オイシックス・ラ・大地、日本初のがん患者向け食支援サービス
オイシックス・ラ・大地が展開する食品のサブスクリプションサービス「Oisix(オイシックス)」は14日、がんの治療中の患者と家族の食事サポートを目的とした「がん患者さんとつくったヘルスケアOisix」のサービスを開始した。症状に合わせた2つのミールキット「ヘルスケアKit Oisix」を販売する。化学療法中の人などを対象とした「食べられない、作れない時コース」と、ホルモン療法や経過観察中の人を対象とした「適正体重維持コース」で、コースは国内外のがんと食事に関するガイドラインを参考にした。在宅での栄養管理を目的に、30人以上の医療専門職や15の患者支援団体、企業の協力を得て実現。オイシックス・ラ・大地では「がん治療を支える食生活研究所」も創設した。
食支援サービスは、顧客への定期的なヒアリングの中で、がん患者が抱える食生活への不安とその声が大きかったことがきっかけだ。食の課題に取り組むオイシックス・ラ・大地として何かサポートできないかと考え、開発に至った。患者や医療機関、専門家にヒアリングしながら、栄養管理や精神面の負担軽減につながる商品づくりに取り組み、「安心・安全な食材宅配」「医学的な知見を参考」「がん患者さんの生活に寄り添う」をコンセプトとした、日本初のがん患者向けの食事支援サービスが誕生した。
医学的知見に基づき独自の6項目の栄養要件からつくられたヘルスケアKit Oisixは、「バランスKit」「塩分3g以下Kit」「1日分の野菜Kit」「高たんぱく質Kit」の4つを展開する。販売対象はOisix定期会員(当コース登録者のみ購入可能)で、価格は1セット2人前で1933円、週1回の配送(商品キャンセル、休み可能)となる。
食支援サービスには、30人以上の医療専門職が関わった。がん研究会有明病院の高野利実氏(がん研究会有明病院院長補佐、乳腺内科部長、患者・家庭支援部長)は「がんの患者さんは『食べなければいけない』『食べちゃダメ』というMustの文章で考えがちです。これを『食べたいから食べる』『食べたくないなら無理をしない』というWantの文章に置き換えられたら、大分気持ちが楽になるのではないかと思います。私は『皆さんのWantを大事にしたい』という想いでこのサービスをサポートさせていただいています。がんがあっても楽な気持ちで過ごせるように、食事や日々の生活を楽しめるように、そんなお手伝いをできればと思っています」と表明した。
乳腺専門クリニック、mammaria tsukijiの尹玲花氏は「がんという大病を経験し、食生活について見直す方がほとんどです。どう改善したら良いのか悩み、アレはだめと自分を律するあまり苦しくなってしまうこともあります。これまで病院では、がん治療中の食生活の情報提供に限界を感じていました。患者様も体調もままならないのに食事のことまで手が回らないというのが実情です。専門家監修のサービスを上手く活用して、治療中そして治療後もおいしい食事で健やかにお過ごしいただきたいです。当院のスタッフもヘルスケアKit Oisixを活用し、仕事に子育てに忙しい毎日の食事を支えられています。患者様のご家族にも広く知っていただきたいサービスです」と述べた。
昭和大学病院の垂野香苗氏(乳腺外科 準教授/診療科長補佐)は「がんの治療中、治療後の健康維持の中でバランス良く健康的な食生活を送ることはとても大切です。しかし“バランス良い食生活を続ける”ということはなかなか難しいです。安心な食材の中からバランス良くご自身の体調や状況に合わせて選択できるヘルスケアOisixは、患者さんやそのご家族の強い味方になると思います。治療中やその後も時間や体力がない中で、買い物の手間が減る、時短で簡単に料理ができる、食材を余らせないことも魅力です。これからさらに皆さんの意見から、より良いサービスに成長できることを期待しています」とコメントした。
サービスの開始に合わせてオイシックス・ラ・大地が創設した食生活研究所は、医療機関や専門家の協力を得ながら、がん治療と食生活に関するエビデンスの発信、未だ解明されていないがん患者の「食生活と病気の関係」について、データの分析と臨床研究を進める。がん患者が納得して日々の生活を送れる世の中を目指し、今後はがん治療と食・生活に関するエビデンスレビューや最新情報の共有、必要なエビデンスのための臨床研究の実施、これらの情報を患者や医療専門職へ伝えるためのイベント開催などを行う。
(塚井明彦)