2024年10月30日

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アルビオン 、「美白」超える「美迫力」で市場席巻へ

2月18日、革新的な美白美容液「セルフホワイトニング ミッション」(40ミリリットル、8800円、医薬部外品)を発売(写真は昨年12月5日の発表会より)

注)弊誌「ストアーズレポート」3月号の転載です

美白を超える「美迫力」で市場を席巻する――。アルビオンは2月18日、革新的な美白美容液「セルフホワイトニング ミッション」(40ミリリットル、8800円、医薬部外品)を発売した。約120万個に上る角層細胞と、肌の濁りやくすみなどの原因になる色素に、独自の手法でアプローチ。肌を素早く潤いで満たし、白く明るく染め上げ、まるでミラーボールのように輝かせる。近年、美白化粧品市場は国内外で成長の一途を辿るが、ブルーオーシャンを狙うメーカーの競合も激しく、社内では「美白のアルビオン」を自負しながら、劣勢に陥っていた。しかし、満を持して新商品を投入。発売の1カ月前からの予約は好調に推移しており、美白化粧品市場で台風の目になる。

洗練されたデザインが目を惹く

「約50年前に当たる1974年に美白化粧品のシリーズを発売するなど、当社は先駆けだった。同業他社も単品は出していたが、シリーズでは当社が最速。いわゆる『小麦色の肌』がもてはやされた時代で、美白は珍しくもあった。ただ、最近は同業他社が進化させた商品を相次ぎ発売しており、美白化粧品市場で存在感を示せていない。『フラルネ』や『アンフィネス』、『エクシア』などのシリーズでも美白美容液を展開しているが、どうしても乳液など他の商品のイメージが強い。そこで、同業他社を愛用する方も併用できて、最先端の商品を求める方にもマッチする、新しい美白美容液を開発しなければならないと判断した」

丸島陽子開発統括部商品開発部部長は、セルフホワイトニング ミッション(以下、セルホワ)が誕生した経緯を明かす。シリーズでなく単品を選択した理由も端的だ。「どのシリーズにも春夏シーズンは『ブライトライン』、秋冬シーズンは『モイスチュアライン』があり、季節ごとに推奨品を切り替える。ブランドを横断して通年で販売できる美白美容液が必要だった」(丸島氏)。

同社は数年来、ロングセラーを狙える単品を打ち出して育て上げる戦略を推し進めてきたが、美白美容液のカテゴリーはセルホワが担う。美白美容液は研究が盛んで、次々に新商品が登場するため、ロングセラーは難しいとされるが、同業他社には名前を変えずに改良を重ねて売上げを伸ばし続ける商品も存在するだけに、その仲間入りに挑む。

換言すると、競合が熾烈な分野でも“長寿”を見込める自信作だ。角層細胞と角層細胞間を「結合水」(=角層内のアミノ酸や脂質などと分子として結合した、とどまる力が高い水分)で満たし、角層内の光の反射率を高めるほか、健やかな角層細胞を育み、均一に整えることも光の反射率を高め、角層全体の輝きを向上。「黄ぐすみ」(=肌が黄色味を帯び、くすんで見える状態)の原因となる色素「ビリルビン」に着目したケアで肌の透明感を取り戻すとともに、配合された美白有効成分「トラネキサム酸」がメラニンの生成をコントロール。さらにウメ果実エキス、油溶性ビタミンC誘導体を配合し肌の陰りを抑える。

こうした角層と色素の両方へのアプローチが特長で、肌のダメージの要因をブロック。肌を健やかに整えて透明感を際立たせる。みずみずしく柔らかなテクスチャーで、肌に吸い込まれるようになじむ心地良い使用感、キメがふっくらと整いなめらかさを感じられる後肌も、満足度が高い。柔らかなグリーンフローラルムスクの香りは〝癒し〟を感じられ、毎日使い続けられるように工夫した。

「一般的な美白美容液は1カ月や1カ月半に亘り使い込み、ようやく『シミが薄くなった』『肌が明るくなった』と実感するが、化粧は毎日の出来事であり、すぐに『続けたい』『明日が楽しみ』となるべきだ。セルホワは1日で分かる。美迫力という言葉が象徴的で、通常の美白を超える肌実感だ」。丸島氏は独自性を強調する。1日に2回、毎朝晩の使用で常に美迫力をキープできるという。

