2024年11月21日

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丸広川越店で「岡山ご当地フェア」がスタート

大勢で賑わう「岡山ご当地フェア」の初日

丸広百貨店川越店で29日、「岡山ご当地フェア」が始まった。昨年9月に続く2回目で、9月3日まで廣榮堂本店の「元祖きびだんご」、大手饅頭伊部屋の「大手まんぢゅう」、橘香堂の「むらすゞめ」といった銘菓をはじめとする食品、いわゆる「岡山デニム」ら衣料品、雑貨などを販売する。商品の調達は岡山県の百貨店、天満屋が協力した。丸広百貨店は地方百貨店と組み、それぞれの地域の産品を店舗とインターネット通販で相互に販売する「相互OMO」を2022年から推進。これまでに藤崎や福屋、遠鉄百貨店らとも同様のご当地フェアを開いてきた。

昨年は9月7~12日に実施。外商顧客向けに販売する特別品を含め、1200万円超を売上げた。特筆すべきは非食品の健闘だ。他のご当地フェアでは食品の売上げが約95%を占めるが、岡山ご当地フェアは約10%が非食品。岡山デニムがけん引した。

岡山デニムの売れ行きが良かった背景には、丸広川越店の“歴史”がある。同店は約10年前からデニムにフォーカスした催事を年に複数回行っており、催事場での大規模な「デニム博」も定着。顧客の関心は自然と強まり、丸広川越店は「デニムが売れる百貨店」となった。それだけに、岡山デニムにも反応。有田圭一執行役員本店次長は「デニムが好きなお客様が、少し珍しいモノを探しに来て、買って帰った」と振り返る。今年は天満屋の“口添え”で「ベティスミス」が初登場。岡山デニムの、非食品の売上げ伸長に期待がかかる。

昨年も売れ行きが良かった岡山デニムは「ベティスミス」が初登場

食品は昨年、元祖きびだんご、大手まんぢゅう、むらすゞめが“三本柱”で、山珍の「豚まんじゅう」が続いた。今年は「買いやすさを強化」(天満屋の井上繁昭百貨店事業本部MD戦略チーム食品担当部長)。昨年は箱売りが中心だったが、今年は例えばむらすゞめを1個から買えるようにしたり、昨年は10個入りからだった大手まんぢゅうも4個入りからに変更したり、一見の客が手に取りやすいように工夫した。さらに、練り物で知られる長谷井商店、「生トリュフクリーム」が人気のパティスリーWAKANAが初登場。品揃えの幅を広げた。

29日は開店直後から盛況。注目度の高さを窺わせた。9月下旬には宮城県および岩手県の百貨店とのご当地フェアを予定しており、東北や北関東の百貨店とも交渉中だ。複数の地方百貨店による「博覧会」も視野に入れる。

ご当地フェアは互いの店舗で開き、同じく互いの社員が販売する。物流費だけでなく、人件費も嵩むが、収益は黒字だ。若手社員の研さんやモチベーションアップにも役立っており、丸広百貨店は重要な施策として腰を据えて継続していく。

(野間智朗)