2024年07月06日

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<ストレポ5月号掲載>店舗別/品目別 全国百貨店2023年暦年売上高ランキング

売上 

インバウンド増が追い風となっている

本誌調査による全国百貨店の2023年(令和5年)の暦年(1~12月)売上高の店舗別並びに品目別ランキングがまとまった。新型コロナウイルス5類移行による外出機運の高まりで人流が増加したうえ、株高と訪日外国人観光客の急回復によって、大都市圏の基幹百貨店を中心に売り上げ回復に拍車がかかり、コロナ禍前の水準に大きく近づいた。


※この記事は、月刊ストアーズレポート2024年5月号掲載の特集「店舗別/品目別 全国百貨店2023年暦年売上高ランキング」(全33ページ)の一部を抜粋・編集して紹介します。購読される方は、こちらからご注文ください。(その他5月号の内容はこちらからご確認いただけます)


大都市の基幹百貨店がけん引、ほぼコロナ禍前の水準に回復

全国百貨店の2023年(令和5年)暦年(1~12月)売上高(日本百貨店協会調査、72社180店)は5兆4211億円余で、既存店ベース(店舗数調整後)の前年比は9.2%増だった。前年(13.1%増)よりも伸長率は低いものの、コロナ禍前の19年比では3.0%減まで回復し、前年(11.1%減)よりも8.1ポイントも改善した。コロナ禍が直撃した20年と比べ売上高は1兆2007億円も増え、20年の大幅減(1兆5342億円)のうち8割程度を取り戻している。

大都市部の基幹百貨店では既にコロナ禍前の実績を超えた店舗があり、過去最高を更新した店舗さえある。新型コロナウイルスが5類に移行した5月以降、外出機運が高まり、人流の増加に伴い百貨店の売上高も回復基調に拍車がかかってきた。国内顧客需要に加え、訪日外国人観光客が多いエリアの百貨店では、インバウンド需要の急回復という追い風も吹いた。

高額品と季節商材が活況、実質9月よりコロナ前超過

23年の月別商況(日本百貨店協会調査)を簡単に振り返ると、前年に続き2桁伸長した1月は、まん延防止等重点措置の反動に加え、行動制限がなくなった初商が盛況で、クリアランスや物産展などの催事が集客と売上げに寄与した。福袋では物価高を背景に食品など生活必需品を中心に好調だった。

入店客数も2割超伸ばした2月は、1月同様にまん延防止等重点措置の反動に加え、増勢が続く高付加価値商材とインバウンドがけん引し、外出機会の増加やオケージョン需要に伴う衣料品や服飾雑貨も好調だった。

3月は、2月と同様に高付加価値商材とインバウンドがけん引し、気温上昇に伴う外出機会の増加、オケージョン、旅行、ビジネス需要が高まり、衣料品や身のまわり品の売れ行きが好調だった。百貨店各社の外商催事や組織会員施策、ホワイトデーや物産展などの食品催事、お花見商戦も活況だった。

4月も3月の勢いが続いた。特選ブランドなどの高付加価値商材の増勢に加え、旅行や行事に伴う外出機会の増加、マスク着用ルールの緩和などを背景に身のまわり品、衣料品、化粧品が好調だった。外商催事や組織会員向け施策、物産展など各種イベントも活況だった。ゴールデンウィーク(GW)の前半も各種企画が盛況だった。

5月は新型コロナウイルス5類移行による外出機運が高まり、人流が増加したため、旅行、オケージョン、ビジネス需要が活況で、衣料品、身のまわり品、化粧品が好調。物産展や催事もGWを中心に賑わいをみせた。

6月は上旬に台風や大雨による影響が見受けられたものの、中旬以降の気温上昇、外出機会の増加、旅行需要の高まりなど、引き続き衣料品、服飾雑貨、化粧品が夏物商材を中心に好調だった。もちろん高付加価値商材とインバウンド需要も増勢が続いた。

7月は、猛暑が続いた天候与件や旅行需要などによって盛夏商材の売れ行きが良く、ラグジュアリーブランドや宝飾品などの高付加価値商材も引き続き好調だった。インバウンドは3倍超の313億円となり、19年の実績を超え、コロナ禍の20年2月以降で最高額を更新した。

8月は、台風によって一部の店舗で休業や営業時間の短縮を強いられたものの、旅行や帰省など外出機会の増加や連日の猛暑による盛夏商材が活況で、高付加価値商材も増勢が続いた。加えて夏休みのファミリー催事やイベント、食品催事なども賑わった。

9月は、残暑が厳しい天候下でも引き続き身のまわり品、衣料品、高付加価値商材がけん引。インバウンド需要も増勢が継続。外商催事や組織会員向け施策、物産展などのイベント効果も売上げ増に寄与した。19年比では消費増税前の駆け込み需要の特殊要因があり、16.7%減だったが、18年比では2.1%増とコロナ禍前を超過した。

10月は、気温が高かったため秋冬物や防寒商材の動きが鈍かったが、高付加価値商材とインバウンドが押し上げた。インバウンドは円安効果や国慶節・中秋節休暇などによる客数増に伴い、383億円となり、14年10月の調査開始以来、最高額(19年4月344億円)を更新した。19年比は9月と対照的に消費増税の反動で19.9%増となり、18年比では同水準まで復調した。

11月は中旬以降の気温低下に伴い、防寒衣料など季節商材が好調で、高付加価値商材とインバウンドも増勢が継続。インバウンドは394億円となり、前月に続き過去最高を更新した。

1年の中で売上げ規模が最も大きい12月は、新型コロナ5類移行後、初の年末商戦となり、各社の催事などが活況。年間を通じて好調だった高付加価値商材、衣料品、化粧品も動いた。インバウンドは2.2倍超の477億円となり、3カ月連続で単月過去最高を更新した。国内市場も19年比で0.4%増となり、3カ月連続でコロナ禍前を上回り、1年を締めくくった。また12月まで入店客数も売上高と同じく22カ月連続で前年実績を上回った。

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