2024年07月02日

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円安効果でインバウンドが最高額を更新

日本百貨店協会が調査した全国百貨店(71社・177店)の3月売上高は5109億円余で、前年比(店舗調整後)は9.9%増、入店客数5.0%増となり、25カ月連続でプラスだった。新型コロナウィルス禍前の2019年比でも2.4%増と、プラス基調は継続している。

インバウンドと高付加価値商材が引き続き活況だったほか、各社企画の外商催事や会員向施策、物産展なども集客と売上げに寄与した。月前半の気温低下に伴い春物商材の動きは鈍かったが、オケージョン関連は堅調だった。

3カ月移動平均値は直近の1~3月が10.2%増、12~2月が8.2%増、11~1月が6.5%増、10~12月が6.2%増、9~11月が7.5%増、8~10月が8.8%増。

顧客別では、円安基調の中で訪日旅行の最需要期である花見シーズンを迎え、インバウンドの売上高は148.4%増と24カ月連続のプラス。23年12月の記録を更新し495億円で、14年10月の調査開始以来、最高額となった。19年比でも49.3%増と9カ月連続でコロナ禍前の実績を上回っている。購買客数も同月対比で過去最高の45.4万人を記録した。一方、国内は3.7%増(25カ月連続、シェア90.3%)だったが、19年比では1.0%減となった。

地区別では、大都市はインバウンドと高額消費の増勢が続き30カ月連続プラスの12.9%増で、うち9地区が前年実績をクリアした。大阪(21.8%増)、福岡(20.3%増)をはじめ、5地区で二桁の伸びを示した。徐々にインバウンド需要が浸透している地方も6地区で前年をクリアし、3カ月連続のプラスだった。

商品別では、主要5品目全てで前年をクリア。特に雑貨(20.9%増)と身の回り品(20.8%増)は国内外共に好調で、前年比2割を超える増加率となった。ラグジュアリーブランドのバッグや時計、宝飾品、化粧品の動きがよく、一部商品では価格改訂前の駆け込み需要も見られた。衣料品(5.6%増)は天候与件から春物が苦戦したが、セレモニー関連に動きがみられた。食料品はホワイトデーなどのギフト需要もあり引き続き菓子(3.2%増)が好調で、物産展など催事も盛況だった。新型コロナウィルス5類移行後初の花見商戦は、各社多様な企画を展開し好調な滑り出しとなった。