2024年11月22日

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渋谷最大級の次世代型ランドマーク「渋谷サクラステージ」竣工  東急不動産黒川氏、まちのにぎわい機能を語る

外観に「キネティック・ファサード」 を採用し、満開の花びらが織り成す美しさを表現

東急グループは先ごろ、「Shibuya Sakura Stage」(以下、渋谷サクラステージ)の竣工・記者発表内覧会を行った。東急不動産都市事業ユニット渋谷開発本部執行役員本部長の黒川泰宏氏は「渋谷サクラステージが担う渋谷駅周辺の回遊性と体験発見を通じたまちのにぎわい機能について」を以下のように語った。


東急不動産の黒川執行役員本部長

長い年月をかけ、また都市の課題解決に向けて開発を進めてきた「渋谷サクラステージ」が、渋谷最大級のスケールとインパクトを誇る次世代型ランドマークとして、本年11月30日の竣工によりいよいよ始動します。竣工以降順次開業し、店舗などがおおむね出揃うタイミングで、地元、行政、周辺事業と連携した第3期まちびらきを2024年7月26日に予定しています。

渋谷サクラステージは、東急グループの渋谷まちづくり戦略「Greater SHIBUYA 2.0」を体現する施設となります。東急グループでは渋谷駅を中心とした半径2.5km圏内を「広域渋谷圏」と定義して、働く・遊ぶ・暮らすが融合した持続性ある渋谷型都市ライフの提案を目指しています。

オフィス・商業施設・ホテルに加え、渋谷駅中心地区で唯一住宅を有する本施設は、渋谷型都市ライフを具現化し、その象徴となる施設にしていきたいと考えています。「渋谷の新たな玄関口の誕生~めぐり歩いて楽しいまちへ~」という渋谷サクラステージのコンセプト実現のため、働く・遊ぶ・暮らすの中に多様な賑わいの創出や国際競争力の強化をテーマに、ハードとソフトの両輪での様々な仕掛けをして、このまちで新たな体験や事業が生まれ続ける次世代型施設となることを目指しています。

周辺地区と連携した縦軸動線「アーバン・コア」が導入され、地下からの移動がスムーズに

まずハード面ですが、オフィス機能は渋谷駅周辺再開発において最大級の基準階約840坪、賃貸面積で約10万㎡のスケールがあり、渋谷のまちを望む高層部に位置しています。低層部には充実した規模の商業ゾーンが広がり、働きながらも常に賑わいを感じられます。JR渋谷駅直結の大規模物件という利便性と稀少性を特に評価いただき、竣工した時点で当社床は約95%までが契約済みです。テナント構成としてはITとエンタメ企業で約8割と、渋谷らしい業種のテナントが多くを占めています。

渋谷サクラステージの賑わいの一翼を担う商業施設は、全体で約100店舗、当社区画で約50店舗の出店を予定しています。複数のコンテンツ、IT系テナント、ブランド体験型ストアの出店が決まっており、うち体験型テナントの比率は全体の約4割です。商業施設がイベントスペースやサイネージと連動することで、店舗内にとどまらないリアルとデジタルを掛け合わせた次世代の体験を提供します。当社区画においてはすでに100%契約済みで、24年7月のまちびらきイベントまでには全テナントがオープンする予定です。

SAKURAタワーの16~30階に入る住宅機能は、代官山や南平台といった東京屈指の高級住宅街を後背地に持つ桜丘に、渋谷駅中心地区では唯一となる住宅「ブランズ渋谷桜丘」が誕生します。SAKURAタワーでは、ビジネスマンやインバウンド観光客の受け皿となるサービスアパートメント「ハイアット ハウス 東京 渋谷」が、首都圏初のハイアットブランドとして24年2月26日に開業予定です。

次はオフィスワーカーや居住者をサポートする機能です。SHIBUYAタワー最上階の38階には、食を起点とした起業支援施設「manoma」が24年2月に開業。そしてSHIBUYAタワー7階には東京大学医科学研究所と連携し、ビジネスパーソンの健康増進をサポートする「国際医療施設」と、当社が都内を中心に展開する会員制シェアオフィス「Business-Airport」が24年7月に開きます。さらにSAKURAタワー5階には、就学前の児童を対象としたインターナショナルスクール「CTIS Kindergarten Shibuya」が24年4月にオープンします。

また、オフィスや商業施設、住宅といった機能と有機的に交わりながら、渋谷というまちが持つ圧倒的発信力の強みを基に、それらを最大限引き立たせるための場所を用意しました。それは本施設の各所に配置された広場やイベントスペース、デジタルサイネージで、本年12月に始動します。さらに本施設と渋谷フクラスをはじめとした当社周辺施設と連携させていくことで、複合イベントの開催や都市メディアとしての発信などを通じ、まちの魅力を加速させていきます。

まずSHIBUYAサイドとSAKURAサイドをつなぐ3階デッキには、賑わいあふれるまちの中心となる「にぎわいSTAGE」が誕生します。広場中央にある水盤や桜の木をイメージしたクラウド状のエレメントから光や音、ミストシャワーなどの演出を行い、キッチンカーやステージを使った賑わいを創出するイベントを実施していく予定です。夜にはデザインコレクティブであるフロウプラトウ社を起用して、人流や気象データの活用により365日異なる空間演出のライトアップを実施します。

