ルックが攻めの新中計、売上利益共に過去最高目指す
ルックホールディングスは2028年度(28年1~12月)を最終年度とする新中期経営計画で、売上高700億円、営業利益50億円と共に過去最高を目指す。主要ブランドの出店拡大や、国外の新規エリアへの進出、EC事業の強化に加え、新ブランド導入などを実施。前中期経営計画(19~23年)で確立した収益基盤をベースに、新中計では収益基盤のさらなる拡大を推し進める。
23年度の通期連結業績は、売上高が前期比1.4%増の554億7500万円、営業利益は同17.1%減の30億6900万円、経常利益は同10.7%減の35億7800万円、純利益は同7.7%減の24億5800万円。韓国でのセール販売増加と、急激な円安による調達コスト上昇で粗利益率が低下。収支を下押しした。
前中計では、経常利益30億円の目標額を22年度、23年度と連続で達成。収益性の高い主力ブランドの新規出店や不採算店舗の閉鎖など、徹底した効率経営による収益構造の強化が結果に結び付いた。一方、売上げについては、収益認識基準の変更前では目標額に未達。多田和洋代表取締役社長は「新中期経営計画では、まずは売上げ目標の必達。3期連続の利益目標の達成も目指していきたい」と意欲を示す。
目標達成に向け、まずは主要ブランドの新規出店を拡大。日本と海外で各30店と、前中計より倍の60店を計画する。国内で50店舗を展開する「イルビゾンテ」は、24年度すでに2店が決定。新中計期間内に少なくとも10店を目指す。「マリメッコ」は同期間内に15の出店を計画し、今年度6店が決定済みだ。今年は年間70型の日本限定商品も投入する。幅広いカテゴリーアイテムで老若男女問わず多くの顧客を持つブランドとして、地方・郊外百貨店への出店も積極的に行っていく。「A.P.C」も着実に店舗数を増やし、今年度内に日本で3店を予定する。
次いで新規エリアへの出店。イルビゾンテの北米エリアでの拡大に加え、同社初となる東南アジアへの進出も検討中だ。「国内店舗でも東南アジアのインバウンドが増えている。ポテンシャルがあるのではないか」と多田社長。有力な候補地としてシンガポールやタイを挙げ、さらに台湾での出店の可能性にも言及した。
EC事業の強化については、グループ全体で売上高140億円、EC売上げ比率20%、国内会員数200万人を目標に掲げる。顧客のリアル店舗への回帰による落ち込みもあり、現状のEC売上げ比率は13.6%。新型コロナウイルス禍で構築したECチャネルと店舗との利便性を高め、顧客満足度向上を図る。「今後も重要な販路。巻き返していきたい」(多田社長)
新規事業として、日本と韓国で3ブランドの取り扱いをスタートさせる。日本では25年春、英の老舗レザーブランド「Smython(スマイソン)」を販売する。多田社長が事業部長の頃からアプローチをかけてきたブランドで、筆記具やノートなどのステーショナリーから財布、バッグ、ホームアイテムまでと上質な革小物を揃える。初年度に5店の出店を見込んでおり、29年度時点で12店、売上高15億円を目標とする。「品があって質が高い、歴史のあるブランドのブランディングが得意なのが当社の強み。じっくりと腰を据えて販売していきたい」と、多田社長は意気込みを語る。
そのほか、韓国では今春に仏のメンズブランド「FURSAC(フルサック)」、今秋に伊のファッションブランド「MSGM」の販売を開始。「前中計では新ブランド(の導入)は物足りない結果になったと考えている。新中計の最終年度には、新ブランドだけで売上高30億円を達成したい」と多田社長。ディフェンス重視の前中計で築いた収益基盤を土台に、攻勢を強める。
(中林桂子)