2024年11月21日

パスワード

購読会員記事

CCC、渋谷エリアでまちづくりと共に業容拡大

渋谷最大級の書店「TSUTAYA BOOKSTORE 渋谷サクラステージ」

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)が渋谷で事業を拡大している。今年に入り、開業して約25年経つ「SHIBUYA TSUTAYA」を4月25日にリニューアルしたのをはじめ、5月27日には銀行内にコワーキングスペース「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)」を出店。7月25日には東急不動産の大規模複合施設「渋谷サクラステージ」の商業ゾーンにブックストア、シェアラウンジなど一挙4店舗をオープンし、渋谷駅周辺エリアでの集積力を一段と高めている。

スクランブル交差点に面したQFRONTにある「SHIBUYA TSUTAYA」

4月に「シブツタ」リニューアル、IPコラボを強化

SHIBUYA TSUTAYAは、4月25日にリニューアルオープンした。同店は渋谷スクランブル交差点に面して立地するQFRONTにオープンして、今年で25年目。リニューアルに際して行われたメディア向け発表会で、CCC代表取締役社長兼CEOの髙橋誉則氏は「1999年1月1日、24時にオープンしたSHIBUYA TSUTAYAが24年の時を経て新しく生まれ変わります。私共はTSUTAYAを通じて日本全国にコンテンツの素晴らしさをお届けしてきた。そしてこのSHIBUYA TSUTAYAは、多くのお客様それぞれが好きに出会える場所をつくり上げました。CCCグループはお客様、企画を生み出す社員、パートナーの皆様、データベースといった知的資本を掛け算して、世の中に新しい価値を生み出す『知的資本カンパニー』を目指しています。その知的資本カンパニーとしての新しい挑戦をSHIBUYA TSUTAYAに実現させました。国内外の沢山の人が好きに出会える場所としてSHIBUYA TSUTAYAにぜひ足を運んで体感していただきたい」と語った。

続いて、CCC渋谷プロジェクトエグゼクティブプロデューサーの蒲田崇裕氏が「SHIBUYA TSUTAYAは25年前に、旗艦店として数々の戦略を担ってオープンしている。当時のTSUTAYAは郊外を中心に900店舗ぐらいあり、CD、DVD、コミック、本などを中心に取り扱い、レンタルも国内最大級を誇ってきた。それが新生SHIBUYA TSUTAYAによって刷新される。新生SHIBUYA TSUTAYAは『IP』と『コンテンツと体験価値を見据えたフロア構成』と『世界に発信するプロモーション』の3つを、取り組むテーマとした」と説明。また「全国で約80店舗展開しているスターバックスコーヒーにしても、全国で30店舗以上あるシェアラウンジにしても、既存のパッケージを通さず、渋谷ならではの要素を生かしている。ここのシェアラウンジはIPとコラボした形であり、スターバックスコーヒーにしてもここならではのコンセプトで五感に訴え、躍動感を出している」と話した。

180席を有するシェアラウンジを併設した「TSUTAYA BOOKSTORE 渋谷サクラステージ」

シェアラウンジは、SHIBUYA TSUTAYAの3階(113席)と4階(139席)に配置。5階にはポケモンカードゲームが体験できる「POKEMON CARD LOUNGE」(82席)がある。2階のスターバックスも店内が様変わり。店内空間に広がる1本のリボンのようにつながる客席(全100席)、店内の壁面に合わせて湾曲し1本につながる縦1m×横35mのデジタルアートなどが登場した。訪日外国人の来街が増えたこともあってスターバックスは満席状態が多くなり、スクランブル交差点を眼下に見られる窓際のコーナーは、いつも国内外からやって来る人のたまり場のようになっている。3・4階のシェアラウンジの窓際席も、スクランブル交差点を一望できるベストスポットとなっている。

