2024年11月22日

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そごう・西武、百貨店業界で初めてNFTアートを販売

そごう・西武は百貨店業界で初めて、NFT(非代替性トークン)を使ったデジタルアート(以下、NFTアート)の販売を始めた。鍵井靖章、MetaKozo、Hayato Koga、Residents、TEAM JOHNの約100点を専用のウェブサイトで扱い、NFTアートに関心が強い若年富裕層を取り込む。常設ではなく実証実験で、約半年間で事業継続性を検証する。NFT CryptoSlamによれば、2023年のNFTの取引量は前年の約1.6倍を記録。世界的なラグジュアリーブランドやスポーツブランド、ゲームメーカーなどもNFTの活用に本腰を入れる。そごう・西武も百貨店業界に先駆けてNFTをビジネスモデルに組み込み、新たな商機や新客との接点につなげる。

6月10日に「NFT PRODUCED by SEIBU SOGO」を開いた。そごう・西武はクリエイターやIP(知的財産)ホルダーらに出品を促し、購入者を募り、売上げの約8%を販売手数料として得る。NFTのマーケットプレイスでは米国のオープンシーが著名で、そごう・西武の石川淳之eコマース部新規事業担当によれば「取引量は世界の半分を占める」という。そのオープンシーと異なるのは出品の方法で、そごう・西武は審査制、オープンシーは誰でも可能だ。ブロックチェーンの種類はパブリック、ログインの方法は「ウォレット」、決済は暗号資産と、そのほかは共通となっている。

そごう・西武は①百貨店が運営する安心感②クリエイターとのネットワーク③リアル空間の活用――の3つを優位性と捉え、実証実験に踏み切った。「NFTを媒体としたソーシャルネットワーキングの場」をコンセプトに、「お客様とクリエイターの双方にとってのデジタル交流の場を設ける。『NFTを所有・応援する』という体験を通じて新たな体験価値を提供し、NFTがより多くの方にとって身近なコンテンツとなることを目指す」(石川氏)。例えば西武渋谷店では昨年3月、11月、今年4月にプロモーションやポップアップイベントを実施。NFTアートに気軽に触れられる機会を提供した。

「若年富裕層を開拓したい」と石川氏。百貨店業界では数年来、外商が好調に推移している。若年富裕層もラグジュアリーブランドや時計、現代アートなどを目当てに流入しており、そごう・西武はNFTアートという新たな商材を用意し、その取り込みに本腰を入れる。

(野間智朗)