日清オイリオ、オリーブオイルの高い品質管理で国際認証取得
日清オイリオグループは先ごろ、国際オリーブ協会(IOC)が定めるオリーブオイルの国際認証内の「理化学分析ラボtype B認証」を取得した。理化学分析ラボ認証は、IOCが推奨する「正確で信頼性の高い分析試験法」を適用できる能力が認められた試験所に与えられる認証制度。基礎的な認証タイプ「type A」より上位の「type B」の取得には、高度な理化学分析能力と熟練度が求められる。食用油のリーディングカンパニーとして、分析技術を磨き続けるとともに、「オリーブオイルの品質管理レベルの強化」「安心安全な商品提供」を目指す。
スペイン・マドリードに本部を置くIOCは、オリーブオイルとテーブルオリーブの国際協定に基づく政府間機関。オリーブオイルの国際取引における不正行為や偽和(100%天然純粋の精油に、多量の別の精油や、合成物質を加えて本来の精油を大幅に増量する偽装行為)を防止し、品質や純度、真正性を管理するための品質基準および分析試験法を策定・更新している。
理化学分析ラボの認証は、書類審査と技能検定で判定される。認証タイプはtype Aとtype Bの2つ。分析試験項目は多岐に亘り、日清オイリオが取得したtype Bの分析認定範囲は、➀遊離脂肪酸(酸度)②過酸化物価③紫外線吸収270nm/268nm④紫外線吸収232nm⑤紫外線吸収△K⑥水分および揮発性成分⑦石油エーテル不溶分⑧脂肪酸エチルエステル⑨脂肪酸組成⑩トランス脂肪酸⑪デスメチルステロール組成⑫総ステロール⑬ポリフェノール⑭トコフェロール⑮α‐トコフェロール⑯トリグリセリドと脂肪酸のコヒーレンス⑰ワックス⑱脂肪族アルコール⑲ECN42トリグリセリドの実測値と理論値の差⑳スティグマスタジエン㉑2-グリセリルモノパルミテート㉒エリスロジオール+ウバオール㉓不ケン化物――となる。type Aは➀~⑦が範囲。有効期間は12月1日から翌年11月30日までで、毎年更新が必要となる。
オリーブオイルは植物資源のため、生産地や品種、気候、収穫時期、搾油方法などにより、風味が異なる。近年は生産地の干ばつなど気候の影響で、生産量や作柄の変動が大きくなっている現状がある。日清オイリオでは、味や品質維持、供給安定化のため、3つの技術の研さんに注力している。
1つ目は「風味設計技術」で、IOCの国際基準による官能評価技術の熟練に努める。さらに毎年オリーブの収穫時期には、風味の異なるオイルを商品特性に合わせて選定し、原料を調達する。2つ目は「製造技術」で、産地から充填まで、一貫して空気に触れない輸送・貯蔵の徹底。一部製品では食用油を容器に充填する際、容器内の酸素濃度を低減させる「酸化ブロック製法」を用いて、開封前の酸化を抑制する。3つ目は、今回のtype B認証取得をはじめ、国際的にも信頼性の高い分析技術を修練する「分析技術」。原料選定から製品出荷までの各工程で、理化学分析、安全性や残留農薬分析の実施、国際規格や日本農林規格(JAS)および同社独自基準での管理を行う。
同社がイベント時に開催するオリーブオイル講座は、毎回人気を博す。今後も日本のオリーブオイル市場のさらなる拡大に向け、高度な管理体制の構築に取り組む。