SHIBUYA TSUTAYAは地下2階から地上7階までの9フロアからなり、IPを最大のテーマとしてコンテンツと体験価値を提供する空間を色濃く出している。1階・地下1階は様々なIPとコラボし、リアルの場でIPの世界観を体感できる空間とし、6階の「IP書店」はコミック・アニメ・VTuberなど日本を代表するIPエンターテインメントコンテンツが集まり、ファン同士がつながれる書店。7階の「コラボレーションカフェ」もアニメ・コミック・アーティストや、ラグジュアリーブランドを中心とした様々な世界中のファン同士がつながるカフェとした。

渋谷サクラステージではアート、地域応援のショップも

CCCはSHIBUYA TSUTAYA以外に、渋谷エリアにツタヤブックストアとシェアラウンジからなる店舗を渋谷スクランブルスクエアと渋谷サクラステージに出店している。シェアラウンジ単独では、西武渋谷店B館にある三井住友銀行内に「SHARE LOUNGE Olive LOUNG 渋谷店」をオープンしている。シェアラウンジとしては、渋谷駅エリアで4店舗、渋谷区では6店舗となる。

2019年11月に開店した「TSUTAYA BOOKSTORE 渋谷スクランブルスクエア」は、渋谷スクランブルスクエアの11階にある。ここはシェアラウンジとスターバックスコーヒーを併設したBOOK&CAFEスタイルの店舗で、2万冊の本が揃えられ、シェアラウンジ座席数は173席ある。同シェアラウンジはCCCが新業態として立ち上げた第1号店舗。

今年5月にオープンしたSHARE LOUNGE Olive LOUNGE 渋谷店は、三井住友銀行の「Olive LOUNGE 渋谷店」の企画開発に共同で取り組み、同銀行の2階に開設したシェアラウンジ。フロア内には125席のワーク席を備えている。同銀行1階にはスターバックスコーヒーがオープンしている。

店内を一新したSHIBUYA TSUTAYA2階にあるスターバックスコーヒー

CCCの事業をさらに拡大させたのが、渋谷サクラステージへの出店である。ツタヤブックストア、シェアラウンジだけでなく、CCCアートラボが展開するアートの社会実装の場「re-search」と、CCCマーケティング総研が企画に携わり、渋谷から食の物販と体験を通じて地域や生産者を応援する店「CHEEAT TOKYO(チート トウキョウ)」も同時出店した。

渋谷サクラステージでCCC事業が大きく広がったのは、渋谷サクラステージを竣工させた東急不動産とCCCが「まちづくり協定」を締結したことにある。23年5月にまちづくり協定を締結したことで単純な店舗出店だけでなく、東急不動産と一緒に街の賑わい創出、地域の価値を高めていく取り組みが始まった。桜丘エリア、広域渋谷圏において、フード・ミュージック・ゲーム・アートをテーマに、代官山駅前にあるフォレストゲートや渋谷サクラステージ近辺の施設でCCCアートラボによる「Might Bee Classics」と題したアートプロジェクトを展開してきた。

渋谷サクラステージのSHIBUYAサイド4階は、「サクヨン」として注目のフロアになっている。カルチャーとフードが交わるサクヨンにあるのが、CCCのツタヤブックストア、シェアラウンジ、re-searchの3つ。ツタヤブックストア(売場面積約215坪)は、渋谷エリア最大級の書店として約16万冊の在庫を備える。

NICリテールズ首都圏・東日本事業本部第5エリアマネージヤー兼TSUTAYA BOOKSTORE 渋谷サクラステージ店長の野口和仁氏は「30代、40代のクリエイティブワーカーをメインに、渋谷に遊びに来る・仕事に来る10代、20代、渋谷周辺にお住いの30代、40代の方々を対象に、渋谷エリアで働く人に向けて最新のビジネス書を豊富に取り揃え、アートジャンルの書籍も多数集積。渋谷サクラステージが、渋谷駅新南口改札に隣接していて気軽に立ち寄れる立地にあることを踏まえ、欲しい本がすぐ買えるように売れ筋、話題作を入り口周辺に配置する。10代、20代に向けてはコミックやコミックグッズも扱い、渋谷で働き、遊び、暮らす全ての方々に本を通じて知識と想像力を広げる空間を提供していく」としている。

