カリモク家具、中川政七商店と協業し“床座”の家具づくり
カリモク家具は中川政七商店と協業して、「座椅子 supported by karimoku」と「盆ちゃぶ台 supported by karimoku」を開発した。床だからこそ得られる安息やくつろぎといった、日本人ならではの身体感覚に着目。良い姿勢でもくつろげる佇まいと使い心地にこだわったデザインの座椅子に仕上げ、サイドテーブルとして活用できるちゃぶ台も製作した。色は黒とナチュラルの2色で、価格はそれぞれ7万7000円と3万8500円。中川政七商店のオンラインショップおよび直営店で、5日に販売を開始した。
中川政七商店の調査によると、約65%の人が「ソファーがあるのに、つい床に座ってしまう」と回答した。こうした日本の暮らしの中で定着した行動をもとに、“床座”が叶える新たなくつろぎを提案する商品として開発。木の魅力を引き出す高い技術と知見を持つカリモク家具が、製造を手掛けた。
座椅子は、背筋を伸ばして姿勢良く腰掛けられると同時に、くつろげることも重視した設計。高温の蒸気で蒸した木材を型枠でプレスする「曲げ木」の技術を用いて背もたれのカーブをつくり、角度や位置を微調整して腰と背中を適度に支える快適な座り心地を実現した。素材には国産のナラ材を使用。一般的に生産が不安定で小径木(しょうけいぼく)が多い国産の広葉樹は、家具には不向きとされているが、両社共に有効活用を希望して採用した。ナラ材自体の風合いを生かしながら、椅子全体に汚れ防止に効果を発揮する塗装を施した。コンパクトに折り畳むこともでき、小スペースでの収納も叶える。
盆ちゃぶ台は座椅子と一緒に使える小さなサイズで、天板を取り外して盆としても使用できる。温かみのある質感のクリ材を使用し、座椅子と同じく汚れに耐久性のある塗料を塗布した。脚部分は折り畳めて持ち運びも容易にできる。
カリモク家具は今回の協業について「『美しい佇まい』を目指して、中川政七商店と一緒に商品開発を進められたことは大きな学びになった」と話す。同社にとって、折り畳みの座椅子の製作は初めてだったが「木材の使い方や構造に今までのノウハウを生かして、長く使ってもらえるように工夫した」と振り返った。80年以上に亘り木製家具の製造技術を磨き、日本家具の提案を続けてきた同社。次の新たなものづくりが待たれる。