メリーチョコレート、世界大会受賞のチョコを発売 若手社員も交え開発
メリーチョコレートカムパニーはこのほど、チョコレートの世界大会「インターナショナルチョコレートアワード」(ICA)で受賞したチョコレートを発売した。タブレットタイプの「焼きとうもろこし」と「蜂蜜と和三盆のキャンディングアーモンド」、9つのボンボンショコラをアソートした「アワードボックス」の全3種類。開発には同社の若手社員も参加し、彼らが考案したチョコレートも入賞している。
ICAは世界の13ブロックで大会が行われ、そこで受賞した作品がファイナルにエントリーできる。市場や生産地の発展の支援を目的とし、味に加えて産地や製法まで厳正な審査を行う。同社の参加は今回が初めて。「おいしさの追求ももちろん念頭にあるが、トレーサビリティがあるカカオを使用する、添加物を入れないなども意識した」とマーケティング本部研究開発部部長の大石茂之シェフショコラティエは述べる。
若手社員のモチベーションの向上や技術の継承という狙いもあった。そのため、開発には研究部と生産部から若手社員が参加。自身でアイデアを出し、大石シェフの指導を受けながら完成させた。
「焼きとうもろこし」(1404円)は、ホワイトチョコレートに北海道産とうもろこしのフリーズドライパウダーを混ぜ、塩味やしょうゆを利かせた。サクサクとした食感を出すため、フリーズドライパウダーに加えて玄米も入れている。縁日の焼きとうもろこしを好きな社員が企画し、見た目や食感でも焼きとうもろこしを表現できるよう細部までこだわった。アジア・太平洋大会で銅賞を受賞し、世界大会では金賞に輝いた。
アジア・太平洋大会で金賞を取り、世界大会で銅賞となったのが「蜂蜜と和三盆のキャンディングアーモンド」(1404円)だ。アーモンドを徳島県産の和三盆糖でキャラメリゼして、東京都産の蜂蜜を絡めた。アーモンドと砂糖、蜂蜜の組み合わせはポピュラーだが、日本の素材を使うことでやさしくまろやかな味に仕上げた。
「セゾン ド セツコ」の「アワードボックス」(4320円)は、「すだちと薔薇」、「和薄荷と日向夏」、「丹波栗とほうじ茶」、「柚子とカルダモン」、「抹茶黒みつ」、「よもぎと桃」、「十勝小豆あんことチーズ」、「玉露茶とあまおう苺」、「柏餅風」の9つのボンボンショコラが入る。
世界大会で金賞を受賞した「すだちと薔薇」は、大石シェフが考案した。あえてすだちとバラという異色の組み合わせを選び、チョコレートと調和させた。すだちとバラは酸味があるため、それに負けないよう、フルーティーでベリー系の味がするマダガスカル産のカカオマスと、カカオ感が強いボリビア産のカカオマスを採用。「酸味も香りもガツンと強く出すと下品になってしまう。全体が自然と調和するような味わいにした」と大石シェフはこだわりを語る。
バラは、愛知県西尾市で採れる朝摘みのものを使用。大石シェフが食品の展示会で見つけ、「良い香りがしたので食べさせてもらったところ、酸味と甘味のバランスがよかった。ジャム用のバラだったので最初は使用を断られてしまったが、何度も足を運びお願いしてこぎ着けた」という。これを日本酒に漬け込み、成分を抽出している。
アワードボックスの中でもユニークなのが、「柏餅風」だ。ベトナム産ホワイトチョコレートと白みそ、本みりんを合わせたガナッシュで柏餅の味を再現。柏の葉の香りも付けている。一見日本らしさが色濃く出ているようだが、味は世界に通じるものを追求し、世界大会で見事銀賞を受賞した。
開発では、柏の葉の香りをどのように移すかに苦戦した。生クリームを使って成分を抽出するなど、試行錯誤を重ねたが、香りはほのかに移す方が良いと判断。最終的に柏の葉に穴を開け、ガナッシュの両面にくっつけて数時間置く方法にした。
同商品も、若手社員が考えた企画だ。「私では考えつかないようなアイデアを出すので、私自身も非常に学ばせてもらった。それが9作品受賞という良い結果につながったのはとても嬉しい」と大石シェフは語る。こうした様々なアイデアと工夫が詰まった新商品は、バレンタインシーズンに合わせて数量限定で販売。今だけの特別な楽しみとして提供している。
(都築いづみ)