2024年11月22日

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伊藤園が新橋に複合型博物館、“お茶文化”の発信拠点へ

オープニングを祝うテープカットも行われ、華々しいセレモニーとなった

伊藤園は1日、東京港区の旧新橋停車場内に複合型博物館「お茶の文化創造博物館」と「お~いお茶ミュージアム」をオープンした。博物館では、茶の歴史や製法、今日に至る喫茶習慣などを展示や映像で学べる。ミュージアムでは、「お~いお茶」の誕生秘話や茶殻を活用したアップサイクルの紹介に加え、フォトスポットやカフェも併設する。オープン当日に行われたセレモニーには、同社の商品CMに出演する笑福亭鶴瓶さん、中谷美紀さん、市川團十郎さん、有村架純さんもゲストで登場し、開館を華やかに飾った。

同社は今年で創業60周年を迎えるとともに、「お~いお茶」の誕生から35年の節目の年でもある。同博物館を「お茶文化発信拠点」と位置付け、開設の意義を「今までお茶が果たしてきた役割と、人々の生活に寄り添い続ける未来への展望をお伝えしていくことを使命とし『お茶』の価値をより一層高めていく」とした。新橋という立地には、茶の普及と鉄道発展における古くからの深い関係性が理由にある。開設日は、長寿に縁起の良い新茶が採れる「八十八夜」であるとともに、同社の新年度初日でもある5月1日にした。

当時の駅舎外観を可能な限り再現し、2003年4月に開館した「旧新橋停車場」

同博物館は2つの施設で構成される。お茶の文化創造博物館は「お茶を通じた日本の食文化の継承」がコンセプト。「茶の伝播と歴史」「茶の飲み方・つくり方」「茶運び人形(江戸からくり人形)」などを紹介する展示をはじめ、茶の軌跡を辿るシアタールーム「お茶シアター」や、浮世絵を基に再現した江戸時代の庶民の社交場「茶屋」などを展開する。展示物の中には、江戸期に煎茶道で使用していた道具一式や、大名達が遠出の際に持参したとされる野外用茶飲みセット「茶弁当」、駅弁を食べる際の茶として静岡駅で発売された「汽車土瓶」といった、時代を感じさせる品も揃う。

お~いお茶ミュージアムは、コンセプトに「現代のお茶文化を担うお~いお茶を世界中の方々へ伝え継承」を掲げる。同商品の現在までの歩みを、9つのコンテンツで紹介する体験型施設だ。入口ではマスコットキャラクターの「お~いお茶くん」が来館者を迎え、日本初となった缶入り緑茶飲料の誕生秘話やこれまでのヒストリー、茶畑のサステナブルな取り組みや同社独自の茶殻のアップサイクルについて、イラストや映像で公開する。1989年にお~いお茶とともに誕生した「新俳句大賞」にちなんだ俳句の創作や、壁と床に茶畑の空間が広がる「デジタルフォトスポット」での撮影も楽しめる。加えて、わらびもち入りの抹茶や抹茶ソフトクリームが味わえるカフェと、カテキン染めのタオルや緑茶のティーバッグ、スイーツなどが買えるショップも併設する。

6月からは体験型コンテンツとして、急須を使った上級煎茶のお茶入れを、厚生労働省認定の同社ティーテイスターが教えてくれる「日本茶のおいしさ再発見!きゅうすを使ったお茶いれ体験Aコース」や、好きな絵柄やメッセージでラベルデザインができる「オリジナルのお~いお茶づくり」を順次スタートする。

1日に開かれたオープニングセレモニーには、伊藤園の本庄大介代表取締役社長をはじめ、武井雅昭港区長、JR東日本旅客鉄道の喜勢陽一代表取締役社長などのほか、伊藤園の商品CMに出演中の笑福亭鶴瓶さん、中谷美紀さん、市川團十郎さん、有村架純さんも登壇した。

セレモニー冒頭、鉄道発祥の地である新橋での開館に触れた本庄社長は「この場所に恥じない立派な博物館の運営を行ってまいります。また、創業60周年、お~いお茶の発売35周年という節目の年でもありますので、社員一同頑張ってまいります」と挨拶した。

深谷康人新橋駅長の号令で登壇者達によるテープカットが行われた後、4人のゲスト達は静岡茶市場で今年初取引された新茶を味わい、トークを繰り広げた。司会者から館内のおすすめポイントを尋ねられた有村さんは「茶殻のアップサイクルコーナー。SDGsが世の中に浸透してきた中で、こうした大企業が率先して取り組まれているのは影響力が大きいと思う」と語った。

10代の頃からCMに出演している中谷さんは「夏に放映するCMを、真冬に口に氷を含みながら撮影した」と、撮影秘話を披露。同時に、茶にまつわる知識も深いという中谷さんは「展示物に中国の明の時代の煎茶道具があり、よくこの状態で残っていたなと思った」と驚きを明かした。

市川さんは「日本の伝統文化は素晴らしい。それぞれイノベーションの仕方は全く変わってくると思うが、日本の伝統文化であるお茶が、伊藤園の力によってさらに世界に広がっていくことは大変誇らしい」と、開館に言葉を贈った。

緑茶をイメージさせるグリーンの着物に身を包んだ笑福亭鶴瓶さん。出演しているのは、実はお~いお茶のCMではなく同社の「健康ミネラル麦茶」のCMだ。「今日間違えて来たんかな、麦茶もひとつよろしくお願いします」と、会場の笑いを誘った。

(中林桂子)