2024年11月21日

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そごう横浜店の「うまいもの大会」、“王道”と季節感の追求で右肩上がり

今夏で第3回を迎えた「うまいもの大会」。老若男女で賑わう

そごう横浜店に回を重ねるごとに売上げが伸びる催事がある。「うまいもの大会」だ。担当者が1社ずつ交渉して全国から“うまいもの”を8階の催会場に集め、2023年8月17~23日に第1回、今年1月11~22日に第2回、同7月23日~8月6日に第3回を開催。奇をてらわず各都道府県の代表的なうまいものを揃えたり、夏季には氷菓を特集するなど季節感を演出したりといった工夫が、客の心をつかんだ。第1回が7日間、第2回が12日間、第3回が14日間(7月30日は入れ替えに伴い閉場)と、会期も徐々に延長。“稼ぐ力”が認められ、規模が拡大している。

「自分で1社ずつ選び、交渉して誘致している。直接話さないと出てくれない企業もあるからだ。1回目はお盆明けだったが、まだまだ暑く、かき氷やソフトクリームなどを特集して当たった。もう1つのポイントは、各都道府県のイメージに合う名産品や伝統料理、ブランドなどを揃える。大半のお客様はブランドなどの背景に共感して買うわけではない。香川県=うどん、小豆島=オリーブオイルなど、イメージで買う。一部はとがらせているが、まずお客様が来るきっかけをつくらなければならない。そこで大事なのは、分かりやすさだ」

うまいもの大会を手掛ける望月大貴ブランドマネジメント部デパ地下担当自営マーチャンダイザーは、成功の要因を分析する。

季節感の重要性を確信したのは第2回だ。冬季であり、もつ鍋や稀少性の高い「せいこ蟹」を打ち出すとともに、初めてラーメンのイートインを設けた。これが奏功し、売上げは“大台”に乗った。

第3回は前半に大阪府や兵庫県をメインに関西を、後半に菓子をフィーチャー。例えば前半は551蓬莱、くしよし本店、柿の葉すし本舗たなか、後半は有職たい菓子本舗・天音、古都香、WAFLAらが登場した。前半と後半で半分ほどの店舗を入れ替え、客に2回以上の来店を促す狙いだ。横浜市や神奈川県から遠くなくても、オーベルジーヌ三田店、銀座ろくさん亭など「誰もが知っているが、なかなか買いに行けない店」(望月氏)もラインナップし、購買意欲を喚起した。

この「オーベルジーヌ三田店」など、誰もが名前を知っていても、なかなか買いに行けない店も人気

実際、前半の売上げは551蓬莱がトップで、オーベルジーヌ三田店が2位。望月氏の狙いは的中した。「別のモノを目当てに来たお客様の“ついで買い”も引き出すため、拡充したジェラートやソフトクリーム、アイスクリームの店舗も好調だった」(望月氏)という。横浜市初登場の中華そば四つ葉も、オリジナルのメニューを提供してもらった効果が大きく、高い動員力を発揮した。

順風満帆に売上げを増やしてきたが、買い回りに課題が残る。「第3回は前半に粉ものが多く、単価が低い上、あまり買い回ってくれなかった。イートインを満喫した後、3000円台の弁当を夕飯用に買って帰るようなお客様も少なく、求められる価格帯とラインナップが違ったのかもしれない。ラインナップを上質化させるべきか、B級グルメ化すべきか、判断に悩む。前半を上質化、後半をB級グルメ化する手はある。店舗として単一の都道府県の物産展しかなく、今回は東北地方、その次は近畿地方など、テーマ性も必要かもしれない」と、望月氏は進化への腹案を明かす。

うまいもの大会は、まだまだ発展途上。試行錯誤しながら、店舗の収益にとっても“うまい”催事を目指す。

(野間智朗)