プリンセストラヤ、買い替え需要に向け財布を訴求

2023/03/06 12:00 am

プリンセストラヤは、3月の買い替え需要の高まりに向け、財布の訴求に注力する。最近は財布の売上げが1月と3月に集中し、中でも複数の吉日が重なる日に購入する消費者が増えている。その盛り上がりに向け、強みであるイタリアンレザーを使った財布や、験担ぎの要素を取り入れた財布などを手厚く揃え、需要を取り込む。

近年、財布の売れ行きは大きく変化している。「昔は、クリスマスなど年末から始まり、春に掛けてが売れる時期だった。しかしここ数年で、1月と3月に二極集中している」と商品部の鹿野課長は説明する。気分も新たになる新年と、入卒など生活が大きく変化する3月が好適と判断されているようだ。

1月と3月の中でも、‟吉日”が影響する。ここ数年、運気が良い日とされる「一粒万倍日」、「天赦日」、「寅の日」への関心が高まっており、中でもこれらが重なる日を「スーパー開運日」として、財布を買う人が増えている。

プリンセストラヤの店頭でも、その傾向は顕著だ。昨年は1月11日と3月26日が3つの吉日が重なる日で、その日を中心に盛り上がった。取引先の店舗からも、「開運日を中心にプロモーションしてほしい」という声が寄せられるという。

最近はラッキーカラーとして、グリーンの人気が高いという

そこで、3月は十分な数の財布を用意し、好機に備える。今年は3月21日が、天赦日と一粒万倍日と寅の日が重なる吉日のため、そこを盛り上がりのピークとみて準備を進める。雑誌への掲載やSNSの投稿も積極的に行い、プロモーションも強化する。

とはいえ、十分な供給を用意するのは簡単ではない。「最近はウクライナ情勢などの影響もあり、原材料の手配や完成品の輸送のコントロールが難しい。さらに、生活防衛意識が高まっている中で思い切った生産計画が出来ない。しかし在庫を切らしてはいけないので、そのせめぎ合いとなる」と鹿野氏は話す。今春夏シーズンの商品は昨年末に発売し、2月には売れ筋が分かるため、それを見ながら調整していく。

物価高も、逆風要素として立ちはだかる。同社では海外で生産している財布が多い。素材も、主力ブランド「ダコタ」を中心にイタリア製のレザーを多く採用しているため、否が応でもコストは膨らむ。多くのメーカーが値上げに踏み切る中、ダコタも今春夏シーズンは値上げを計画している。

しかし、年末の発売以降、売行きは順調に推移。「ダコタの歴史は長く、そのつくりや素材の良さを理解してくださるお客様が多くいらっしゃるようだ」(鹿野氏)。「サステナブル」という言葉に代表されるように、1つのものを長く使おうというマインドが最近高まっており、その影響もあるとみる。イタリア製のレザーはダコタにとって重要な要素であるため、今後も使用を続ける方針だ。

今シーズンから値上げを行ったが、「ダコタ」ファンの離反は起きなかった(写真は「チェルキオ」シリーズ)

ダコタの今シーズンの商品で、人気が高いのが「チェルキオ」シリーズだ。天然シボや透明感が際立つイタリアンレザーを使用する。革自体の美しさが伝わるよう、デザインは極力シンプルに仕上げ、カーブを帯びたシルエットで特徴を出した。長財布、二つ折り財布など全7型で、価格は1万2100円~2万4200円。

「エザーゴノ」シリーズもイタリア製の革を使用しており、手作業で磨くことで、ナチュラルな風合いを出している。全ての商品に、風水で「安定と調和」を意味する六角形の革ブローチを付けており、お守りのような安心感を演出する。全6型で、価格は1万7600円~2万900円。

SDGsを意識した「イデーア」シリーズは、環境への負荷が少ない「ゼオライトなめし」を施している。ゼオライトは自然由来の鉱物で、タンニンのように植物を伐採する必要がない。クロムなめし、タンニンなめしに比べて土中での生分解時間が短いというメリットもある。全7型で、価格は8580円~2万4200円となる。

3月12日の「サイフの日」のキャンペーンも行い、相乗効果を狙う

3月は、12日が日本バッグ協会が定めた「サイフの日」となっており、同協会が主催するキャンペーンも行う。アンケートに答えると商品券やオリジナル財布が当たる「プレゼントキャンペーン」や、一部の店舗では、不要となった財布を無償で回収する「お財布、革小物引取りキャンペーン」を実施。数年前から行っているが客からの反響は良好で、今年はこれらと合わせて「前年売上げの達成を目指す」(鹿野氏)構えだ。

(都築いづみ)

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