昭和西川、国内最大級の羽毛リフォーム工場で「100年羽毛」を推進

2024/05/09 3:41 pm

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昭和西川が建設を進めてきた、羽毛リフォーム専用工場「昭和西川羽毛製造株式会社本庄第2工場」が完成した。場所は埼玉県本庄市で、同社の第1工場に隣接する。敷地面積1万1685㎡、建築面積2378㎡、延床面積3933㎡で、6つの羽毛洗浄ラインと4台の羽毛充填機を有する。国内最大級の設備規模を誇り、今後は年間5万枚の加工を目指す。4月25日に行われた開所式には、代表取締役会長の西川惠氏をはじめ、代表取締役社長の田村秀和氏、本庄市市長の吉田信解氏など多くの関係者が集まった。同社が強化を進める羽毛リフォーム事業が、新たな拠点で本格始動する。

2021年の通販番組を機に一気に増加し、4年間で15.8倍の枚数に

同社の羽毛リフォームの件数は、2021年にテレビの通販番組で羽毛リフォームを紹介したのを境に激増した。20年の1260枚から21年は1万150枚にまで跳ね上がり、22年は1万7900枚、23年は1万9920枚と伸長を続け、今年も3万5000枚の加工を見込む。

青空に映える「昭和西川羽毛製造株式会社本庄第2工場」

顧客のニーズ増への対応は無論、羽毛のリフォーム事業は同社が目指す企業価値の創出や、持続可能な社会の実現に向けた取り組みでもある。田村社長は「今ある資源を有効活用する、これが工場新設の最大の理由」と明言する。羽毛のほとんどは外国からの輸入で、羽毛の新毛の輸入量は減少の一途を辿っている。1991年に9000トンだったのが23年には1990トンと8割減。なくなることはないが、増えることもおそらくないと予測される現状だ。

加えて、東京23区で出るごみで最も多いのが布団。年間で約100万枚が捨てられているという。さらに1枚の羽毛布団を焼却すると1.8キロの二酸化炭素(CO2)が排出され、東京23区で換算すると年間で1800トンの排出量となる。田村社長は「パリ協定で、日本は温室効果ガスの排出削減目標として2013年から30年までにCO2排出を26%カットするという報告を出している。しかし限りある資源を燃やしているのはもったいない。日本には2~3億枚の羽毛布団が眠っている(とみている)。それを掘り起こし、年間5万枚加工をさせていただくのが我々の使命」と力強く語る。

羽毛リフォームの重要性について話す西川惠代表取締役会長

25日に開かれた新工場での開所式には、設計施工を手掛けた高松建設の関係者や、土地の取得に関わった茂木不動産の関係者、メディアも多く集まった。初めに同市の金鑚(かなさな)神社が建物完成を感謝する神事を執り行い、次いで開所式が行われた。西川会長は冒頭の挨拶で、工場正面の壁に書かれた「100年羽毛」のワードに触れ、「羽毛布団を100年使おうと、そのためには羽毛をリフォーム、リフレッシュしていこうということ。(顧客に)良いものを長く使っていただく、そのための基幹工場」と説明した。

吉田市長は「羽毛布団が100年使えることを知り、これはすごいことだと思った。SDGsの理念にも沿って、できる限り(資源を)大事に使っていこうという精神を、この本庄の地から全国や世界に向けて発信する工場ができるのは、地元の市長として非常に心強く、誇りに思う」と喜びを語った。

「構想3年、建設1年」と、笑顔で振り返る田村秀和代表取締役社長

工場の完成を「感慨もひとしお」と口にする田村社長。というのも、まだ商品本部長だった頃から工場建設に携わり、土地探しから設計計画まで手掛けたからだ。20年秋頃から場所を探し始め、当初は居抜き物件を探した。本庄市内にあるレンズ工場や印刷工場も見て回ったが、構想に合致する物件とはいかなかった。その後、同社第1工場の隣の土地が見つかり、イチから工場を建てることが決まった。

最大効率を考えた加工ラインの動線も、田村社長が組み立てた。入口は羽毛布団を5680枚ほど収められる巨大空間。そこから奥に流して布団を解体し、羽毛を洗浄して乾燥、充填して縫製、検針後に出荷という工程となる。

顧客から預かった羽毛布団を機械にセットし、手作業で中の羽毛を取り出す

開所式の後には、工場内の案内とともに羽毛リフォーム加工のデモンストレーションも披露された。

工場はゴールデンウィーク明けから試運転を開始し、8月上旬には全てのラインを稼働させる予定。今後はSDGsについて考えてもらうきっかけにもなるとして、本庄市の小学生や中学生の工場見学も計画する。昭和西川は、SDGsの12番目の目標「つくる責任 つかう責任」の推進を掲げており、新工場からの発信力にも期待が高まる。

(中林桂子)

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