にんべん、惣菜専門店をそごう横浜店にオープン
にんべんは26日、惣菜専門店「一汁旬菜 日本橋だし場」(以下、一汁旬菜)をそごう横浜店にオープンした。場所は地下2階の和惣菜売場。ポテトサラダ、卵焼き、そぼろ弁当など、だしを利かせた惣菜・弁当を約25種類揃える。好立地で食品の売上げも好調な同店に構えることで、顧客接点を拡大していく。目標は今期(~24年3月)で2600万円、1年間で6000万円。
一汁旬菜シリーズは「うま味のある、上質な食事を。」がコンセプトで、2020年に展開を始めた。現在は西武池袋本店、ニュウマン新宿店、二子玉川 東急フードショー店、松坂屋上野店、ラゾーナ川崎プラザ店を擁する。品揃えを弁当のみに絞った専門店「日本橋だし場 OBENTO」もあり、これはJR品川駅のエキュート品川に店を構える。
通年商品だけでなくシーズン限定商品も豊富なのが特徴で、例えば今年の夏季は、白だしで漬け込んだオクラと蒸し鶏を梅肉に合わせた「蒸し鶏とオクラの梅肉添え」、夏野菜を揚げ焼きにしてつゆジュレの上に乗せた「夏野菜の揚げ浸し風~つゆジュレ仕立て~」、5種類の夏野菜と蒸し鶏を乗せた「夏野菜のだしスープカレー」などを9月3日まで販売している。
実は横浜エリアには、20年6月に横浜駅西口の商業施設「CIAL横浜」に一汁旬菜を出店していた。ただ、平日の日中の集客に苦戦し、今年6月末で営業を終了した。「動線がうまくいかず、売上げが想定に届かなかった」と髙津伊兵衛社長は振り返る。
とはいえ横浜はにんべんの支持が高いエリアで、みなとみらい21地区を中心に再開発も盛んに行われている。勝機は十分にあるとみて、再起を図った。そごう横浜店は横浜駅東口に位置し、平日も休日も客数が多く、一定の集客が見込める。「そごう横浜店をデイリーで利用する方、横浜に遊びに来た方など、様々なお客様にご利用いただきたい」と髙津社長は期待を込める。
オープンを記念して、そごう横浜店の大時計を模した「そごう横浜店限定 大時計弁当」の期間限定販売、ノベルティプレゼント、スタンプカード2倍キャンペーン(26~28日)といった企画を用意。さらにそごう横浜店と協力して、チラシによる事前の周知を徹底した。その結果、26日の午前中は多くの客が訪れ、列が途切れないほどの盛況となった。
惣菜・弁当は、同社が今後の成長に期待を寄せる領域だ。贈答向け商品に比べて弁当や惣菜は客層が広く、購入機会も多い。中食市場はコロナで一時的に低下したが、昨今は回復し、今後も拡大が予想されるのも追い風だ。
既存店ではエキュート品川店、ニュウマン新宿店の2店が特に好調に推移している。エキュート品川店は出張や観光のついでに買うため、値段を気にしない客が多く、単価が高い。ニュウマン新宿店は駅利用者に加え、駅直結のビルに入るオフィスのワーカー、バスターミナル「バスタ」を使う観光客なども増えてきた。全体的に弁当の方が売上げ金額、数量ともに惣菜を上回っているという。
今後の出店について、髙津社長は「生産のキャパシティーの問題から、今すぐは難しい。しかし惣菜のニーズの高さは感じており、駅の近くなど集客力のある商業施設に出店したい。生産拠点の拡大も視野に入れている」と意欲的な姿勢を示した。
(都築いづみ)