花王、「SENSAI」の売上高3倍へ 最高峰スキンケアシリーズ刷新
花王は、グローバルプレステージブランドと位置付ける「SENSAI(センサイ)」のスキンケアシリーズ「UTM」をリニューアルし、9月1日に40カ国で販売を始める。最新の皮膚科学研究を採り入れ、より心地良く、洗練されたテクスチャーに進化させた。化粧水、乳液、クリーム、手づくりの茶筒で知られる開化堂と協業した限定品からなり、価格は2万8600円~16万2800円。同社はUTMの新装を機に、SENSAIで中国をはじめとするアジア市場の開拓に本腰を入れ、年内には上海に旗艦店を構える。販路を拡大し、2030年までに売上高を3倍に増やす。
UTMはSENSAIで最高峰のスキンケアシリーズ。リニューアルでは、長年に亘り培ってきた乳化技術の粋を結集し、使用時に感じるとろけるような滑らかさから肌と一体化するようななじみ具合まで、より心地良く、洗練されたテクスチャーに仕上げた。パッケージも、重厚さとモダンな軽やかさを融合させたデザインに一新。原料の一部に自然由来の成分、パッケージの一部に再生素材を用いるなど、環境にも配慮した。
化粧水は瞬時にみずみずしさが放たれ、潤ってふっくらとしたキメとハリが美しくあふれる。2種類で価格は2万8600円。乳液は絹のようにしなやかなハリを与える。価格は4万2900円。クリームは、SENSAIならではの黄金比でオイルを調整して「究極」を表現した。豊かなツヤとハリがみなぎる、美しい肌に導く。価格は本体が8万5800円、レフィルが7万7000円。レフィルは新たにラインナップした。
また、開化堂ともコラボレーション。特別なケースとクリームのセットを日本と欧州で販売する。価格は16万2800円。
さらに、建築家の坂茂氏と組み、ポップアップショップ用の環境をデザイン。再生可能な素材を使用するとともに、工法を工夫して設置時の環境負荷も削減した。各国でのイベントなどで用いる。
SENSAIは、カネボウ化粧品のブランドとして1983年に誕生。「丁寧に繊細に生きる」を目指し、日本古来の稀少な「小石丸シルク」をコンセプトの核に据え、メイドインジャパンにこだわった物づくりを続けてきた。全ての商品に小石丸シルクのエキスと卓越した生命力で知られる桜のエキスを配合しており、「美しい“シルクスキン”」を演出する。茶道にインスパイアされた、正しく丁寧なスキンケアの方法も提唱すると、1号店を構えた英国、次いで仏国などでも「Saho(作法)」として共感を獲得。とりわけ富裕層の支持を集めてきた。19年には日本に逆輸入。21年からは中国でも販売する。
売上げは国内外で好調に推移。今年は前年の2倍で推移する。リニューアルや上海での旗艦店のオープンをフックに、30年までに現在の3倍の売上げを目指す。6月16日に東京都内で開いた会見で、桜井郁子化粧品事業部門プレステージビジネスグループSENSAIブランドマネジャーは「長くヨーロッパに日本の文化を伝える、あるいは日本とヨーロッパの文化を融合させて認知度を上げてきたが、本当のグローバルブランドになるためには、化粧文化が異なる日本や中国のお客様を見て、どうアップデートするかが重要」とUTMシリーズを一新する狙いを説明した。
花王はSENSAIを世界的に注力するブランド「G11」に含めており、今後は他の10ブランドとともに「組織や人材をパワーアップ」(前澤洋介上席執行役員化粧品事業部門長)させながら、国内外での売上げの伸長につなげる。
(野間智朗)