2024年11月22日

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ルック、上期業績は増収 国内アパレル事業が好調

「マリメッコ」は「ウニッコ柄」60周年をフックに、数々のプロモーションを展開。下期もイベントなどで集客につなげる

ルックホールディングスの2024年12月期第2四半期(24年1~6月)の売上高は、前期比1.5%増の274億9100万円の増収となった。国内アパレル事業で主力ブランドの「マリメッコ」や「A.P.C.」の店舗販売が伸長し、期初計画の272億円も上回った。営業利益は同29.5%減の9億7200万円、経常利益は同32.4%減の12億2200万円、純利益は同38.7%減の7億700万円。利益については、国内事業はおおむね期初の計画通りに推移したものの、韓国のアウトレットでのセール販売増加に伴う利益率の低下や、欧州での卸売販売の減少などが影響した。今後は好調を持続する主力ブランドの出店強化とともに、海外の不採算店舗の整理・縮小を行い、収益性の向上につなげる。

国内事業は、売上高が前期比1.4%増の121億5800万円、営業利益が同8.3%減の8億7700万円。主力ブランドのマリメッコとA.P.C.が好調に推移し、売上げを創出した。マリメッコは「ウニッコ柄」60周年を記念した限定商品の販売や日本初となるランウェイショー、ポップアップイベントの開催で集客に成功し、ブランド価値の向上にも手応えを得る結果となった。A.P.C.はインバウンド需要の拡大や新規出店、スポーツメーカー、ミズノとコラボしたスニーカー販売などが奏功し、売上げを伸ばした。EC事業においても、マリメッコのショーと連動したライブコマースの配信や、「イル ビゾンテ」のEC限定商品の販売といった施策が当たり、売上げ増に寄与した。

多田和洋代表取締役社長は、国内事業の利益について「円安によるコスト上昇の影響は当初から見込んでいた。おおむね見込み通りの着地」との認識を示す。その上で下期の戦略として、好調を続けるマリメッコ、イル ビゾンテ、A.P.C.と、収益性の高い事業の拡大を挙げる。下期の出店はマリメッコが3店舗、イル ビゾンテが2店舗を予定。マリメッコはウニッコ60周年記念のポップアップイベントを継続し、イル ビゾンテとA.P.C.もコラボ商品の販売で売上げにつなげる。「こうした様々な仕掛けでブランドを盛り上げていきたい」(多田社長)

韓国事業の売上高は前期比4.0%増の143億4500万円、営業利益は同26.1%減の5億6500万円となった。韓国では物価高が続き、中間層の消費が低迷。ルックがターゲットとするミドルからアッパーミドルの層の購買力が落ちており、こうした層でも購買力のある人は海外消費に向いているという。このように百貨店インショップの集客や売上げが減少傾向にある中、ECサイトでの動画配信などで販促を強化し売上げは堅調に推移した。アウトレットでのセール販売が好調だったことも売上げ増の要因となったが、これに起因する利益率の低下が減益要因となった。

欧州事業については、売上高が前期比20.3%減の17億1300万円、営業利益は前年同期が1300万円だったのに対し、今期は1億4300万円のマイナスという結果だった。売上げは主にイタリアの直営店がアジアや米国からの観光客が増加したことで順調に推移したが、主力の卸売事業においては受注額が減少した。これには欧州域内の不景気、中東地域の地政学的リスクの長期化が影響しているという。「近年続いている海外事業の収益性の低下傾向に歯止めをかけたい」(多田社長)として、改善に向け「不採算ブランドの整理・縮小」を筆頭に、韓国での「仕入れの適正化」「百貨店でのプロモーション強化」を進める方針だ。

国内の販路別売上高は、百貨店が前年の30億円とほぼ変わらず29億9600万円だったのに対し、直営店が前期比9.6%増の44億3200万円、Eコマースが前期比3.0%増の23億1800万円と伸長した。

同社は上期業績の発表に先立ち、今年2月に公表した24年通期業績の見通しを引き下げた。国内事業では、好調なイル ビゾンテやマリメッコなどの新規出店を下期も実施することで、期初計画通りの収益が確保できるとしている。一方、海外事業における韓国でのセール販売比率の上昇と、欧州での卸売販売の減少が今後も見込まれると予想。これにより、売上高は570億円から565億円と小幅に下方修正。営業利益は29億円(従来予想より5億円減)、経常利益は31億円(5億円減)、純利益は22億円(3億円減)を計画する。

今年度は28年度を最終年度とする新中期経営計画のスタートでもある。好調なライフスタイルブランドの展開を強化するとともに、海外事業における改善施策に注力し、引き続き収益基盤の拡大に努める。

(中林桂子)