J.フロント、「XR」で新客を開拓
新たな可能性を切り拓いた――。J.フロントリテイリングが4月21~23日にGINZA SIXで開いた、現実世界と空想世界を融合させる技術「XR(クロスリアリティ)」を体感できるイベントが活況を呈した。Psychic VR Lab社が運営するリアルメタバースプラットフォーム「STYLY(スタイリー)」を用いた、人気ゲーム「Identity V 第五人格」(以下、第五人格)に登場するキャラクターが目の前にいるかのように感じられる展示で、国内有数のeスポーツチーム「SCARZ(スカーズ)」の選手と会える、利用するキャラクターを知れる、会場で同チームのオフィシャルグッズを購入できるなどもあり、スカーズのファンが大挙。グッズの売上げは好調で、特に選手が「1日店長」として登場した21日や23日は長蛇の列が生まれた。J,フロントは「百貨店とは違うお客様が多く、新しい可能性を感じた」(同社)という。
イベントはGINZA SIXの6階「銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM」で行った。内容は、専用のゴーグルを装着すると第五人格に出てくるキャラクターなどが目の前にいるかのように感じられる「Identity V XR」(21日のみ)、AR(拡張現実)の技術で好きなキャラクターと“チェキ”を撮れる「SCARZ AR チェキ」、スカーズのグッズを販売する「SCARZ SHOP」で構成。21日と23日はスカーズの選手であるShinami、もしうさ、MiraiK、Silkが1日店長を務め、買上げ特典のサインを求めるファンが行列した。
J.フロントは昨年、スカーズを保有するXENOZ(ゼノス)を子会社化。今年はCVCファンドを通じてPsychic VR Labに出資しており、このイベントは両社と初めて連携して実施した。J.フロントは「第1弾をリアルで行うのが重要だった。期間中はスカーズのファンが沢山足を運び、熱気を感じた。eスポーツはコアなファンの育成が大事で、増えていくと業界が盛り上がる。当社としても、それに貢献したい」と総括した。
Psychic VR Labが手掛けるスタイリーには世界中の都市の3Dデータが備えられており、実際の空間と連動したコンテンツの制作や配信が可能。ウェブブラウザからスマートフォンまで、マルチデバイスにも対応する。今回は「MRゴーグル」を使い、会場に第五人格のキャラクターなどを“出現”させた。
第五人格は、中国企業が開発および運営するゲーム。2020年11月には合計ユーザーが1億5000万人に到達した。スカーズは12年に発足し、15年に法人化。国内有数の大型チームで、国内外の大会で多くの実績を残してきた。
(野間智朗)