ブックストアに併設しているシェアラウンジ(同180坪)は「全180席を揃え、カフェとしてもワークスペースとしても気軽に利用可能。特にターゲットであるワーカーに向けてビジネス利用に最適な高速Wi-Fiを完備し、複数人での打ち合わせ可能な会議室を備え、周囲を気にせずにオンライン打ち合わせができる完全個室や一人席も多く用意し、集中して仕事ができるワークスペースを提供。また、サクヨンにある飲食店10店舗からの食事をシェアラウンジの席からモバイルオーダーすることができ、シェアラウンジ内で食事を楽しめる」(野口店長)という。

シェアラウンジは国内33店舗に、出店場所が多様化

渋谷スクランブルスクエアからスタートしたシェアラウンジが、渋谷サクラステージのオープンで国内32店舗、海外合わせて34店舗となった。CCCのシェアラウンジは“インスパイアされる時間空間の提案”をコンセプトに、個人が自由に自分らしい働き方ができる場所、知的好奇心が刺激されてアイデアがあふれるような場所を届けたいという役割を担って立ち上がった。「レンタルビデオや書店を展開していることもあり、32のシェアラウンジの中には商業施設や路面店にあるビルの中に出店しているケースが多いが、最近はオフィスの中やタワーマンションの足元、ホテルロビーの1階、公共施設の起業支援施設に併設出店といったように、パートナー企業との協業による出店事例が増え、出店場所が多様化している」(CCC新業態開発本部事業開発部部長高戸祐輔氏)。

7月には、国内33店舗目となるシェアラウンジが大阪にオープンした。7月31日に開業したJR大阪駅上の新駅ビル「イノゲート大阪」の6階に開設した、大阪で3店舗目となるシェアラウンジを有する「TSUTAYA BOOKSTORE イノゲート大阪」である。“これまでより、一歩前に進める場所”をコンセプトにしたBOOK & CAFEスタイルの書店で、売場面積は825㎡。シェアラウンジについては、緑豊かなうめきた公園を眼下に望む解放感あふれた空間で、ドリンクやフードを楽しみながら複数人で利用できるソファ席やボックス席、仕事や勉強・読書などプライベートな1人時間に利用できるワークスペース席、オンラインミーティングも行える個室ブースなど多様な席種120席(BOOKSTOREを合わせて全260席)を備えている。

次なる出店は柏髙島屋ステーションモール。柏髙島屋ステーションモールはS館・本館・新館からなる3館の大規模リニューアル進めており、9月21日には新館10階・11階に柏の人と街をつなげる複合型コミュニティスペース「BeARIKA」が誕生する。新館10階にはポップアップやホール、スタジオなど様々な形態のレンタルスペースを提供。誰でも利用できるカフェ併設のオープンスペースも開設する。同11階にラウンジの居心地とオフィスの機能を兼ね備え、ドロップインでも手軽に利用できるCCCのシェアラウンジが千葉県初出店(東神開発とフランチャイズ契約で出店)。席数は107を用意する。

ほかにOlive LOUNGE 下高井戸へのシェアラウンジの出店も決まっている。ブックスストアについては、7月19日に開業した「そよら成田ニュータウン」に、地域初のBOOK&CAFEスタイルで「TSUTAYA BOOKSTORE そよら成田ニュータウン」 を移転オープン。地域最大級の大型書店で、売場面積は685坪強。7月25日には相鉄いずみ野線ゆめが丘駅直結の大規模複合商業施設「ゆめが丘ソラトス」にオープンした。約380坪の売場面積に約12万冊を揃えている。

(塚井明彦)