2024年11月22日

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アイティフォー、百貨店招いた情報交換会に熱気

計9社が参加し、活発に情報交換した

アイティフォーは3月14日、小売業向け基幹システム「RITS(リッツ)」をはじめとする各種システムを利用する百貨店を招いて情報交換会を開き、盛況のうちに終了した。参加したのは岡島、加古川ヤマトヤシキ、京王百貨店、津松菱、ながの東急百貨店、八木橋に新規の稼動などを予定する3社を合わせた計9社の担当者で、アイティフォーがデジタルトランスフォーメーション(DX)に繋がる自社のシステムや機器などを紹介。各社の担当者と意見を交わした。百貨店業界では売場のテナント化や人手不足が加速しており、テナントの適切な管理や人的効率の改善は喫緊の課題だ。DXはそれを解消する手段の1つとしても推し進められており、会は熱気を帯び、アイティフォーに対する要望も多かった。

アイティフォーの本社の12階、セミナールームに9つの百貨店からシステムの担当者が参集。まず、アイティフォーの大枝博隆取締役執行役員事業本部長兼流通・eコマースシステム事業部長が挨拶し、自社の組織や商品、最近のトピックスなどを紹介した。百貨店の担当者に対しては「地方銀行との取引を通じて、地方創生に注力している。それと結び付けながら、恩返ししたい」と述べ、琉球銀行を皮切りに千葉銀行などに広がっているキャッシュレス決済ソリューション、大手の信販会社やクレジットカード会社が利用するロボティックコールシステム(=自動音声による架電業務)、ブロックチェーンの技術を生かしたデジタルセーフなどを挙げ、「百貨店の業務に上手く採り入れられないか考案中」とした。

次に「【DX推進①】郵便コスト削減と効率化(SMS×Chat)」と題し、今秋に郵便料金の値上げが迫っており、ダイレクトメール(DM)、アテンドサービスの受付、友の会の継続意思確認などを定形郵便物からショートメッセージ(SMS)に切り替えると、コストの削減と効率化につながると提案した。具体的な事例として、ある百貨店は顧客向けのDMを1年間に約25万部送っており、費用は約2000万円だが、今秋以降は約2600万円に膨らむと指摘。SMSは1通当たり12円で済み、開封率も高いと強調した。

百貨店の担当者からは「セグメントを上手く使えば有効と考える」と賛同もあったが、「近年増え続ける詐欺との違いをどうするのか」「考えたことはあるが、SMSでURLを開いてもらう仕組みは余計に警戒される。コストは安いが、高齢のお客様が多く、紙媒体は止められない」「なりすましのリスクがあり、従業員同士のやりとりで使うくらいではないか」「LINEを使っており、そちらの方が便利だし安い」といった厳しい指摘が相次いだ。

続いて「【DX推進②】定借テナント精算管理」と題し、テナント化を推し進める百貨店が多く、その契約のパターンが複雑化する中、RITSの機能拡張でテナントの管理を計画していると発表した。現状はテナントが自前のPOSを持ち込み、百貨店のPOSの横に置くケースが多く、面積と業務の効率が悪い。RITSにテナント管理のシステムを加え、テナントには「iRITSpay(アイリッツペイ)決済ターミナル」など対応するミニ端末を使ってもらい、それらを改善する。質疑応答では百貨店から「ポイントの利用で使えるが、iRITSpayはスピードが遅く、そのままでは採用しづらい」「テナントからはレジ周辺で当社のPOSが邪魔と言われる。ミニ端末は便利だと思う」「精算管理の項目に『その他経費入力』とあるが、非常に助かる」と率直な感想が飛んだ。

さらに「【DX推進③】RITSミニPOS」と題し、ある百貨店のオリジナルとして開発したRITSミニPOSを披露。「1台でPOSの機能を網羅する。最近の商流では、打刻数の多い食品売場では堅牢な据え置き型のPOSが、それほど多くない1階以上では機動力に長けたミニPOSが求められる。RITSミニPOSはそれに適う。(オリジナルでなく)標準版を今年4月以降に開発し始める」とPRした。“ある百貨店”の担当者は「便利なのは残高確認。すぐに対応できる。(DX推進②を踏まえて)テナント向けの機能が加わるのは便利。ただ、レシートなど処理速度は向上させてほしい」と語った。

休憩を挟み「RITSに求められる機能等意見交換」「RITSにかかわらず百貨店DXへの意見交換」「新製品コンセプト発表」と進み、最後は懇親会で交流を深めた。

百貨店業界ではシステムの担当者が1人という企業も珍しくない。アイティフォーはユーザ会を定期的に開催し、自社の商品を紹介したり、要望を収集したりするだけでなく、百貨店の担当者同士が悩みなどを共有できる機会を提供。百貨店業界のDXを後押しする。

(野間智朗)