとんを提案するサービスだ。しかも数値化は簡単で、タブレット端末の幾つかの項目に入力していくだけ。診断時間はわずか1分で済む。
診断の流れを簡単に説明すると、本人の基礎代謝量と寝室環境から導き出す。基礎代謝量の数値は、性別、年齢、身長、体重の4項目を入力する。寝室環境では、住んでいる都道府県、住宅タイプ(集合住宅もしくは戸建て)、寝室の温度(夏と冬)の4項目を入力していくだけだ。室温が定かでない場合、地域別の平均室温を参考に入力できる。
そして次に、入力内容から算出された季節ごとの眠りの快適指数(スリープ・インデックス=Si)が表示される。例えば、冬が6.0Si、春・秋4.2Si、夏2.0Siというように季節ごとに示される。ここから季節を選択すると指数に適した掛けふとんの推奨品が3パターン表示される。
スリープ・インデックスは、日本睡眠科学研究所と共同開発したデジタル診断システムで、西川が培ってきた新しい理論と技術によって開発された(特許出願中)。しかも企画立案は昨年10月頃で、わずか10カ月でローンチに至った。日本睡眠科学研究所が各大学と連携しながら日々研究を続け、様々なデータが蓄積されていたからこそ、短期間での開発を可能にした。
一人一人に理想的な睡眠寝具を提案
西川は独自の非接触型寝具測定システム「ピマピッタ」を開発し、21年4月初旬より、一人一人に合ったマットレスとオーダーまくらを提案するサービスを提供している。タブレット端末で顧客の正面と横向きの全身画像を撮影(もしくはボディスキャナーを活用)し、各部位のサイズを測定。体型データを分析したうえで、体型にフィットするマットレスとオーダーまくらを判定する。さらにタブレット端末で実際に寝試した時の姿勢(仰向け寝と横向き寝)を撮影して、寝具のフィット感を画像で確認できる。
スリープ・インデックスは、このピマピッタアプリに拡張コンテンツとして新たに導入した。これでデジタル活用とデータに基づく一人一人の理想的な睡眠寝具をトータルで提案できるデジタルコンテンツが出揃ったことになる。スリープ・インデックスは10月より、西川のオンラインサイトでもサービスを提供する。自宅でもスマートフォンやPCを活用して、眠りの快適指数が分かり、快適な寝具も表示される。ただ「店頭で販売員のカウンセリングを受けた方が、商品を試すことができ、より正確な数値や寝具が提案できる」(商品第1部第1課富田明宏課長)。
西川は寝具・睡眠業界のリーディングカンパニーとして、睡眠科学とテクノロジーで社会課題の解決に貢献する「睡眠ソリューション」企業への変革を推進している。一人一人の体型や寝室環境に応じて快適な寝具を数値化して理論的に提案するデジタル測定サービスは、睡眠の質向上に貢献する睡眠ソリューション企業ならではの体験価値の提供であろう。
(羽根浩之)