2024年11月24日

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移動スーパー「とくし丸」の雑誌に読者から“熱い”便り

「ぐ~す~月刊とくし丸」の24年6月号

移動スーパーの「とくし丸」が手掛ける雑誌「ぐ~す~月刊とくし丸」が、昨年8月1日の創刊から1年を迎えようとしている。その名の通り偶数月に発行。各地の食に関する話題や、読者から募集した川柳、俳優の中村敦夫氏が答えるお悩み相談コーナー、高齢者層にスポットを当てた社会的トピックスなどを掲載する。編集長で、移動スーパーとくし丸創業者でもある住友達也氏は「多くの読者から熱くなるお便りが届き、雑誌が生きがいとまで言ってくれる読者がおられ、必要とされていることをあらためて再認識した」と語る。読者からの高い支持を励みに、今後も意欲的に誌面づくりを進める。

移動スーパーとくし丸を17万人以上の人が利用している

ぐ~す~月刊とくし丸のメインターゲットは、移動スーパーとくし丸の主力顧客である80歳前後のシニア層。「生きがいや楽しさを提供するための雑誌をつくりたい」との思いで立ち上げた。価格は税込みで280円。誌面の文字の大きさを最大級にして、読みやすくする工夫も施す。

SNSが全盛で、街から書店が減り続けている時代にあって創刊に踏み切ったのは、全国にとくし丸の利用者が17万人以上いるからだ。加えて、独自に確立した販売網を活用し、新刊発売のたびに顧客に届けられる。全国の提携スーパー140社、販売パートナー約1200人を誇る取材網も強みだ。利用者からの意見や感想などの便り、情報を吸い上げて地域に密着した誌面をつくる。

全国を約1200台以上のとくし丸が走る

昨年、創刊に当たって住友氏は以下のメッセージを発信した。

「はじめまして。12年前、たった2台の軽トラックで移動スーパーとくし丸を始めた住友達也です。買物に困ったという方々に、何とか生鮮食品をお届けできないかと考え、当時は無謀とも言われた移動スーパー事業をスタートさせました。創業当時は正直大変でした。行けども行けども商品は売れず、丸1年かかってやっと5台までになりました。2年で9台、3年で28台、その間自分の給料はほぼゼロの状態。でも周りの皆さんのお陰で、現在47都道府県で約1200台ものとくし丸が走るまでになりました」

「とくし丸の本来の目的は、皆さんの自宅の前まで食品をお届けすることです。昨年から食品と共にお楽しみや生きがいも一緒にお届けできないかという想いが強くなり、雑誌を出すことになりました。皆さんの中には活字好き、雑誌好きの方が必ずいるはずです。でも書店も減ってきて、そもそも『自分たちを対象とした雑誌なんて見当たらない』と感じられている人も多いのではないでしょうか」

「『ぐ~す~月刊とくし丸』は、とくし丸をご利用の皆さんに向けてつくりました。その内容は、皆さんが読んで楽しいと思う記事を厳選したものばかりです。特にオススメは読者のページです。全国でとくし丸をご利用の皆さんを、この雑誌を通じて『つなげたい』と本気で考えています。そして、よければ編集部にお便りをお寄せください。この雑誌は皆さんと一緒になってつくる雑誌です。そして『とくし丸は食品だけじゃなく、お楽しみも運んでくれるんだ』。そんなふうに言っていただける移動スーパーになりたいと考えています」

創刊して1年が経とうとする今、住友氏の想いは確信に変わった。「読んでいただければ必ず愛読者になっていただける」(住友氏)。それは読者からの“熱い”便りが続々と届いているからだ。読者からの便りの内容は以下の通り。

「雑誌全ページ読んでおります。感動、夢など老いの私の力になっております。90~100歳までも……それまで元気でいられるかなあ(笑)」(だっぺばあちゃん、84歳、茨城県)「デジタル全盛の現在、あえてアナログ月刊誌は大変有意義なことと大賛成。『とっても良いことです』と叫びました。スタッフの皆様の書評も面白いので引き込まれます。10月号に私の拙い長文が掲載され、まさに嬉しい『まさか』でした。ページをたくさん占領してしまい申し訳ありません。私の一生の宝物として追加注文しました」(イズミケイ、82歳、山形県)「近くのスーパーの雑誌コーナーで初めて貴紙を見付けました。価格も安く迷わず購入しました。『立ち向かう人達』の企画に期待しています。中村敦夫さん、佐高信さんどちらも反骨精神の持主で共感を覚えます。カラー写真もきれいだし、活字も大きく読みやすくとっても優しい本です。編集の方々応援しています」(かたくり、77歳、徳島県)「5月が来たら93歳、またこの度は4月号に拙い文を載せていただきありがとうございました」(的場さん、92歳、岡山県)。

「90歳でもとくし丸読むと元気をもらいます。お友達にも本を回し読みしています。次の3号を楽しみにしています」(宮本さん、90歳、宮崎県)「1ページから最後までちょうど良いです。本当に人生色々です。楽しみが1つ多くなりました」(増田さん、93歳、大阪府)「皆さんの文章に心ときめき、また心に沁みました。広い世界を知るように楽しみに心待ちしています。とくし丸で友達が沢山増えて楽しい話に花が咲いています」(アラレちゃん、85歳、徳島県)「毎回、特集テーマや取り上げている内容のクオリティが高くてびっくりします。編集部の熱いハートを感じます。細かい部分まで読む人のことを想ってつくられているのがわかります。移動スーパーのイメージを変えてくれるすごい雑誌だと思います」(ハナガナル、37歳、愛媛県)。

ぐ~す~月刊とくし丸は、中村敦夫氏の「人生相談」や佐高信氏の「連載コラム(母の空)」をはじめ、人気歌手を取り上げた「蘇るメロディ」、読者のページ「とくとくトーク」など多様なコンテンツからなる。毎回メイン企画として特集ページがあり、創刊号の特集は創刊記念手前味噌企画「特集とくし丸」、10月の第2号では販売パートナーが薦める「地元スーパーご当地グルメ」、12月の第3号で「列島おせち雑煮比べ」、今年2月の第4号で「方言の行方」、4月の第5号で販売パートナーが薦める「地元スーパーご当地グルメ」、そして6月の第6号でとくし丸利用者の出来事をまとめた「特集ふたたび、とくし丸。」を掲載した。

(塚井明彦)