2024年11月21日

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クラブハリエ、見学できるバウムクーヘン工場が好調 旗艦店の魅力押し上げる

バウムクーヘンを製造する様を誰でも無料で見学できる

たねやグループの洋菓子部門「クラブハリエ」が今年1月にオープンした、見学できるバウムクーヘン工場「バームファクトリー」が好評を博している。同店舗は旗艦店「ラ コリーナ近江八幡」(以下、ラ コリーナ)の敷地内にあるが、ラ コリーナ全体の売上げ金額、客数ともに1月から前年を大きく上回った。ラ コリーナは広大な敷地内に田んぼや緑地も有し、滋賀県の人気観光スポットとなっているが、工場の開店で一段と魅力が高まった。

ラ コリーナ近江八幡は緑が多く、観光客や近隣住民などが訪れる場となっている

ラ コリーナは「自然に学ぶ」をコンセプトに、2015年に開業した。同社は菓子の製造に欠かせない原材料やそれを生み出す自然を重視しており、自然に触れられる場として創設した。敷地面積約3万6000坪に、芝で覆われた草屋根の「メインショップ」や「ギフトショップ」、「フードコート」などの店舗が並び、四季折々の菓子と自然が楽しめる。

景観の美しさなどから人気を集め、客数は年々増加。コロナ禍でここ数年は停滞したが、それでも22年に約320万人が訪れた。遠方から来る観光客だけでなく、近隣住民も憩いの場として利用している。

バームファクトリー内ではショップもある

1月に開業したバームファクトリーは、建物全体の面積は約4万平米。クラブハリエの手のひらサイズのバウムクーヘン「バームクーヘン mini」を1日あたり約2万個生産する。通常なら廃棄対象となる端の部分も、フードロス削減のため「MIMI スモール」として併設のショップで販売している。

工場内に見学通路を設け、生地づくりから焼成、包装まで間近で見ることが出来る。生地づくりや焼成の作業は、熟練の職人によって手作業で行われている。見学客の前での作業は工場の社員にとっては初めての試みだったが、担当者によると「最近は皆慣れてきて、お客様の近くに来て攪拌する様子を見せるなど、楽しんで頂くよう工夫をしている」という。客の姿を間近で見ることは、社員のモチベーションにもつながっている。

工場内にはショップとカフェもあり、焼き立てのバウムクーヘンを購入したり食べたりできる。同工場は生産力の増強に加え、ブランドの提供価値を高める狙いがあり、「製造工程を実際に見て、聞いて、味や香りも含め五感で楽しんで頂きたい」と担当者は語る。

客が見やすいように作業するなど、サービス精神もみせる

1月以降、客数は増加。1~3月のラ コリーナ全体の売上げ金額は前年比で65%増、19年比で56%増と大幅に伸長。客数も前年比36%増、19年比で21%増となった。国外からの客も渡航制限の緩和で復活しており、来年は年間約350万人を目指す。

たねやグループはラ コリーナだけでなく、百貨店などに構えるショップでも「その土地や地域に合わせた店舗設計、商品を取り扱う」考え方を取り入れている。「これからもいかに『たねや』、『クラブハリエ』らしさを表現できるかを考え、しっかりと地域に根付いた店舗にしていきたい」(担当者)考えだ。

(都築いづみ)