ワシントン靴店、初のLサイズ限定モデルでニーズ対応を強化
ワシントン靴店は7月25日、創業以来初となるLサイズ限定モデルのシューズを発売した。サイズは25cm、25.5cm、26cmの3種類で、4つのモデルを揃える。同社では長きに亘り、他店で取り扱いの少ないLサイズの品揃えに力を入れており、現在は全体売上げのうち4割を占める。今回開発のきっかけとなったのは「大きいサイズだからこそ可愛く見えるシューズがあるのではないか」という発想。サイズだけでなくデザイン性にもこだわった商品を充実させ、大きいサイズを求める顧客ニーズをさらに取り込む構えだ。
同社は昭和39年の銀座本店ビルオープン時より、25cm以上のLサイズの靴の品揃えに注力してきた。当時はLサイズを取り扱う百貨店や量販店がわずかだったことから、「ワシントン靴店に行けば全てのサイズを取り揃えている」という顧客のニーズに応えられると考えた。こうしたことからラインナップの拡大に努め、現在は同社オリジナルシューズの9割がLサイズに対応している。売上げも全体の4割と、通常サイズ(22~24cm)の5割半ばと大差ないシェア率となっている。
営業本部営業商品部WASHINGTON担当チーフリーダーの小野瀬博士氏は「一時期は他店も(大きいサイズを)取り扱っていたが、だんだんメーカーが製造しなくなってしまった」と、かつての状況を語る。同社におけるLサイズの売上げシェアは次第に上昇し、「シェアも40%あるため、逆に広げていった」(小野瀬氏)。中でも特に売れ行きの良いのが25.5cmと26cm。最近ではインバウンドの来店も増加しており、商品によっては用意のある27cmもよく売れているという。顧客からは「新しいデザイン(の靴)が履きたい」という声も多く、デザインの数も増やしているそう。
今回、発売したLサイズ限定のシューズは4つのモデルを揃えた。顧客の「足が大きく見える」というデリケートな悩みを解決するため、足の甲部分のボリュームを抑え、華奢でほっそりと、尚且つバランス良く見える仕立てにこだわった。
「異素材コンビフラットパンプス」(1万9800円)は、甲からつま先へと流れるような美しいラインと切り替えのパターンがエレガントな印象の一足。フラットなヒールで疲れにくく通勤や普段使いにも適している。カラーは3色で、「ブラック」は牛革のエナメル・山羊革・羊革のスエードを合わせ、「ゴールド」と「シルバー」はそれぞれ山羊革と羊革のスエードを合わせる。
「ストラップフラットパンプス」(1万8700円)は、機能性とデザイン性の双方を叶える。8mm幅と細めのストラップは甲をしっかりとホールドして履きやすさを叶え、上品なアクセントにもなっている。カラーは4色で、山羊革を使用したメタリックの「エタン」に、エナメル加工を施した牛革の「ブラック」「ベージュ」「ボルドー」となる。
「ビットローファー」(2万900円)は、マニッシュにもフェミニンなスタイルにも合うローファー。甲革の上の革「サドル」に付けたゴールドのビット(金具装飾)がスタイリングに華やかさを添える。甲を深く包むつくりでホールド感の良さも特長。素材は牛革で、カラーは「ブラック」「ブラックエナメル」「ブラウン」で、ブラウンは甲の上の「バンプ」部分がボアになっている。
「バックルデザインパンプス」(1万9800円)は、甲部分に付いたゴールドの大きなバックルが目を引く。カラーは「ブラック」「ベージュ」「グレー」に、レトロな雰囲気が楽しめるチェック柄の「その他カラー」の4種類。素材はその他カラーがツイードと羊革のスエード、それ以外は牛革を使用する。安定感のある太いヒールで長時間着用しても疲れにくく、オンオフ問わず履けるデザインもポイント。
Lサイズの靴を求める顧客、売上げ共に「シェアはまだ伸びていく」と小野瀬氏は述べる。そのため、今後は全てのオリジナルシューズへのLサイズ導入を目指しており、Lサイズ限定のデザインやカラーの開発も今以上に進めていく方針だ。靴専門店だからこそできる顧客ニーズへの対応を充実させ、他社との差別化戦略を強める。
(中林桂子)