プリンセストラヤの「ダコタ」55周年 ナチュラル感と素材のこだわり軸に

2024/09/19 12:00 am

プリンセストラヤのレザーグッズブランド「ダコタ」は、今年で55周年を迎えた。1969年のデビュー以降ナチュラルテイストを軸に様々な商品を打ち出し、人気を博してきた。今シーズンは記念商品の販売やインフルエンサーコラボなどを実施し、周年を祝うと共に裾野の拡大を目指す。

得意先とのつながりと、柔軟な企画力が奏功

ダコタは当初、バッグの1シリーズ名としてスタートし、そのヒットを受けて展開を広げてきた。「当時はヨーロッパのブランドや情報が本格的に入ってくる前の時代で、それに対する憧れやカジュアルさを指針にしていた」と企画担当の荒屋勝見氏は語る。

同ブランドが重視してきたのが、素材へのこだわりだ。革やコットン、リネンなど、天然素材が持つ風合いや感触、質感を生かした商品を生み出してきた。素材のセレクトは必ず、同社の担当者が自分達の目で見て納得したものを選定している。2000年にはイタリアのベジタブルタンニン材を本格導入し、ヌメ革を基軸としたスタイルを構築した。

加えて、同社のオリジナルブランドであること、同社が卸売りも担っていることも、ダコタの特徴と言える。得意先や店舗とのつながりが深く、その関係性を通じて販売力を高めてきた。ライセンスブランドと比べると自由度が高く、得意先や消費者の声を柔軟に反映しやすいのも強みとなっている。

さらに荒屋氏は、55年間続いたことについて「(一定の地位や歴史が確立した後も)あぐらをかく訳ではなく、謙虚な気持ちで取り組み続けていることが良かったのかもしれない」と述べる。ものづくりに対する真摯で堅実な姿勢が、ブランド長寿化の秘訣のようだ。

「長く受け継がれる」アカンサスロゴの記念商品

ロゴには革小物の制作に使う道具も描かれている

今秋冬には、55周年のオリジナルロゴをデザインに取り入れたアニバーサリーコレクションを発売する。ロゴのデザインにはアカンサスを採用し、ヨーロッパで長く受け継がれているアカンサスと、ダコタの長い歩みを重ね合わせた。50周年の記念ロゴは種をモチーフにしたもので、それが芽吹いて花になったという意味合いもある。

「チーザレ」シリーズは牛革素材にロゴをプリントした、4型のバッグを揃える(2万5300円~3万8500円)。「ロイヤル」シリーズは革職人が牛革に手彫りでロゴを彫り上げた逸品で、トートバッグを1型用意した(12万1000円)。「アニベルサリオ」は綿と牛革のトートバッグで、刺繍でデザインが施されている。アカンサスのロゴのほか、バッグを描いたデザインなど、全5種類の絵柄を展開する(9790円)。

今シーズンはこれらの記念アイテムに加え、織りでドット柄を表現した「ロヴェッタ」、職人が一つ一つメッシュを手編みした「コロラート」など、多様な商品を企画した。「ナチュラルなレザーアイテムというと、デザインやイメージが均質化する傾向がある。ブランドの表現として、新しいチャレンジをして間口を広げたい」(荒屋氏)考えで、ブランドの発展に向けた挑戦にも積極的に取り組んでいる。

インフルエンサーコラボで若年層の新規開拓も

最近は新たな客層を開拓するため、SNSを活用したアプローチも行う。昨年11月に、モデル・インフルエンサーとして活躍する「ゆべし」さんのユーチューブチャンネルで動画を配信。ゆべしさんがダコタ銀座店で買い物するという内容で、ブランドの魅力を紹介した。

今秋にはさらに、周年企画の一環としてコラボ商品を発売。ゆべしさんの意見に加え、ファンに取ったアンケートの結果などを反映して、リュックやショルダーバッグ、財布を制作した。9月上旬に発売し、併せてゆべしさんのアカウントでユーチューブライブも行った。

SNS上のプロモーションでは、多数のインフルエンサーに一斉に宣伝してもらう手法もあるが、「一気に知名度を上げるやり方だと飽きられてしまう恐れがある。(知名度を)少しずつ上げていく方法でブランドを続け、100周年へつなげていきたい」と荒屋氏は話す。新しい挑戦の中でもダコタらしい堅実さを忘れずに、次の目標へ歩みを始めている。

ピックアップ