JR渋谷駅の新改札からデッキでつながる、駅から最も近く、圧倒的なトラフィックが見込める場所に、国際都市・渋谷の“顔”となるイベントスペースを配置した訳です。天高5mの開放感と各ブースに大型LEDビジョンを設置し、さらに厨房施設も併設し、車の展示やコスメ、食品などの企業プロモーションや音楽やアート、ダンスなどのパフォーマンスイベントなど、渋谷ならではの多様な体験価値を体験、発信できるイベントスペースとなります。

本施設では3階イベントスペースやオフィスエリアでNTTグループの「IOWN」を搭載します。IOWNの特徴である高品質・大容量・低遅延性能は、クリエイティブ産業が集積する渋谷において、映像・音楽などの制作現場や多言語翻訳対応の会議など、様々なシーンで活用が見込まれます。IOWNのもう1つの特徴でもある省エネルギー化も、東急不動産ホールディングスのスローガンである「WE ARE GREEN」の環境経営の理念と合致しており、これを機に渋谷において環境先進都市の実現を目指していくことになります。

続いてデジタルサイネージ。象徴的なデザインであるアート性の高いストリートビジョンや駅利用者からも目を引く全長117mのレールビジョンなど、発信力の高いサイネージを設置しました。広場やイベントスペースに加えて、当社周辺ステージのサイネージも活用・連動させた同時展開を行うことで、五感に訴えかける渋谷から世界に向けた圧倒的なコンテンツの発信が可能となります。

外観も特徴的で、本施設では鮮明なピンク色を散りばめ、満開の花びらが織り成す美しさを表現した動く外観「キネティック・ファサード」を採用。歩きながら見ると常にデザインが動いているような仕掛けを施してあり、来春には足元に新たに植えた桜の街路樹と一体となった鮮やかなピンクの景色が、まち行く人々を迎えることになります。

ここからはハード面の機能を活用した今後の具体的な施策についてですが、本施設では主にゲーム、次世代クリエイター・アーティストの支援、スタートアップ支援、パートナー競争によるイベントの開催を切り口として、竣工直後から様々な取り組みをスタートさせていきます。渋谷サクラステージでのこれからの具体的施策の1つ目は「GAME」を起点とした国際的なインディゲームクリエイターの聖地づくりです。渋谷のまちと親和性が高く、性別・年齢・国籍問わず、誰もが楽しめるコンテンツであるゲームに着目し、日本の優れたゲームコンテンツと次世代クリエイターの海外進出支援や、海外の優れたクリエイターを誘致する国際交流拠点を24年4月、商業エリア4階に開設します。

2つ目は次世代のアーティスト・クリエイターの支援です。23年5月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ社とまちづくり協定を締結し、共同でのアートイベントを通じて次世代アーティスト支援に取り組み、本年12月には次世代クリエイターの活躍の場創出を目的として、デジタルハリウッド大学や青山ビューティ学園の若手学生クリエイターらと共同でダンスパフォーマンスを開催します。

3つ目としては、当社のパートナーであるマサチューセッツ工科大学の産学連携プログラム「MIT ILP」を通じ、スタートアップを支援する場となる「(仮称)Shibuya Deep -tech Accelerator」を24年秋、セントラルビル内に開設します。MITと共に新規に開発するアクセラレータープログラムを提供し、世界最高水準を常に体験できる環境を整備し、ここを拠点に広域渋谷圏におけるイノベーション・エコシステムの構築を推進します。

「にぎわいステージ」は人流や気象データなどを活用した演出によって、365日異なる空間を創出する

4つ目は、まちとともに始まるイベントスペースや、デジタルサイネージなどを活用したパートナー共創によるイベントです。本日の夜にはファッション誌VOGUEと連携した「渋谷サクラステージ プレ オープニング パーティー」を開催します。このイベントは3階のにぎわいステージやイベントステージ、デジタルサイネージなどを連携させたこけら落としとなります。12月16~17日開催の「バーチャルマーケット 2023 リアルin シブハラ」は、広域渋谷圏を舞台にした世界最大級のメタバースイベントで、渋谷サクラステージに加え、当社施設である「アンノン原宿」「ワーフ原宿」、東急グループの「渋谷109」など、リアル会場とバーチャル空間を掛け合わせ、渋谷の魅力をグローバルに展開します。

渋谷広域圏では「Forestgate Daikanyama」(23年10月開業)、渋谷サクラステージ(23年11月30日竣工)、東急プラザ「ハラカド」(24年春開業予定)、「代々木公園Park-PFI」計画(25年2月供用開始予定)の4つのプロジェクトを進行しています。これらの施設同士やエリア間の連携を推進していく施策として、当社は「人と、はじめよう。」をコンセプトにした「PROJECT LIFE LAND SHIBUYA」を立ち上げ、広域渋谷圏を舞台に多様な人や他業種の企業と共に、まちづくりを推進する取り組みを開始しました。

まちで新しい体験や事業が創造され、それを世界中から共感、発信を行うことにより、共感してくれた多様な人や企業がさらに集積する、そういった好循環をこの渋谷サクラステージからも生み出してまいりたいと考えています。

(塚井明彦)