2024年11月24日

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東急吉祥寺店、大型改装で次世代層獲得に成果

「#ワークマン女子」などが集客装置を担っている

昨年の春から秋にかけて大規模改装を行った東急百貨店吉祥寺店だが、その賭けは“吉”と出た。従来型にとらわれない売場構築、人材配分の適正化、次世代層の獲得などを目的に、ファッションや子供服、服飾雑貨売場を改装。5階の紳士服フロアはブランドを再編集して2~3階へ移し、「#ワークマン女子」など複数の大型テナントで構成される「生活アップデートフロア」へ生まれ変わった。グランドオープンした10月以降は客数が増加し、次世代層の姿も目立っている。

一連の改装は、東急百貨店が目指すビジネスモデル「融合型リテーラー」を実現するもので、百貨店の従来型の手法にとらわれないMDや運営体制の構築を目指した。もう1つの目的として、次世代層の取り込みも目論んだ。同店の顧客は高齢化が進んでいるため、ファミリーとの接点となる子供服売場を改装し、5階のテナントの誘致も次世代層を意識した。

改装の内容は昨春に第1弾として、6階の子供服売場と8階の一部を改装。6階は子供用品の自主編集売場をなくし、ベビー・キッズのアパレルや雑貨のブランドを導入した。8階は催事場を180坪から50坪に縮小し移設、そこに「セリア」がオープンした。同時期に1階の服飾雑貨売場も改装し、婦人靴売場を縮小して服飾小物売場を拡大。ビューティー雑貨などの取り扱いを新たに始めた。

第2弾は、5階の紳士ファッションブランドを再編集して2、3階に移設。昨夏から秋にかけて随時行い、加えて新ブランドも導入した。メンズだけでなくウィメンズやキッズも取り扱うショップが多く、2階と3階は今回の改装で、よりジェンダーレスなフロアになった。

第3弾は、5階を「生活アップデートフロア」として10月14日に改装オープンした。コロナ禍を経て生まれた、住空間の快適さや自分の時間を大切にする価値観、健康的なライフスタイルへの関心の高まりなどに応えるフロアで、高機能カジュアルウエアの「#ワークマン女子」、スニーカーやアパレルを揃える「ABCマートグランドステージ」、カジュアルシューズの「ABCマート」、雑貨店「スリーコインズプラス」、家電量販店「ノジマ」で構成される。このフロアのオープンにより、改装は完成した。

改装の効果はてき面に表れ、10月のグランドオープン以降、5階を中心に客数が増加。今年7月末時点まで、客数は前年比2桁増の勢いで推移している。7階のニトリ、8階のセリアも10月以降は売上げが好調で、5階との買い回りが起きているとみられる。ターゲットとしていた次世代層の姿も増えた。男女コンバイン型となった2~3階は、狙い通り夫婦や家族で買い物をしている。

成果は上々だが、今回の改装で欠落したカテゴリーもあるため、MDの見直しも適宜行う。吉祥寺エリアは人流が復活し、新型コロナウイルス禍でダメージを受けた賑わいが戻りつつある。館の魅力を高め、地域の活性化にも貢献したい考えだ。

(都築いづみ)