2024年5月 大手百貨店4社売上高
インバウンドの好調が継続、食品は鈍化
大手百貨店4社の5月売上高はいずれもプラスで、阪急阪神百貨店が29.0%増、大丸松坂屋百貨店が21.4%増、高島屋が20.1%増、三越伊勢丹が16.7%増となった。インバウンド需要の高いラグジュアリーブランドのアクセサリーやハンドバッグ、UV対策商品のサングラスなど身の回り品が好調に推移した。気温の上昇に伴い夏物衣料品も動いた。
高島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は20.1%増だった。店頭に限ると21.7%増で、2019年比で20.4%増。免税を除いた店頭売上高は6.1%増で、19年比7.0%増となった。店舗別では13店舗のうち9店舗が増収で、大阪(43.2%増)、京都(31.6%増)、新宿(28.6%増)、日本橋(21.8%増)、玉川(14.9%増)と大型店がけん引した。
主要5品目はすべてプラスで、身のまわり品(57.2%増)が高伸長し、雑貨(24.2%増)と家庭用品(13.5%増)も2桁の伸びを示した。品目別では先月と同様に、美術・宝飾・貴金属(32.7%増)、家具(26.3%増)、化粧品(19.0%増)、婦人服・洋品(14.9%増)のの伸び率が高かった。
対国内客では気温の上昇に伴いブラウス、カットソーや日傘、帽子などが堅調に推移した。インバウンドは、ラグジュアリーブランドを中心とする高額品が売上げを押し上げ、単月として3カ月連続で過去最高額を更新した。
法人事業は受注が堅調に推移し、前年実績を上回る3.7%増となった。クロスメディア事業は通販カタログの計画的な部数、ページ数削減の影響により前年実績を下回る10.8%減だった。
三越伊勢丹(国内グループ百貨店含む)の売上高前年比は16.7%増となり、17カ月連続でプラスとなった。首都圏5店舗は21.3%増で、前月と同様に三越銀座店(36.1%増)、伊勢丹新宿本店(23.8%増)、三越日本橋本店(15.7%増)の基幹店がけん引した。
主要5品目は食料品(3.2%減)、家庭用品(4.6%減)を除いた3品目がプラスだった。雑貨(32.5%増)、身の回り品(26.9%増)は約3割増の伸長を遂げ、衣料品(15.1%増)も健闘した。
カテゴリーでは引き続きラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドの衣料品、ハンドバッグ、宝飾、化粧品が好調で、気温の上昇に伴い夏物アイテムへの関心も高まっている。インバウンドは単月で最高額となった24年4月をさらに上回った。
大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)の総額売上高は前年比21.4%増で、17カ月連続でプラスとなった。関係百貨店を除いた店計は20.6%増、入店客数の前年比も3.1%増だった。店舗別では心斎橋(54.1%増)、京都(37.0%増)、博多大丸(25.8%増)、札幌(20.6%増)が高伸長した。神戸(17.8)、梅田(11.8%増)、名古屋(11.7%増)も2桁増だった。
主要5品目は食料品(1.1%減)を除いた4品目がプラスで、衣料品(34.4%増)が高い伸びを示した。婦人服・洋品(40.8%増)は名古屋店の大型改装による売場面積縮小などのマイナス影響があったものの、ラグジュアリーブランドが引き続き売上げをけん引した。紳士服・洋品(0.6%増)は、ジャケットやアウトドア商品が好調だった。身の回り品(9.4%増)はインバウンド需要の高いアクセサリーやハンドバッグが好調だったほか、サングラスなどのUV対策商品が動いた。雑貨(17.4%増)は、インバウンドの増加などにより、化粧品が25.8%増と好調を維持した。食料品は北海道物産展の売上げが好調だったが、土産需要の減少などにより菓子(1.7%減)がマイナスとなった。
阪急阪神百貨店の売上高前年比は29.0%増で、22カ月連続でプラス。阪急本店は46.1%増で依然として増勢が続いている。阪神梅田本店は8.8%増だった。支店も前月に続き増収(11.7%増)で、博多阪急(32.8%増)、阪神・御影(18.9%増)、神戸阪急(16.7%増)、阪急メンズ東京(13.1%増)が2桁増を遂げた。
主要5品目では、家庭用品(2.8%減)を除く4品目がプラスだった。身の回り品(62.8%増)と雑貨(53.7%増)が高伸長した。衣料品(16.8%増)もプラス基調が継続している。