スタイル、24年秋冬 画家・おかべてつろう氏が描くネコのバッグ
スタイルは今秋、新たなライセンスブランド「OKABE TETSURO」をスタートする。画家・イラストレーターのおかべてつろう氏が描くネコをモチーフにした様々な作品を、9つのシリーズで展開。バッグをはじめポシェット、ポーチ、財布、傘を揃える。おかべ氏の絵と詩を合わせた、ストーリー性のある世界観を表現したラインナップで、ファンへの訴求とともに新客に向けてもアプローチする。
おかべ氏は、2003年よりネコをモチーフにした作品を制作している。作品のテーマは「人間の体や心、動物、植物など生命を持つものの神秘的な構造の美しさや内在するエネルギーを表現」すること。おかべ氏自身が生きていく上で大切にしたい想いを言葉にしてイラストに添え、作品一つ一つに物語性を持たせている。イラストだけでなく、こうした言葉や詩も作品の大きな魅力となっている。15年には、小学生の合唱曲として「愛をあげよう」の作詞を手掛けて好評を博し、21年12月にはその詩を基にした絵本「愛をあげよう」を発行した。
「おかべ氏の名前を知らなくても、この絵本を知っている人は多い」と、経営企画室ゼネラルマネージャー兼営業本部Planning Sales部Merchandisingチームの大高かほり氏は説明する。すでに多くのファンを持つおかべ氏とのタッグは、キャラクターライセンスの販売企業からの提案がきっかけだった。作品を見た大高氏は「詩を読むと大人の心にもしみる。(作品の)背景が深いと感じ、興味につながった」と、当時の印象を語る。近年の“ネコブーム”でネコをキャラクターにしたグッズはあまたあるが、それらとはまた異なる魅力を感じたという。加えて「当社が卸を行う他のライセンスブランドと被らず、プラスアルファで色々な展開ができる」(大高氏)ことも、取り扱いを始める決め手となった。
協業の提案があったのは昨年末。そこから契約、商品開発と急ピッチで進行し、今秋のローンチに間に合わせた。当初は来年の春を予定していたが、今年に開催するおかべ氏の個展などの活動と共に、商品展開ができるよう発売を早めた。商品開発にはおかべ氏も加わり、絵の描き直しや色付けなどの協力を得て、作品の再現性にこだわった。
今秋から販売する商品ラインナップは、9つのシリーズで構成する。「猫顔バッグ」はファー素材のポシェット(6930円)とトートバッグ(1万780円)の2型で、おかべ氏の描く代表的なネコの顔を前面に大きく刺繍した。ネコの顔型の「猫顔ポーチ」(3300円)もファー素材で、「ブラック」「ピンク」「ブルー」「ベージュ」の4色を揃える。
「リバーシブルトート」は大(1万3200円)と小(9350円)の2型。表面にはネコ達が歩いたり走ったり、車やバスに乗ったりしている「おでかけ日和」のアートをプリントし、裏面にはワンポイントでネコの顔を付けた。ファスナーポケット付きで、収納性にも長けている。
「アートプリント」は、「こころ咲く日」「いろいろなハート」「それぞれの時間マグ」「楽しい音楽のような日に」の作品を採用。3型のポーチ(3740円~4730円)、ショルダーバッグ(9130円)、トートバッグ(9900円)で、別柄を集めたくなるような充実したシリーズとなっている。
愛らしいネコ達をモノクロプリントし、色のあるハートを刺繍した「レッスンバッグ」では、使い回しの利くサイズの「レッスンバッグ」と「ガマ口ポーチ」(各4400円)を出す。
「プリントコレクション」は、牛革にインクジェットプリントでアートを施した革小物シリーズ。パスケースにもなる小銭入れ(6930円)とファスナー閉じの財布(7700円)、長財布(1万7600円)を揃える。使用するアートは「静かな夜」と「音楽は心を軽くしてくれる魔法みたい」の2つを採用する。
ラインナップの内、3つのシリーズで晴雨兼用の折り畳み傘(各6930円)も用意。「しあわせのまわりに集まろう」「ここは私の咲く場所」「扉を開けば」の3作品を、傘の布地全体にプリントした。いずれもワンタッチで開ける骨組みの仕様で、サイズも55cmと大きめにした。
ターゲットには幅広い年齢層を想定し、「手に取りやすい価格設定や商品構成を意識した」と大高氏は話す。無論、ネコ好きの人や、かわいらしさを好む人なども対象とし、ギフトにも訴求する。主販路は百貨店や専門店となるが、書店などでの展開も構想にある。
今後の販促には、おかべ氏の作品の特徴でもある言葉や詩も前面に打ち出していく。例えば、プリントコレクションに採用する「静かな夜」は、夜空に浮かぶ三日月の上で眠るネコと観覧車に乗るネコ達が描かれたイラスト。それに合わせて「観覧車は静かに回る 月は静かな光で地上を照らす 星は静かにまたたく みんなの安らぎが重なる 静けさに満ちた幸せな夜」と、おかべ氏は言葉を紡ぐ。スタイルは、OKABE TETSUROの世界を展開し、新たな顧客獲得を狙う。
(中林桂子)