2024年11月22日

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高島屋、京都店の専門店部分「T8」を公開

専門店部分「T8」は地下1階~地上7階で、51店舗からなる

高島屋は12日、17日にオープンする京都高島屋S.C.の専門店部分「T8」を報道陣らに公開した。既存の百貨店部分に隣接する地下1階~地上7階の建物で、約1万3000㎡の売場面積に「Nintendo KYOTO」や「京都 蔦屋書店」、「まんだらけ京都店」など51店舗を集積。うち3分の2を新業態や関西地区初、京都地区初など目新しい店で構成する。開発および運営は高島屋グループの東神開発が担う。百貨店部分とT8を合わせた売場面積は従来の約1.25倍に当たる約6万5000㎡となり、1983年から続く「地域一番店」の座を盤石化するとともに、「四条河原町は京都府のへそであり、(京都高島屋S.C.を)京都府のシンボルにする」(村田善郎社長)。

5~6階に位置する「京都 蔦屋書店」

T8は地下1階が食品やイートイン、1階が雑貨や食品、レストラン、カフェ、ギャザリングスペース、2階がファッションや雑貨、3階がファッションや雑貨、カフェ、4階がカルチャーやサービス、カフェ、5~6階が京都 蔦屋書店およびシェアラウンジ、7階がNintendo KYOTO。地下1階は「成城石井」「PARIYA」「進々堂」「GRANNY SMITH APPLE PIE & COFFEE」「おちゃのこさいさい」「ミャムミャム」「カフェ・ヴェルディ」「もち菓子 御松」、イートインとして「京都ワイナリー 四条河原町醸造」「京都舞鶴港 活鮨」「鯛めし 鯛そば 鯛や」「京のカレーうどん 味味香」「ぎょうざ歩兵」「洋食パーラー Cotelette」「Gastrobar Sidra」が名を連ねる。

イートインを1階で展開する

1階は「LINA STORES」「MUCHA」「Biople」「SABON」「cfg京都」「SNIDEL BEAUTY」「(THISIS)NATURE」「Jouete L/」「紅茶専門店TEAPOND」「ラブラリー バイ フェイラー」、2階は「SUPER A MARKET」「ebure」「Meetz STORE」「1er Arrondissement」「FAS」「Aesop」「Hirotaka」「OBSIDIAN」「PERMANENTE」からなる。

1階の入口付近には「リナストアズ」の3号店を配した

3階には「中村藤吉四条店」「ニューバランス」「SATURDAYS NEW YORK CITY」「collex」「金子眼鏡店」「MidiUmi」「BEAMS GOLF」「Cotopaxi KYOTO」「O’right」、4階には「まんだらけ京都店」「フェイスレコード」「葦島珈琲」「nuunu KYOTO」「MARUKA」「TAKARA TORYO」が出店する。

「まんだらけ京都店」はアートも充実

T8は6カ所のポップアップスペースを擁し、グランドオープン時は「BLUE BOTTLE COFFEE」「A.P.C. GOLF」「TFW49」「mmts」などが期間限定で登場する。

T8は6カ所のポップアップスペースを擁し、期間限定で内容を入れ替える

「新しい高島屋の挑戦を肌で感じてほしい」。12日の報道陣向け説明会で、村田社長は強調した。新しい挑戦とは、創業の地での百貨店とショッピングセンターの融合だ。高島屋は「まちづくり」をグループの総合戦略と位置付け、国内外で①地域を盛り上げ、街全体の人の流れをつくる②親子四世代が1日楽しく過ごせるワンストップの店づくり――を進めるが、その一環として京都店を京都高島屋S.C.に刷新。T8を介して、これまで扱ってこなかったサブカルチャーや現代アートなどを組み込み、客層の拡大につなげる。

初めて京都府で事業を展開する東神開発の田中善哉西日本事業部長は「百貨店とSCのメリットを融合させ、“まち”の魅力を最大化する。高島屋の“らしさ”にノイズ、言い換えると新しさや刺激を加えたい。四条河原町は多様な目的、属性の人がクロスするエリア。ターゲットを特定化せず、どんな目的の人も、目的がない人も、ふらっと入ってしまう場所を目指す。モノを買うだけでなく、快適に過ごせる、来るたびにワクワクする、同好の士が集まる、写真を撮ってSNSに投稿したくなるなど、京都高島屋S.Cには全ての人に“刺さる”何かがある」と自信を示した。

任天堂のオフィシャルストア「Nintendo KYOTO」

高島屋京都店の田原和也執行役員店長は、まず「1946年から80年弱に亘り四条河原町で愛されてきた。チャレンジを続け、83年からは地域一番店を堅持しており、地域の人々に深く感謝したい」とコメント。続いて「94年の『リボーン計画』で大規模改装したが、約30年ぶりのビッグプロジェクト。館全体として、街に開かれた店にする。単なる増床ではなく、SCと一体だからこそできる新しい魅力、体験価値をつくっていき、エリアでの競争力をさらに発揮していく。これまで来ていなかった地域の人々から全国、海外まで、より大勢に来てもらい、エリア全体の活性化、まちづくりに貢献したい」と力を込めた。

百貨店部分も、専門店部分と相乗効果を発揮できるように「百貨店本来の価値を徹底的に磨く、T8を目当てに足を運ぶ新しいお客様の期待にも応えられる魅力をつくる、この2点に取り組んできた」(田原店長)。百貨店本来の価値とは、サービスやワンストップショッピングを指す。3年ほど前から「日本一感じの良い店」を追求してきたが、さらなる向上に傾注。婦人靴や化粧品の売場を改装し、ゴルフ用品売場を拡大するなどワンストップショッピングの機能も強化してきた。今後はT8による変化を見極め、大規模改装に乗り出す。

流入してくる新客に対しては、T8との接続部分を中心にポップアップスペースを31カ所に倍増させ、D2Cブランドを誘致したり、人気のテレビ番組や漫画家と組んだ催事を行ったりして、買い回りを促す。「いつでもワクワクや新しい発見を提供できるように」(田原店長)、1~4年目の社員を集めてプロジェクトチームを発足。若い感性を採り入れ、客足を呼び込む。例えば、京都府出身のラッパー、Daichi Yamamotoに作曲を依頼。グランドオープン後は店内で流す予定だ。

京都高島屋S.C.としての売上高や客数の目標は非公開だが、村田社長は「百貨店を核とするSCの開発はグループの強み。5カ所目だが、これまでで最も百貨店とSCの対比が際立っている。間違いなく、新しいお客様を獲得できる。百貨店とSCが生み出す化学反応にも期待したい。高島屋グループにとって今後のモデルケースになる」と勝算や重要性を述べた。

(野間智朗)