2024年07月04日

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三菱地所、イムズ跡地の「(仮称)天神1-7計画」着工

オフィスエントランス吹抜け部(提供:三菱地所)

三菱地所は5月15日、福岡市中央区天神一丁目に計画中の「(仮称)天神1-7計画」を着工した。三菱地所初の都心型商業施設である「イムズ」跡地に開発する複合ビル開発プロジェクトで、区域は天神交差点から半径約500m、福岡市が主導する規制緩和などを活用して民間ビルの建て替えを促進する「天神ビッグバンエリア」となる。新たに建設する複合ビルは、2022年8月にデザイン性に優れたビルにインセンティブを付与する「天神ビッグバンボーナス」の認定を受けており、26年12月末の竣工を予定。着工日には安全祈願祭が行われた。

前身のイムズは1989年、「情報受発信基地」をコンセプトに開業。21年に閉館するまで32年間に亘り文化発信を続けてきた。イムズの誕生から35年の時を経て開発される複合ビルは「福岡文化生態系~福岡のあたらしい文化を共に創造し続ける~」がコンセプト。豊かで潤いある空間を形成し、周辺施設との連携による来街者の往来や、天神エリアの回遊性向上、一体感の創出を目指す。

ビルの用途構成(提供:三菱地所)

計画されているビルの規模は、地下4階~地上21階、高さ約91m、延床面積約7万3960㎡。16~20階にはアジア地域において2施設目かつ九州初進出となる、アメリカ・シアトル発のホテルブランド「エースホテル」が出る。192室の客室に加え、1~2階にはラウンジ、カフェバー、レストラン、ギャラリー、3階にはMICE対応可能なファンクションルームとミーティングルームを備える。19~20階のルーフトップバーは、宿泊者以外にも来街者やワーカーなど街に関わる人が自由に利用できる。

3~5階、7~15階は総面積約8000坪、基準階面積約790坪、想定就業者数約3000人のオフィス空間が整備される。レイアウト効率が高く様々な働き方に対応できる無柱空間のオフィスで、最小区画30坪台から利用可能。三菱地所が18年の本社移転以来培ってきた「進化し続けるワークプレイス×ワークスタイル」に関する知見や、ノウハウを踏まえた提案を行っていく。渡辺通りから視認できる3階角部には、様々なワークスタイルに寄り添うカフェを併設した、一部2層吹き抜けのオフィスエントランスが設けられる。

開放的な地下2階の商業ゾーン(提供:三菱地所)

地下2階~地上2階が約1100坪の商業ゾーン。地下2階は天神地下街、ONE FUKUOKA BLDG.および因幡町通り地下通路とつながる利便性の高いゾーンとなり、日常利用から特別なひとときを過ごせるものまで、様々なタイプのショップ&レストランを展開する予定だ。1階は渡辺通りをはじめ四方の通りに面し、周囲からの視認性の高いゾーンとなる。計画進行中のワンビルや「(仮称)天神ビジネスセンター2期計画」とともに、渡辺通り東側の商業活性化と天神地区に新たな賑わい拠点の創出を目指す。

新築着工したビルは「ZEB Oriented(オフィスゾーン)」、「CASBEE福岡Aランク」および「CASBEEウェルネスオフィスAランク」の認証を取得する予定だ。

(塚井明彦)