2024年11月22日

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ミキハウス、梅田阪急店を拡大 高まるインバウンドに的

通路が広くなったため回遊性が上がり、フリー客の数も増えた

ミキハウスは17日、阪急うめだ本店11階に構える「ミキハウス梅田阪急店」を改装オープンした。「ミキハウス ダブルB」を単独ショップとして移設し、代わりにシューズ売場を充実。全体的に通路などのスペースも広げ、ベビーカーや家族連れも回遊しやすい環境を整えた。売場面積はダブルBと併せて約2割増となった。最近は人流回復によって来店客が増え、中でもインバウンド(訪日客)が急増している。ミキハウスにとってまたとない好機であり、攻勢に打って出た。

シューズ売場を充実させ、接客をスムーズに

ミキハウス ダブルBは、元の売場から少し離れた、コンコース側のエスカレーター脇に単独のショップとして9月6日に先行オープンした。面積は約18㎡。

元々ミキハウス ダブルBがあったスペースはシューズの売場に充てた。取り扱う商品数はほぼ同じだが展示する数を増やし、シューズの在庫スペースも新設。足のサイズ計測や試し履き用の椅子の数も増やした。

ディスプレイする靴の数を増やし、豊富な品揃えを打ち出す

「シューズはミキハウスの中でも人気の高いカテゴリーで、『服はほかのブランドも着るけど、シューズだけはミキハウスが良い』というお客様も少なくない。ミキハウスの“入り口”であるため、環境の充実に力を入れた」とミキハウス梅田阪急店の高山涼子店長は説明する。

シューズの在庫は今まで百貨店のバックヤード部分に置いていたが、売場とは少し距離があった。シューズは一人一人の足の特徴に合った靴選びが重要なため、試し履きやサイズ交換に時間を要するが、それを短縮する目的があった。新設されたストックスペースは約1000足を収納でき、客を待たせることなく、サービスの向上につながっている。

試着室の右隣りにシューズ用の在庫スペースがある

座って足の計測ができるように子供用の椅子も増やした

シューズ売場以外では、ショップ全体で通路の幅を広げている。子供服売場はベビーカーや大人数の家族連れの客が多く、今までは混雑すると客へ話しかけるために近寄るのも難しい時があった。それを解消し、さらにベビーカー同士でも通路をすれ違うことができるようになった。

阪急うめだ本店の富裕層戦略とも合致

こうした改装の背景には、インバウンドの急増がある。梅田は、関西では心斎橋と並んで訪日観光客が多いエリアであり、阪急うめだ本店にも当然良い影響を及ぼしている。同店の子供服売場全体のインバウンドの売上げは、4月以降前年同期比で約2倍と急増している。

ミキハウスは積極的に海外展開を広げており、海外からの認知度、人気も高い。阪急うめだ本店子供ライフスタイル営業統括部の島貫靖志ゼネラルマネージャーは「以前から売場拡大の話はあったが、最適なタイミングと判断した」と語る。ミキハウスは日本製の商品が多く、その品質やスタッフの接客力に定評があるため、日本の文化を世界に発信する意図もある。高山店長は「インバウンドのお客様はスケジュールがタイトなことが多いため、お待たせする時間が短くなるメリットは非常に大きい」と話す。

特にベビー服が富裕層、インバウンド客から人気が高い

阪急うめだ本店の主要な顧客層の1つである、富裕層との相性も良い。言うまでもなく関西で圧倒的首位の売上げを誇る同店は、アッパー層の顧客を多く抱える。最近はその強みをさらに磨くため、「ロイヤルカスタマー推進グループ」を今春に新設するなど、全社的にインバウンドも含めた富裕層顧客の拡大と対応の強化に取り組んでいる。

ミキハウスも高級子供服として富裕層からの支持が厚く、特にベビー向けアイテムの人気が高い。「ラグジュアリーブランドの子供服を購入したお客様が、ミキハウスでもかなりの金額を購入されることもあり、評価の高さを感じる」(島貫ゼネラルマネージャー)。昨夏に発売した最高級ライン「ミキハウス ゴールドレーベル」も好調で、今後の伸びしろに期待を寄せる。

阪急うめだ本店の子供服売場では、ほかにも富裕層をターゲットとした売場づくりを進めており、11月には上顧客の接客や出産準備品の買い物に使用するVIPルームを開設予定。来春に掛けてもいくつかリニューアルを計画している。こうした施策はミキハウスの新客獲得にもつながり、特にVIPルームとは強力な相乗効果を発揮しそうだ。

回遊性が高まり、フリー客が増加

移設改装した「ミキハウス ダブルB」は売上げが好調に推移している

先行してオープンしたミキハウス ダブルBはエスカレーター近くという立地の良さや、ブランドの世界観をより表現できるようになったことから、売上げが上昇。ミキハウスの新売場との回遊性も高まり、顧客から好評を博している。フリー客の数も増加した。

滑り出しは好感触だが、阪急うめだ本店という一等地なだけに、超えるべきハードルも高い。高山店長は「多くのブランドが『ここに出したい』と思う場所で、売場を広げさせて頂けたのは非常にありがたいこと。その期待に応えられるよう頑張りたい」と意気込んだ。

(都築いづみ)