スリープセレクトの「シーリー」、電動ベッド拡充で新客獲得へ

2024/01/11 10:11 am

スリープセレクトの「シーリー」は、電動ベッドの販売を本格化する。「アジャスタブルベッドセレクション」から、ベッドフレームとマットレスの間に置く「アジャスタブルベース」が2タイプ登場。寝姿勢と脚の高さが選べて、オプションで音声によるリクライニング操作もできる。厚さ30cm以下のマットレスに適した「AJB-03」は2023年12月下旬に発売し、37cmの厚いマットレスにも対応する「AJB-SL01」は、今年4月に発売予定。新型コロナウイルス禍以降、睡眠へのこだわりを持つ人が増加し、若い世代の客も増えているという。機能性と快適さを両立した商品を充実させ、新客獲得へ攻勢を強める。

4月の発売を予定する新作の「AJB-SL01」

同社では、この1年の間に電動ベッドのラインナップを急激に増やした。背景には、睡眠への意識変化や、スマートフォンでゲームや動画を見る時間の増加、従来の「介護用」というイメージが薄れてきたことがある。これまで、同社の顧客は子育てが一段落し、家のリフォームや引っ越しなどを機に買い替える40代以上がメインだったが、コロナ禍を機に30代前後の若年顧客が一気に増加。「ソファを買わずに、ベッドをリクライニングに変えたいという声が多い」と、営業企画部マネージャー兼睡眠改善インストラクターの鈴木美穂氏は話す。

コロナ禍中の売上げも好調だった。「良い眠りから健康になろう」と幅広い年齢層の顧客が上位ラインを購入し、客単価が上昇。若年層でも高額な商品を買うケースが増えた。

アフターコロナの今、「ある程度一巡し、快適なマットレスは当たり前。次はいかに自分の生活にフィットさせるかで、リクライニングのニーズが高まっている。1ステップ上げて、ベッドの『使い方自体を変える』というニーズも実感している」と、鈴木氏は手応えを口にする。リクライニングの場合、ベッドフレームなどを含めたセットでの購入となるため、単価アップにもつながる。

かなり厚みのあるマットレスも、リクライニング面が開きながら稼働するため曲げられる

昨年12月に発売したAJB-03は、30cm以下の厚さのマットレスに適したアジャスタブルベース。価格はシングルが14万800円、セミダブルが17万3800円となる。今年の4月に発売予定のAJB-SL01は、厚さ37cmのマットレスにも対応するアジャスタブルベース。マットレスを乗せる面がスライドしながらリクライニングする仕組みで、腰部分の面がリクライニングと同時に開いていくため、腹部の圧迫も緩和する。価格はシングルが20万9000円、セミダブルが22万5500円。

AJB-03とAJB-SL01はそれぞれ3種類の寝姿勢が選択でき、脚の高さも4段階で調節可能。寝姿勢は、いびきを軽減するとされる15度になる「いびき防止ポジション」、膝と心臓が同じ高さになる角度の「無重力ポジション」、テレビが良く見られる「テレビポジション」で、脚の高さは、床から17.5cm、22.5cm、27.5cm、32.5cmとなる。

緻密な設計による複雑な形状で、快適性とサポート力を両立させるコイル

リクライニング対応のマットレスも豊富に揃える。①TIW-R(ソフト/ハード)②TIW-R ET③Premium EPT Ⅱ④Premium TT Ⅱ⑤Performance EPT Ⅱ⑥Performance TT Ⅱ⑦Performance Ⅲ⑧Essentials Ⅱ――を、23年12月下旬~24年1月に発売。サイズは①②がシングルとセミダブルで、③~⑧はダブルとダブルワイドも用意する。

快適な寝心地を可能にするのは、マットレス内部の構造にある。➀と②に内蔵するのは米国で特許を取得したシーリー独自の「ポスチャーテックコイル」の上級モデル「タイタニウムコイル」。原材料に微量のチタンを含有させ、耐久性とソフトなフィット感を向上させた。独特の角度でカーブを付けた線径2mmのセンサリーアームにより、荷重がかかるにつれて反発力が増す仕組みだ。体の軽い部分は柔らかく、重い部分はしっかりと、体の各部位に合わせてサポートする。

③④⑦に採用する「レスポンスPro HD エンケーストコイル」は、コイルの上部と下部のカーブが大きい砂時計型のコイル。2段階の反発力を発揮して体への適正なサポートを実現する。⑤⑥⑧に採用する「レスポンスPro エンケーストコイル」は、コイル中部のカーブを大きくした樽型のコイル。精密に設計された形状により、正しい寝姿勢と体全体のサポートを叶える。

鈴木氏は「ベッドの快適な寝心地はもちろん、プラスアルファでリクライニングを付けた。『ライフスタイル』のカテゴリー商品として、オールターゲットに使っていただきたい」と、意欲を示す。電動ベッドへの関心の高まりを追い風に、さらにニーズを深耕する構えだ。

(中林桂子)

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