レジェンドとの会話で生まれた運命的な言葉

美迫力。印象的な言葉だが、販促用に検討に検討を重ねて生まれたキャッチコピーではなく、開発の初期段階から使われていた。そしてそのエピソードが面白く、運命的で、セルホワの成功を予感させる。「顔の角層細胞の数を調べると、約120万個あると判明した。私はそれを多いと驚くとともに、一つひとつをミラーボールにしたいと思った。当社で長くキャッチコピーを担当し『レジェンド』といわれる70代のアドバイザーに話すと、『昔に考えて採用されなかった言葉がある』と提案されたのが、美迫力だった。商品開発部の全員が素敵だと思い採り入れ、すぐに商標登録した」(丸島氏)。

開発の想いがこもった美迫力の文字はパッケージに施され、宣伝物にも使用。同社がパッケージと宣伝物で同じワードを訴求するのは珍しく、個性やストロングポイントを的確に表している証だ。耳なじみが良く、かつインパクトを備え、美白美容液を求める人々にも刺さりやすい。「名は体を表す」はヒットの法則の1つだ。

ビジュアルでも、輝く肌へと導く力強いインパクトを訴求

開発がスムーズに進んだのも、明るい未来を予感させる。丸島氏は「サンプルが3桁に届くほど試行錯誤を繰り返したわけでも、何かに時間がかかったわけでもない。とはいえ、美白化粧品市場においてはメラニンの発生をいかに抑制するかでメーカーがしのぎを削っており、角層を整えるというアプローチに踏み切るべきか、判断に迷った。それでも、角層が整っていれば肌は明るく見えるし、化粧品の役目として使用者の見え方を変えられたなら、その方が良いと結論付けた。実は2000年に『エクサージュホワイト』のシリーズ全体の考え方として、角層にアプローチするという手法は採っており、全くの異例でもなかった」と振り返る。

アルビオンの従来の柱であり、強みだと衆目が一致する乳液も、主目的は「角層を立て直す」。角層へのアプローチは同社の〝お家芸〟だ。

セルホワは機能性だけでなくデザイン性も追求した。色柄も含めてシンプルで「少しおとなしく見えるかもしれないが、(ムダなどを)削ぎ落とした。容器にすりガラスを用いたのは、角層が透きとおるようなイメージ。ボトルを上から見た時、英語でセルフホワイトニング ミッションの文字が目に入るようにした。この部分は別パーツになっており、それほどこだわっている。シンプルで上品に、ただしどこかにアピールポイントがある。そんなデザインを心掛けた」(丸島氏)。

セルフタンニングの美白バージョンに

セルホワの社内評価は上々だ。とりわけ、売上げを左右する美容部員に支持されたのは大きい。「説明が長くなる商品が多い中で、肌実感やアプローチが分かりやすく、お客様に紹介しやすい」という声が多く寄せられた。昨年12月5日には記者やインフルエンサーらを招いて発表会を開いたが、好評を獲得。インフルエンサーには「こんなの初めて」と驚かれたという。

今年1月18日には、全国のアルビオン取り扱い店で発売前の予約取りがスタート。百貨店では好調な滑り出しをみせた。美容部員や記者、インフルエンサーらの評判は必ずしも売上げと一致しないが、セルホワは完全にリンクした格好だ。丸島氏は「美容部員にとっての分かりやすさが奏功した。美容部員には、事前のトレーニングの際に接客で役立ちそうなキーワードを共有するなど(拡販に向けた)一体感もある」と手応えを実感する。

「セルホワが〝ファーストアルビオン〟になってほしい。かつて『セルフタンニング』(=紫外線を浴びずに日焼けしたような肌を演出できる商品)が流行したが、その美白バージョンとして『セルホワムーブメント』をつくりたい。120万個の角層細胞を味方に付け、(大勢の肌を)白く明るく染め上げる」と丸島氏。肌と同じく輝かしい実績を残すため、角層だけでなく、美白を求める人々も味方に付けてみせる。

(野間智朗)