2024年10月30日

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三陽商会、24年2月期は30億円の増収

人流の回復によってリアル店舗が好調だった

三陽商会の2023年度(23年3月~24年2月)の連結決算は、売上高が前期比5.3%増の613億5300円、当期純利益が同29.3%増の27億8700円で増収増益だった。ただし、暖冬によって秋冬衣料が苦戦し、昨年10月に発表した修正計画には届かなかった。

営業利益は30億4700万円(同36.3%増)、経常利益は31億8400万円(同30.7%増)だった。なお、計画では売上高615億円、営業利益31億円、経常利益32億円、当時純利益28億円で、いずれも下回っている。23年度期初に発表した計画は達成している。

売上高は経済の正常化に伴う人流の回復、インバウンド需要の拡大などによって前期より30.8億円増加した。しかし猛暑、暖冬のため下半期は苦戦し、特に記録的猛暑によって9~10月が不調だった。粗利率はインベントリーコントロールによるプロパー販売の強化によって、前期比で0.2ポイント改善した62.2%となった。平均売価は通年で10%上がり、結果として円安や資源価格の上昇による原価の上昇を吸収し、原価率は前年並みを維持した。

販管費は12.5億円増加したが、売上げに連動する販売手数料の5.8億円増の影響が大きく、それを除く実質前年差では6.7億円のプラスで、計画を2.8億円下回った。在庫の削減にも成功し、期末の製品在庫は7.1億円減少した63.9億円。繰越品の徹底消化に努めたため、内容も大幅に改善した。

販路別売上高は百貨店、直営店、アウトレットなどを含めたリアル店舗が前期比6%増と健闘し、そのうち百貨店は4%増だった。大江伸治社長は「コロナ禍後に百貨店市場は急回復しており、高級品市場としてのプレゼンスも高まっている」と語った。

そのため24年度は百貨店への出店を強化する方針で、新規出店を9、改装を約30予定する。都心型店舗へのポップアップや、婦人服4ブランドの複合店舗「サンヨー・スタイルストア」の出店も強化する。百貨店販路の売上高は2%増を目指す。

24年度の業績予想は売上高625億円(前期比2%増)、営業利益33億円(同8%増)、経常利益34億円(同7%増)、当期純利益31億円(同11%増)。売上高は中期経営計画(22~24年度)を達成する見込みだが、販管費が当初計画を11億円上回ると予測し、営業利益以下は中計計画から下方修正した。

(都築いづみ)