2024年09月17日

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エミテラス所沢が9月24日開業、「グランエミオ」と連携

9月24日に開業する「エミテラス所沢」

西武リアルティソリューションズと住友商事が共同で開発する広域集客型商業施設「エミテラス所沢」が、7月31日竣工した。9月24日に開業する。西武鉄道所沢車両工場跡地を含む周辺一体で進められている「所沢駅西口土地区画整理事業」地区内にあり、地上7階建て、延床面積約12万9000㎡、店舗面積約4万3000㎡。1~4階の商業フロアには142店舗の出店が決定し、埼玉初が22店舗、西武鉄道沿線初が65店舗、所沢市内初が94店舗、SC出店初が8店舗となる。約1700台を収容できる立体駐車場も設置される。

富士山を望める4階の「そらくもひろば」

同施設における大きな特徴は①吹抜け空間や館内施設などにDX・AIを活用した最新鋭のシステムの導入②センターコート(仮称)、屋上庭園やフードコートなどの施設に代表される、ゆっくり快適に過ごせる場の設置③これまでエリアになかった全142の多彩な店舗が登場し、加えて「グランエミオ所沢」と連携を強める施策④「所沢タウンマネジメント」を始動させ、所沢エリアのまちづくりに本格的に乗り出した――の4つだ。

DX・AIの活用では、館内の状況を可視化するシステムを導入。館内レンタルベビーカート貸出し状況の可視化では、混雑・行列・満席といった人流の課題をAIやIoTなどのテクノロジーで解決する総合プラットフォームを運営する、バカンのシステムを応用。館内のレンタルベビーカーの貸し出し状況を可視化するサービスを、同社と共同で構築する。トイレ・授乳室の利用状況の可視化では、バカンの「VACAN Throne」をトイレの全個室およびベビールーム内の全個室授乳室に導入する。これにより施設のウエブサイトや施設アプリから、貸出し可能なベビーカーの有無や、トイレ・授乳室の個室利用状況が把握できるようになる。

駐車場出口利用状況の可視化では、ニューラルグループが提供するナンバープレート解析ソリューション「デジスルー」を立体駐車場に採用。駐車場各階出口および外構出口に設置した複数台のエッジAIカメラにより、リアルタイムで予測出庫時間を可視化し、施設内のサイネージへ出庫予想時間と外構出口のリアルタイム画像を表示する。これにより利用者が混雑状況を把握し、出庫タイミングの分散を促せる。

施設中央に位置する約635㎡の大規模吹き抜け空間には、国内の商業施設では最大級の547インチ(縦7m×横12m)の大型LEDビジョンのほか、4基のプロジェクター、11基のムービングライト、25基のスピーカーを設置し、本格的なイベントができるセンターコート(仮称)を開設。スポーツ、eスポーツ、音楽イベントなどを開催し、様々な体験・体感を提供する。また、デジタルテクノロジー集団のワントゥーテンとともに、インタラクティブデジタルコンテンツ「スポットライトオーケストラ」「tokorozawa ドリーム花火」を構築し、日常的にデジタルコンテンツを楽しめる空間を実現する。

約1000席の客席と22の飲食店からなる「こもれびフードホール」(イメージ)

施設内には、ゆったり快適に過ごせる場が随所に設けられる。4階にできる富士山を望める「そらくもひろば」は、屋外と屋内がシームレスにつながる。遊具が配置される屋外部分には子供達がのびのびと遊べ、グリーンやベンチも配置され、散歩や休憩などのくつろぎの場にもなる。屋内部分となる7つのレストランが並ぶ「そらもくダイニング」には、雨の日でも遊べる未就学児用のプレイエリアが設けられる。1階の「こもれびフードホール」は、公園に隣接し森をイメージした天井の高い大空間。約1000席を用意し、新業態、埼玉県初、所沢市内初などの22店舗が揃う。“買い物ついででなく、行きたくなるフードコート”を目指す。

施設中央に位置する吹き抜け空間のセンターコート(仮称)は、所沢の情報発信拠点となり、スポーツイベント、eスポーツイベント、音楽ライブ、プロ野球・西武ライオンズの試合のパブリックビューイング、地域交流などの様々なイベントを開催する。イベントがない時は、テーブルや椅子を置いて憩いの場として開放される。

店舗については全142店舗が決定。埼玉初が22店舗、西武鉄道沿線初が65店舗、所沢市内初が94店舗、SC出店初が8店舗となる。キーテナントはサミットストア(1階)、「niko and…」(同)、ユニクロ(2階)、「H&M」(同)、ドットエスティ(同)、アクタス(同)、スポーツデポ(3階)、ジュンク堂書店(同)、ノジマ(同)、アカチャンホンポ(同)、Tジョイ エミテラス所沢(4階)、namco(同)。

広域集客型商業施設のエミテラス所沢と、鉄道利用者や近隣居住者を中心に利便性が高いコミュニティ型駅ビルの「グランエミオ所沢」とは棲み分けがされた一方で、両施設の連携を強める施策も実施。8月6日に共通アプリ「エミテラス&グランエミオ 所沢」アプリ(アプリ登録無料、年会費無料)が稼働した。両施設のフロアマップやショップ案内機能のほか、両施設共通のポイントサービス「SEIBU Smile POINT」との連携、駐車場満空情報表示、レストラン満空情報表示(参加店舗のみ)などの機能が付いている。

西武グループは所沢エリアを「西武鉄道沿線の中心衛星都市(重要な交通結節点)」と位置付けている。「ベッドタウン」から、暮らす・働く・学ぶ・遊ぶの4要素が揃った「リビングタウン」への進化を進め、2020年に所沢駅のリニューアルと駅直結のグランエミオ所沢の第Ⅱ期開業をもって東口開発を完了。21年にはベルーナドームのボールパーク化、西武園遊園地のリニューアルオープンを手掛け、エミテラス所沢の開業へと駒を進めてきた。所沢タウンマネジメントは、エミテラス所沢開業を機に所沢タウンのまちづくりを本格化させるためで、最初のアクションとして8月22日、所沢の魅力的な場所や人物、イベントなどを発信する公式ホームページとSNSを開設。続いて8月30日には、地域の人達と一緒に所沢エリアに対する想いやこれからのまちづくりに関するアイデアなどについて対話する「第1回コミュニケーションキャラバン」を開催する。

第1回コミュニケーションキャラバンは「これをするなら所沢!」をテーマに所沢駅で開く。スポーツを楽しむ、音楽を楽しむ、自然と触れ合うなどの選択肢から「これをするなら所沢」だと思うアクティビティな回答を収集する。今後、所沢タウンマネジメントは「所沢の魅力や資源を発見する取り組み」「季節や歳時記などを感じることができるまち並みの演出」「企業や店舗、周辺施設、行政と連携した継続的な取り組みやイベントの開催」「公式ホームページを通じた活動の発信」「公式Instagramならびに公式Xを通じた所沢の魅力や活動の発信」などの施策を行う予定だ。

(塚井明彦)