東急百貨店、渋谷の“ダンジョン”攻略にワンハンドフード訴求

渋谷の地下に広がる“ダンジョン”を、ワンハンドフードで“攻略”しよう――。東急百貨店は27日、渋谷 東急フードショー、東横のれん街、東急フードショーエッジで、いわゆる「即食」にフォーカスしたイベント「SHIBUYA FOOD DUNGEON（シブヤ フード ダンジョン）」を始めた。再開発などの影響で導線が分かりづらく、「ダンジョン」とも呼ばれる渋谷の地下に構える3カ所の食品売場を逆手に取り、すぐに食べられるワンハンドフードとイートインスペースをPRして、それぞれを歩き回る“冒険心”と購買意欲を喚起する。

イートインスペースを有効活用する

イベントは7月10日までで、3カ所で計35のショップが参加。渋谷マークシティおよびしぶちか内の渋谷 東急フードショーでは「ジャック イン ザ ドーナツ」のドーナツ、「カールヴァーン デリカテッセン&ビアストップ」の「アラビアン・サンド シャワルマ ローストチキン＆ハリッサ」、「和菓子 楚々」の「抹茶クッキーだんご」など、渋谷ヒカリエ ShinQs内の東横のれん街では「アントニオ」のカルツォーネ、「シェフズプレス」の「トマト＆オレンジミックス」、「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」の「マカロン グラッセ」など、渋谷スクランブルスクエア内の東急フードショーエッジでは「アップヌードル」の「サクサク衣のエビ揚げ春巻き」、「メディテ」の「トルコ名物さばサンド」、「九條屋」の「はしまき」などをワンハンドフードとして訴求する。

「メディテ」の「トルコ名物さばサンド」

開催に当たっては、ダンジョンの雰囲気を文字や絵で表現したPOPも用意。入口や床、天井、イートインスペース、商品の近くなどに掲示して盛り上げる。女性がワンハンドフードを口に入れるビジュアルも印象的で、テレビドラマでの活躍が目立つ俳優の片山友希さんを起用した。

メインビジュアルには、最近の活躍が目覚ましい俳優の片山友希さんを起用

買上げにつなげる施策も事前に講じた。13～26日に3カ所で2000円（税抜き）以上購入した先着5万人に、イベントの期間中に対象店舗で使える「200円割引クーポン」を配布。2000円（税抜き）以上の買上げで1枚という条件はあるものの、最大で5万人の利用が期待できる。訪日外国人にも、中国のSNS「小紅書（RED）」で告知した。

東急百貨店が渋谷 東急フードショー、東横のれん街、東急フードショーエッジを連動させたイベントを開くのは初めてだ。中谷由樹子店舗運営事業部営業推進部営業企画係長は「東横店、本店と閉じていった中で、今も『食』に強いのが東急百貨店。3カ所で約9700平米、約240のショップを擁する。ただ、それぞれは点在しており、新型コロナウイルス禍による外出の自粛もあって『なくなってしまった』と誤解するお客様が少なくない。分かりづらさが面白さになるイベントで認知度を上げ、訪日外国人を含めて新しいお客様を呼び込みたい」と狙いを明かす。

渋谷ヒカリエ ShinQsの様子

歳時記やオケージョンなどの谷間を埋める狙いもある。食品はクリスマスや節分、バレンタインデー、中元・歳暮などで大きく売上げを伸ばす反面、その前後は下がりやすい。3カ所を“面”で見せ、エンターテインメント性を盛り込んだ仕掛けで、新たな売上げのヤマをつくる。

「ダンジョン」や「ワンハンドフード」を取り上げた理由について、中谷氏は「ダンジョンは（よく言われるため）最初から決まっていた。ワンハンドフードは立って食べてもおかしくなく、雑多な文化が混じり合う渋谷にふさわしいと考えた。取引先も渋谷を研究しているからか、各ショップにワンハンドフードが充実していた」と説明する。

今後は半期に1回を目途に実施する方針だ。次回は9月中旬を予定する。「やり切れなかったこともあるし、社内には次回へのアイディアをくれる人も多い。内容はブラッシュアップさせていく。（シブヤ フード ダンジョンを通じて）3カ所の認知度を上げ、クリスマスやバレンタインデーの商戦を活性化する」（中谷氏）。

（野間智朗）