2023年8月 全国百貨店売上高
売上高と入店客数が共に18カ月連続増、円安効果でインバウンド増勢
日本百貨店協会が調査した全国百貨店(70社・181店)の8月売上高は3897億円余で、前年比(店舗調整後)は11.8%増となり、18カ月連続でプラスだった。一部店舗では台風による休業や営業時間短縮などの影響もあったが、旅行や帰省など外出機会の増加、連日の猛暑による盛夏商材の活況などが業績拡大に寄与した。高付加価値商材やインバウンドは円安効果などもあり引き続き盛況を呈した。コロナ禍前の2019年との比較では4.2%減だが、回復基調は続いている。
3カ月移動平均値は直近の6~8月が9.0%増、5~7月が7.4%増、4~6月が7.3%増、3~5月が8.3%増、2~4月が12.4%増、1~3月が14.6%増。2桁には届かないものの、着実に伸び率は高くなっている。
国内と海外の顧客別では、インバウンドが244.4%増と17カ月連続でプラス、売上高は317億円と過去4番目に高い最高額を記録するなど、大きな伸びを示した。シェアは国内が91.8%、インバウンドが8.2%で、国内は18カ月連続のプラスとなる5.5%増。19年比ではインバウンドが24.1%増、国内が6.1%減でインバウンドがコロナ禍前を大きく上回った。
地区別では、全地区で前年を超えた。インバウンド効果と高額品が好調に推移し、都市が14.2%増と23カ月連続でプラス。地方は4.7%増と2カ月連続でプラスだった。
商品別では、主要5品目が全てプラスとなった。中でも、身の回り品は20.8%増と高い伸び率を示し、ラグジュアリーブランドを中心に盛況だった。コロナ禍前の19年比でも19.6%増と大きく超えた。主力の衣料品(13.1%増)は猛暑により盛夏商材の売れ行きが良く、国内外共に好調な化粧品は26.2%増で増勢が続いている。食料品(4.0%増)は菓子(10.2%増)と惣菜(2.0%増)が共に24カ月連続増で、帰省や旅行などの手土産需要から菓子が引き続き売上げを伸ばした。集う機会の増加から、レストランやビアガーデンが好調で、食堂・喫茶は29.7%増と勢いを増している。
(北田幹太)